『コードネーム U.N.C.L.E.』は、2015年の英米合作のスパイ映画ですが、1960年代に
アメリカや日本で放映されたテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイク
映画という事で、映画の中に「ナポレオン・ソロ」という人物が登場してきた瞬間に、
「これって・・・」と…。久々に見た、スパイ感溢れる名作に仕上がっていました。
東西冷戦の最中の1960年代前半。CIAエージェントのナポレオン・ソロとKGB
エージェントのイリヤ・クリヤキンは核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を
制圧するために、長年の政治的対立を超えて手を組むことになります。そもそも
アメリカとソ連が手を組むなんてところからギクシャク感満載で面白く・・・
思考や方法論も異なる二人は、組織につながる手掛かりである行方をくらました
科学者の娘を守り、核兵器の大量生産を阻止すべく奔走していくのですが、出だし
からソロとクリヤキンのやり取りがお国柄満載で、全く飽きずに最後まで見る事が
出来ました。
0011ナポレオン・ソロ と言えば、1960年代、日本では『ビートルズか!?ナポレオン・
ソロか!?』と言われるほどの大人気番組となっており、1961年生まれの私でさえ、
再放送で見ていたのか、番組名だけは覚えていたほどのもの・・・。
U.N.C.L.E.とは世界の法と秩序を守る国際機関で“United Network Command for Law
and Enforcement”(法執行のための連合網司令部)の略だそうで、勿論、このドラマ
内のオリジナルの組織ですが、番組のエンディング・クレジットでは、あたかも
実在の組織のごとく、番組がアンクルの協力で制作されたと明記されているそうです。
こんな洒落っ気のあるところからも伺えますが、キャラの設定がしっかりしている
ことから、見ている側も行動が分かりやすく、笑いながらスリルを楽しめました。
まだご覧になられていない方、ちょっとお薦めの娯楽作品です。
先日、スピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』を見ました!久々の映画ネタです。
さて、実話を基にして作られた物語のあらすじはこんな感じです。
冷戦中の1957年、ブルックリンで画家を装い諜報活動を行っていたソ連のスパイ、
アベルは、FBIに逮捕されます。保険担当の弁護士 ドノヴァンは、連邦裁判所
弁護士会の弁護士全員の推薦を受け、アベル担当の弁護士として選出されます。
ドノヴァンは刑事事件を何年も担当していないことやスパイという自国の敵を
弁護し非難を受けることを心配し、即答は避けますが、アベルと会って話すことで
覚悟を決めて行きます。
敵国スパイを弁護したことで世間の目が厳しくなるなか無罪を求めて弁護する
ドノヴァンでしたが、陪審評決は全員一致で有罪。死刑判決だけはなんとか回避
しようと判事の自宅を訪問したドノヴァンは、将来アメリカ人がソ連の捕虜となった
場合の交換材料として生かしておくことを提言します。
判事からそのことに疑問を呈され、ドノヴァンは切り札としてだけでなく人道的な
面でアベルが祖国に忠誠を誓っているだけの無害な人物だと答えると、判事の心証が
変わり誰もが確信していた死刑判決を回避することに成功し、懲役刑の判決が下されます。
ドノヴァンはさらに刑を軽くしようと最高裁への上訴を決め、アベルから危険だと
忠告されながらも弁護を続けますが、マスコミが裁判をスキャンダラスに報じ、
ドノヴァン家は自宅を銃撃されるなど過激なバッシングを受けるようになって
しまいます。
一方、時を同じくしてソ連の上空でカメラによる偵察を行っていたアメリカ兵の
