『護られなかった者たちへ』は、中山七里さんの長編推理小説。『河北新報』など全国14紙に2016年2月から2017年9月に連載、2018年1月にNHK出版より刊行。東日本大震災後の復興が進む仙台で発生した連続殺人事件を巡り、日本の生活保護制度の欠陥に迫る社会派ミステリーとなっています。
2017年12月の時点で受給している世帯が全国で164万世帯あるという生活保護の実像を描いた社会派ミステリー。宮城県警捜査一課の刑事である笘篠誠一郎と、元模範囚の利根勝久、2人の目線で物語は並行して進展していく。出版社側から、仙台を舞台にした物語を書いてほしいというオーダーがあったため、テーマはすぐに決まったそうです。
2021年に映画版が公開されますが、今回はその映画の話になります。
東日本大震災から4年後、仙台市内のアパートで、両手を拘束されたうえ四肢や口をガムテープで塞がれ、餓死した状態の遺体が発見されます。被害者の名は三雲忠勝。福祉保健事務所の人間だということがわかり、金銭に手がつけられていなかったことから怨恨の線で捜査が始められますが、身辺を洗っても、職場でも家庭でも三雲のことを悪く言う者は誰もいませんでした。
しかしそれから4日後、今度は宮城県議会議員の城之内猛留が公園近くの森の中にある農機具小屋の中で遺体として発見されます。遺体の状態は記者クラブにも流していない共通項が多く、十中八九同一人物によるものだと判断されました。
城之内にも公私ともに悪い噂すら見つからなかったため、犯人は善人や人格者に照準を定めていると考えた捜査本部は、前科者や精神科に通院歴がある者からあたるよう指示しますが、宮城県捜査一課所属の笘篠誠一郎は2人に必ず何か共通点があるはずだと考えていきます。そして城之内が議員になる前は厚労省の公務員であり、三雲と城之内が塩釜福祉事務所で2年間、同じ時期に職員として働いていたことをつきとめます。
笘篠とそのパートナー・蓮田は、三雲の部下である円山菅夫に話を聞いたり、福祉事務所の仕事の1つであるケースワーカー業務に同行して生活保護受給者たちと接触し、行政側が真っ当な対応をしていても逆恨みされていることがあることを知ります。
2人は捜査対象を三雲と城之内が勤務している期間に生活保護申請を却下された者や、受給していながらケースワーカーの報告で打ち切られた者にしぼり、塩釜福祉保健事務所からその対象者のリストが入ったUSBと資料をなんとか手に入れます。
2年間で700件近くあった該当者の中で、不服申し立てを含み申請が複数回に及ぶ者や事務所関係者とトラブルがあったものに絞っていくと、4人の容疑者が浮上していきます・・・。
現実の問題を問うかのような物語は、複雑な思いの中進んでいくのですが、是非見てほしい仕上がりになっています。思えば学校は夏休みに突入。猛暑の中、屋内に引きこもっている時間の中に組み込んで頂けたらと思ったり・・・
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『ゴジラ-1.0』(ゴジラ マイナスワン)は、戦後間もない日本を舞台に描かれる、山崎貴VFX・脚本・監督によるゴジラシリーズの映画です。タイトルに付けられた-1.0には、「戦後、無(ゼロ)になった日本へ追い打ちをかけるように現れたゴジラがこの国を負(マイナス)に叩き落とす」という意味があるそうです・・・。
『ゴジラ』シリーズでは37作目であり、国産の実写作品としては通算30作目。『シン・ゴジラ』以来7年ぶりとなり、ゴジラ生誕70周年記念作品と位置付けられています。
第96回アカデミー賞では邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞したことはニュースでも大きく取り上げられたので、皆さん周知の事かと思います。それまでに歴代のアカデミー賞の中で、監督として視覚効果賞を受賞したのは『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリックのみであり、山崎監督は55年ぶり、史上2人目の受賞監督となりました。