パワーズは、偵察機に向けて発射された地対空ミサイルが命中し撃墜。捕らえられた
パワーズはソ連の裁判で禁固10年の判決を下されます。アベルを国民と認めたくない
ソ連は、東ドイツを経由して、アメリカ人パイロットとの捕虜交換を提案し、
ドノヴァンは、民間人としてスパイ交換の交渉役を担うよう依頼されます。
そして最後の登場人物…ベルリンの壁が建設されつつあるドイツでは、アメリカ人
留学生 フレデリックが東ベルリンにいる恋人と西側へ逃走を図りますが捕らえられて
しまいます。ドノヴァンはアベルとパイロットの交換交渉を開始するため東ベルリン
にあるソ連大使館を目指し、もう1人の救いたい人、アメリカ人留学生の事を知ります。
ここから、アベルとアメリカ人2人との2対1の交換交渉が始まっていきます。映画の
中で強く意識して描かれていたのは『不屈の精神』。ソ連のスパイ、アベルの為に
頑張れたのは、アベルの『不屈の精神』を主人公が受け取ったから。そんなアベルの
弁護や2対1の難しい交換交渉に立ち向かえたのは主人公ドノヴァンの『不屈の精神』。
物語の終わりでは、自国に帰れるアベルが、そんなドノヴァンの為に再び『不屈の
精神』で応えて行きます。この辺からはクライマックスなので映画でどうぞ…。
ちなみに題名の『ブリッジ・オブ・スパイ』とはスパイ交換が行われたグリー
ニッケ橋を指しています。クライマックスの演出は…さすがのスピルバーグ監督で、
感動間違いなしの是非ご覧いただきたい映画でした。
うーん、SFやスペクタクル、アクションやラブストーリーも良いけれど、実話を
基にして作られた映画には、一味違った深みがあって、やっぱり良いですよねぇ…。
先日、映画『アミスタッド』を観ました。この映画はアミスタッド号事件を題材に
スティーヴン・スピルバーグが映画化したもので、感動の名作です。
19世紀半ば、アフリカの大地でライオンを倒した24歳の男・シンケは妻と子供の3人で
幸せに暮らしていましたが、ある日突然拉致され、53人の仲間達と共にアミスタッド号に
商品(奴隷)として積み込まれてしまいます。
3日後、船はキューバ沖で遭難。その混乱をついたシンケ達は反乱を起こし、乗組員を
次々と殺し自由を取り戻します。シンケを含む39人の生存者達は、殺さずに生かして
おいた舵取り役のルイスとモンテスに生まれ故郷まで、船を操作するよう命じましたが、
騙され、2か月後、アフリカではなくアメリカに連れて行かれます。
言葉の通じないアメリカで投獄され、殺人の罪を負わされてしまうのです。裁判に
かけられた彼らを見た元大統領・ジョン・クィンシー・アダムズは、若い弁護士
ボールドウィンの助けを借りながら、シンケ達の自由を取り戻という内容です。
1840年、連邦予審法廷は、これらのアフリカ人たちについては、もともとのアフリカ
大陸からの移送が非合法であったと認定し、彼等は法的に奴隷ではなく、自由の身に
あると認めます。1841年3月9日、合衆国最高裁判所によりこれらの事項が認められ、
1842年、これらのアフリカ人たちは故郷へ帰還していくのです。
奴隷として船に積まれた人達が、食料不足から鎖に繋がれて生きたまま海に捨てられて
いくシーンは、本当にこんな事が行われていたのかと言葉を失うほどでした。スペイン
からの圧力や南北アメリカのお国事情も絡んでの裁判のやり取りは興味深いものでした。
興業的には成功しなかったそうですが、その内容は史実を忠実に再現したとされ、
『シンドラーのリスト』に続く歴史映画の傑作として高い評価を得ていて、お薦めの
中身の濃い、素晴らしい映画でした。
また、映画とは離れてしまいますが、主役のシンケは、ボビー・オロゴンさんに
似ているなぁと思ったり、元大統領役のアンソニー・ホプキンスは、やっぱり
素晴らしい役者さんだなぁと思ったりもして、是非見て頂きたいと思います。
『愛を積むひと』は2015年の日本の映画ですが、原作はアメリカのエドワード
・ムーニー・Jrの小説「石を積むひと」で、日本用に再構成されたもの。
佐藤浩市と樋口可南子が夫婦役を演じていますが、2人の演技も素晴らしいもので、
北海道で第2の人生を送る熟年夫婦の愛と絆を描いた感動の映画です。
東京の下町で営んでいた工場をたたみ、豊かな老後を求めて良子(樋口可南子)の
望む北海道に移住してきた2人。ガーデニングや内装アレンジなど、充実した毎日を
楽しむ良子に対し、仕事一筋だった篤史(佐藤浩市)は暇を持て余すばかり。
そんな夫を見かねた良子は、篤史に家の周りの石塀づくりを頼みます。心臓を患い、
良くない状態である事が分かりながらも、夫の事を思い病状を明かさない良子。
ところが、良子の持病である心臓病が悪化し、篤史の願いもむなしく亡くなって
しまいます。
妻の死に絶望し、生活も荒んで心を閉ざした篤史でしたが、彼女が死の直前に
綴った自分宛の手紙を、ふとしたきっかけで見つけます。良子は、自分が亡く
なった後の夫の事を思い、前に進めるように手紙で後押ししてくれたのです。
打ち込めなかった石塀にも、手紙を読んだ事で心が込められるようになり、周囲の
人々や疎遠だった娘との関わりも取り戻していきます。
映画の中で重要な役割を果たしていた手紙は、アルバムに入れられた1通、それと
アルバイトに来ていた青年の彼女に預けられた1通。それから父である篤史から
娘に宛てられた1通。
小さな町工場の仕事だった為に結婚当初から決して裕福ではなかったので、結婚
記念日には毎年『1粒の真珠』を奥さんにプレゼントしていた篤史。1年に1粒だから、
これまで溜まってきた真珠も不揃いで、色も形もバラバラ。それでも、年を重ねる
事で、1つの味わい深いネックレスになっていくという…素敵な話。こんな結婚
記念日のプレゼントも良いなぁと感心してしまいました。
物語では途中、これまでためられてきたネックレスになりかけの真珠が盗まれて
しまうのですが、後半では疎遠になっていた娘に送る手紙の中で重要な役割を
果たしていきます。詳しく説明したいところですが、是非見て欲しい映画でした。
物の豊かさではなく、人の温かさと語らぬ想いを感じられた、素敵な映画でした。
先日、ドリアン助川さんが書かれた『あん』という映画を見させていただきました。
きっかけは和菓子の源『あん』が好きだからという軽い感じだったのですが、全然
違った意味で中身のある良い映画で、是非、ご紹介したく、書かせて頂きました。
あらすじはこうです。
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桜の咲き乱れる公園に面したどら焼き屋で、辛い過去を背負う千太郎(永瀬正敏)は、
雇われ店長として、どら焼きを焼いていました。物静かで、そんなにやる気に燃えて
いる訳でもない主人公。
ある日この店を徳江(樹木希林)という手の不自由な老婆が訪れ、バイトに雇って
くれと千太郎に懇願してきます。ところが、バイト代は少しで良いから働かせて
欲しいと言ってきた彼女を、いい加減にあしらい、帰らせてしまう千太郎。
手渡された手作りのあんも、一度はゴミ箱に捨ててしまうのですが、何故か気に
なって取り上げ舐めた途端に、彼はその味の佳さに驚きます。徳江は50年小豆を
愛情をこめて煮込み続けた『あん』の達人だったのです。
店の常連である中学生ワカナに話すと、薦められて、千太郎は徳江を雇うことに
します。すると瞬く間に徳江のあんを使ったどら焼きの美味さが評判になり、
やがて大勢の客が店に詰めかけるようになります。
ところが喜びもつかの間、店のオーナーが、徳江がかつてハンセン病であったとの