映画史に名を残す錚々たる大作が並ぶ視覚効果賞の歴代受賞作と比較して、製作費が15億円以下とかなりの低予算であることもアメリカの映画関係者を驚かせたのも皆さんよく御存知の話かと。
少しネタバレになりますが、映画は・・・
第二次世界大戦末期の昭和20年。敷島浩一は特攻へ向かう途中で零戦が故障したと偽り、小笠原諸島に位置する大戸島の守備隊基地に着陸する。その日の夜、島の伝説で語り継がれる、全長15メートルほどの恐竜のような生物「呉爾羅(ゴジラ)」が基地を襲撃する
昭和21年夏。ビキニ環礁で行われた米軍による核実験「クロスロード作戦」により、その近海にいたゴジラは被曝し、体を焼き尽くされたが、それによってゴジラの細胞内でエラーが発生し、その体は体高50.1メートルまでに巨大化する。
そう、まさにこれがゴジラ誕生の逸話で、その時代を取り上げて描いたという意味でも、本作品はとても興味深いものになっています。さすがにこれまでのゴジラ映画を全て見たわけではありませんが、視覚的な話より、映画そのものとしてこれまで中ではTOPクラスのゴジラ映画だった気がします。
一か所だけ銀座の通りで主人公と女性が出会うシーンには無理がありましたが、それ以外は文句なしで、是非怪獣映画だからではなく、見て欲しい映画でした。
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今更のご紹介で申し訳ありませんが、NHKのBSで放送されてきた【舟を編む 〜私、辞書つくります〜】という連続ドラマにハマってきました。明日21日が最終回となってしまいますが、今は色んなネット番組でも簡単に再放送が見られるので、是非見て欲しいドラマです。「一冊の辞書に情熱と心血を注ぐ、作り手たちの奮闘物語。」そう補足されていますが
『舟を編む』(ふねをあむ)は、三浦しをんさんによる小説で、2012年、本屋大賞を受賞し、2013年、石井裕也監督、松田龍平主演で映画化され、2016年にはテレビアニメが放送されました。更に明日が最終回となりますが2024年2月より、池田エライザさん主演でテレビドラマ化されNHKで放送されたものを今回ご紹介という訳です。
私が初めて、この物語と出会ったのは松田龍平さんと宮﨑あおいさんが主演を務めた映画でした。映画は、2012年夏に撮影され、2013年4月に公開。監督は石井裕也さんで、映画版では、物語の開始時点で1995年という年代設定がされています。
2013年9月に日本映画製作者連盟により第86回アカデミー賞外国語映画部門日本代表作品となり、日本の映画賞では第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ6部門の最優秀賞、第68回毎日映画コンクール日本映画大賞、第38回報知映画賞作品賞、第26回日刊スポーツ映画大賞作品賞などを受賞。このほか監督の石井裕也・主演の松田龍平をはじめとするスタッフ・キャストも多くの個人賞を得ています。
そう、それだけでも凄いことなのですが、今回連続ドラマとして放送された作品は、こう言っても大げさではないと思いますが、映画より更に細かい拘りのシーンがプラスされ、映画を観ている私でも、最高に面白いものに仕上がっています。本当に「言葉」を楽しめる秀作となっています。
ドラマは原作と違って主人公が馬締(まじめ)ではなく、新入り社員・岸辺みどりの視点で描かれる全く新しい『舟を編む』全10話となっています。では、ちょこっと触れると・・・【あらすじ】
大人気ファッション誌の編集部員・岸辺みどり。雑誌の廃刊が決まり、突如異動になった先は辞書編集部!そこは、ぼさぼさ頭で超がつくほどの生真面目上司・馬締光也を筆頭に、くせ者ぞろい。みどりは、彼らに翻弄されながらも、一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも言葉の魅力を発見、辞書編さんの仕事にのめり込んでいきます。物語は、そんな辞書「大渡海」を完成させるまでの、辞書編集部員たちの奮闘物語なのです。