噂を聞きつけ、千太郎に解雇しろと詰め寄ってきます。そして、その噂が広まった為か
客足はピタリと途絶え、それを察した徳江は店に来なくなってしまいます。
素材を愛した尊敬すべき料理人、徳江を追い込んだ自分に憤り、酒に溺れてしまう
千太郎でしたが、ワカナが彼を誘い、ハンセン病感染者を隔離する施設に向かいます。
そこにいた徳江は、淡々と自分も自由に生きたかった、との思いを語るのです。
『私は、ワカナちゃんと同じぐらいの時に、兄に連れられてここへ来たの』
『家から持参した服さえ燃やされて、私は家族も思い出も奪われて閉じ込められた…』
そんな感じの話をすると、もう。ただ死ぬのを待っているような雰囲気をかもし
出していました。
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働くときの様子、死を待つ様子…樹木希林の演技の素晴らしいこと…圧巻でした。
差別や偏見で奪われた自由、それは命を奪うのに等しいほど、残酷な仕打ちです。
思慮深く、小豆にさえ、思いをかけられる徳江の生き様を通して、差別や偏見の
罪深さを思い知らされました。
・・・と同時に、自由に生きられるのに、自ら扉を閉じてしまう事を哀れむ徳江の
『もっと自由に生きて良いんだよ』
・・・という優しいメッセージを受け取ったのでした。
映画のラストシーンは、桜に包まれる中、主人公に与えられた『自由』が映し出され
ていました。人間の醜さと、優しさと、差別と自由と…見始めは軽いきっかけでしたが、
終わってみれば、心に染みる、本当に良い映画でした。
あのトイ・ストーリーやファインディング・ニモを製作したピクサーの
『インサイド・ヘッド』という映画をつい先日、今更ながら・・・見させて
頂きました。
頭の中に存在する5つの感情たち…ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そして
カナシミが、主人たる人間の感情をコントロールしていくというお話。主人公の
誕生や成長と共に生まれた彼らが、彼女を守り幸せにするために日々奮闘して
いきます。
考えてみれば人間は小さな細胞の集まりで、その集まりに動かされている
ロボットのようなもの・・・。そんな事を改めて自覚させてくれ、何とも
超現実的で複雑な感情もわきながら、面白く見させて頂きました。
主人公を悲しませることしかできない「カナシミ」の存在が、見ていくうちに
『要らない存在』に見えてきて、ヨロコビがカナシミを置き去りにしてしまう
シーンなんぞは、そうだそうだと思ってしまう大人気ない私…。
第88回アカデミー賞、第43回アニー賞、第73回ゴールデングローブ賞他数多くの
タイトルを手にした同映画は、大人でも楽しめる娯楽作品となっていました。
そう言えば、お邪魔だと思っていたカナシミの役割も後半でしっかり設けられて
おり、必要な感情達の意味も教えられていきます。エンディングでは、それまで
周りにいた人達の脳の中にも進入し、同じように5つの感情達が奮闘していて、
久々に心底笑える娯楽アニメ映画となっていました。
ちなみにカナシミによって流される涙は、ツライ思いを洗い流し、よりヨロコビを
大きくして気持ちを切り替えさせてくれる、そんな大切な役割があったようですね。
そりゃあヨロコビばかりでは、ありがたみも無くなります。
1つのアニメでありながら、考えさせられる事もあり、心に響く作品となりました。
今日5月23日はラブレターの日。「こい(5)ぶ(2)み(3)」(恋文)の語呂合せと、
浅田次郎原作の映画『ラブ・レター』が、1998年の今日、初日であったことから
松竹が制定したとか。恋文…良い響きです。
ところで、この映画『ラブレター』をご覧になられた方はおられますか?
あらすじは、こんな感じです。
虚偽のセクハラ疑惑で大手企業をリストラされた男・高野吾郎は、 新宿・
歌舞伎町の片隅のゲームセンターで働いていました。そんなある日、その吾郎の
もとへ「死亡通知書」が届きます。死んだのは、妻・高野白蘭。1年前に
偽装結婚した、顔さえ知らない中国人売春婦でした。戸籍を売った暴力団
佐竹興業の佐竹に相談を持ち込んだ吾郎は、佐竹の部下・サトシとともに、
未だ見ぬ妻の遺体を引き取りに房総・千倉を目指します。ところが、そこで
垣間見たのは、「外国人売春婦の死などゴミ同然」というこの国の現実でした。
吾郎は、エリートから転がり落ちた自分、友を失望させた自分、最愛の妻を
裏切った自分、そして戸籍を売り、外国人労働者を食い物にする連中に手を
貸してしまった自分に…と、様々な感情が胸に去来し、やり切れなくなって
いきます。白蘭の遺品の中に残されていた遺書には…
「結婚ありがとうございました。謝謝」
そんな、彼女の純真な心が遺されていたのですいたのです…。
どうですか?見てみたくなりましたか?忘れかけていた純真な思い、感動
間違いなしの映画ですよ。是非、レンタルビデオ屋さんにでも行って、
借りて見てください。良い作品は、心を洗ってくれる…そんな気がします。
今日 4月14日は、SOSの日(タイタニック号の日)。
イギリスを出発し、ニューヨークを目指して航行していたイギリスの豪華客船
「タイタニック号」が、1912(明治45)年のこの日、ニューファンドランド島の
沖で氷山に衝突し沈没しました。2000人を超える乗客・乗組員のうち約1500人が
犠牲となりました。
このときにタイタニック号から発せられたSOS信号が世界で初めてのマル
コーニ式電信機によるSOS信号といわれています。ご存知の通り、SOSは、
世界中で用いられるモールス符号のための遭難信号です。 また一般的には
遭難に限らず救助や助けを求める際の合図として使用することもあります。
モールス符号の3短点、3長点、3短点(・・・---・・・)の信号で
構成されるので、覚えやすいし、万が一の時の為にも、是非、覚えておきたい
ものですよね。それぞれ1文字ずつ送信されたならばアルファベットのS O Sと
同じになるそうですが、各文字の間に間隙を入れずに続けて送信されます。
SOSの上に線を引くのは、字間を空けずに送信する符号であることを示すそうです。
つまり覚えやすく緊急時にも打ちやすい信号となっている訳です。
“Save Our Souls”(我らを救え)または“Save Our Ship”(我が船を救え)の略と
言われる事もありますがこれは俗説で、SOSという文字列自体は何かの略称
だったり救難信号以外の意味があるわけではないそうです。
タイタニックと言えば、ジェームズ・キャメロン監督・脚本による1997年の
大ヒット映画が印象的でした。セリーヌ・ディオンによる名曲「マイ・ハート・
ウィル・ゴー・オン」やレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット
による数々の名シーンが今でも頭に浮かんで来ます。ヒットした頃には船の
先端でケイトさんが両手を広げ、ディカプリオに支えられて鳥のように風を
切るシーンが、よくマネをされていましたよね。ケイトさん、美人でした。
スケッチのシーンなんてドキドキしながら見たものです。美男美女に美声の歌、
ヒットの要素は充分あった訳ですよね。
そう言えば、ディカプリオと言えば映画『レヴェナント 蘇えりし者』が
間もなくの4月22日公開予定となっていますが、タイトルの「Revenant」の
意味は「帰ってきたもの」「亡霊」などという意味を持つそうです。
ディカプリオのタイタニックから20年後の役者姿、予告を見ましたが、
随分と男臭さも感じられるようで楽しみです。是非、見たいと思っています。
少し前にNHKで放送された『プロヘェッショナル 仕事の流儀』
既にこのブログでもご紹介させて頂いた『るろうに剣心』の回に触れた
作曲家の佐藤直紀さんですが、2度目なので、今日は番組の中で触れられた
3つのキーワードについて書きたいと思います。
依頼に応じて、曲調やスタイルを自在に変え、同じ人の作品とは思えない
ほど豊かな曲を産み出してみせる佐藤さんは、自らを作曲家ではなく、
「作曲屋」と例えていました。正にプロヘェッショナル。作曲の中で、
佐藤さんが貫く流儀…それは、映像を何度となく見続け、映像の中に、
作り手の伝えたい意図やイメージを、ひたすら読み解いていくこと。
映像を見て、その空気や匂いを感じ取って、どんな音楽が一番はまるかを
探り続けるのだそうです。
● あがいてあがいて、あがき抜く
自分を追い詰める。追い詰めて追い込んだ時にアイデアが生まれたり
越えられない壁を乗り越えられたり、視点を変えられたり…よく聞く話です。
佐藤さんは、自分に音楽の才能があると思ったことはないといいます。
まだ駆け出しの頃は、仕事先からいつも、「佐藤さんの個性が見たい」と
言われたそうな。自分の個性とは何か?佐藤さんは悩み続けたそうです。
転機が訪れたのは、10年目につかんだ映画の仕事。求められる曲のレベル
の高さに、佐藤さんは悪戦苦闘しました。ひたすら映像を見続け、体から
絞り出すように、何度も曲を直し続けたそうです。そうして出来上がった
映画は大ヒット。以来、どんな仕事でも最後まであがいて、注文に応えて
きた佐藤さん。いつしか、そのメロディは「佐藤節」とも呼ばれるように
なっていきました。
●「個性は出そうと思って出るものではない。とことんあがき続ける中で
にじみ出てくるものが、個性になるのではないか。」
去年夏、佐藤さんは3年にわたって放送されるNHKの大河ファンタジー「
精霊の守り人」の音楽を作ることになりました。既に第1回が放送されま
したよね。そのテーマ曲で求められたのは、パワー。そして、一度聞いたら
忘れられないメロディ。
45歳の佐藤さんは、自分が作曲家の第一線に立てるのはあと10年が限界だと
考えているそうです。自分に課しているのは、「次の曲は、一つ前の曲を
超える」ということ。常に最高の音楽を目指す覚悟で、1曲1曲に挑んで
いるとのこと。「いいものを作らないと次はないという覚悟は当然あります。
一番新しい作品に関しては、これまでの僕の音楽の中でベストを作りたい。
そこを目指しています。」
● 最新作を最高傑作にする
正にプロヘェッショナル…作曲屋でした。全く生きる世界の違う人ですが
仕事に対する姿勢は、見習わなくてはならないですね。
連休終わってしまいましたね。連休はいかがでしたか?
私は、ビューティフル・マインドという映画を見たので、そのお話
について今回は書きたいと思おます。
この映画は、ノーベル経済学賞受賞の実在の天才数学者、ジョン・ナッシュ
の半生を描いた物語です。第74回アカデミー賞では作品賞、監督賞、
助演女優賞、脚色賞を受賞し、ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)
脚本賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞しました。主演は、あのラッセル・クロウ。
このジョン・ナッシュの専門分野は微分幾何学で、リーマン多様体の研究に
関して大きな功績を残したそうです。1994年にゲーム理論の経済学への
応用に関する貢献によりラインハルト・ゼルテン、ジョン・ハーサニと共に
ノーベル経済学賞を、2015年に非線形偏微分方程式論とその幾何解析への
応用に関する貢献によりルイス・ニーレンバーグと共にアーベル賞を受賞
しています。
映画は、彼の天才数学者としての偉業と成功、及び後の統合失調症に
苦しむ人生を描いています。残念ながら昨年5月23日、ジョン・ナッシュ
(86歳)はアメリカ・ニュージャージー州で発生した交通事故で亡くなった
そうです。
ここのところ続いている偉人シリーズの数学者や物理学者の映画と比べると、
統合失調症の表現から恐怖や嫌悪感のような物を感じてしまった為に、
今一つ、私は受けとめ難かったのですが、最後にノーベル賞候補に
あがって、周りの人に認められていくシーンは、本当に感動的でした。