誰もが一度は手にしたことのあるぶ厚い本、辞書。一見淡々と言葉が敷き詰められたように見える辞書の裏には、「作り手」の想像を絶する情熱と心血が注がれています。「ヤバい」に無数の意味を持たせ、込み入った会話は簡略化。空気を読み、雰囲気で済ませてしまいがちな昨今。そんな時代だからこそ、言葉にこだわる辞書作りの魅力を通し、”言葉は誰かを傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かとつながるためにある”という未来への希望を伝えたい。
言葉の深い意味、思わぬ言葉の本質の意味、辞書の役割や意外な価値、その時の解釈を残すことの意味。言葉は変わる それを追いかける 言葉の面白さ大切さ 辞書が作られていく中で、様々に存在する拘りは、言葉の選択から意味、辞書に使われる紙へのこだわり迄、凄すぎて感心するばかりでした。
言葉の面白さと言えば、竹野内豊さんのNHKドラマ初主演作で、朗読教室を舞台に描く2017年の「この声をきみに」も面白いものがありましたが、日本語はなんと豊かなことが、光源氏のひらがなも、本当に豊かな国に生まれた幸せだなぁと思ってしまいます。「ひらがな」も良いですよねぇ・・・。
【舟を編む】最終回は明日2024年4月21日の放送ですが、是非1回から通してご覧頂きたい素晴らしいドラマとなっているので・・・是非是非ゴールデンウィークにでも再放映サイトでご覧頂ければ幸いです。
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驚きの結末で、久々に凄い映画でした・・・。『女神の見えざる手』は、2016年に公開されたアメリカ合衆国の社会派サスペンス。監督はジョン・マッデン、主演はジェシカ・チャステインが務めています。内容はこんな感じ・・・
エリザベス(リズ)・スローンは政界で畏敬の念を持たれるほど有能なロビイストである。コール=クラヴィッツ&ウォーターマン社に所属する彼女はどんな依頼も成功に導いてきた。
ある日、リズの元に銃器保有に賛成する女性を増やして欲しいという依頼が舞い込んで来るが、彼女はその依頼に来た銃ロビー団体会長のビル・サンドフォードを冷たくあしらってしまう。アメリカ合衆国議会に対して最も影響力を持つ利益団体からの案件を蹴ったことで上司のジョージ・デュポンと口論になるも、彼女は銃の規制強化に賛成しており、考えに反する依頼を受けるつもりはなかった。
その夜に行われたパーティーを途中で抜け出し帰ろうとした時、リズは見知らぬ男から話しかけられる。彼は銃規制強化法案の賛成派に付くロビー会社ピーターソン=ワイアットのCEOロドルフォ・シュミットであり、リズを引き抜きに来ていたのだ。
翌朝、リズはミーティングの場で即日ピーターソン=ワイアット社に移ることを告げ、数人の部下と会社を去っていくが、片腕だったジェーン・モロイとは袂を分かつことになった。
会社を移ったリズは早速チームに指針を示し、ロビー活動を開始する。敵である銃ロビー(銃の規制強化反対派)は圧倒的な資金力を持ち、法案を通さないために必要な議員の数も少ない。劣勢にあるリズは様々な手を駆使して賛成派の議員を増やしていく。
だが銃ロビーも黙っておらず、リズ達に妨害工作を仕掛けてきていた。リズは機転を利かせてチーム内の裏切り者を見つけるが、それは自身が雇っている非公式のサポートチームによる違法な手段によるものだった。
リズの策は次々と効果を発揮し、着実に勝利へと近付いていた。そんな中で行われた元同僚であるパット・コナーズとのテレビ対談において、リズは独断でチームの一員であるエズメ・マヌチャリアンを銃被害者として衆目に晒す。勝つために手段を選ばないリズは、エズメを説得してコメントを発信させる。
会社に戻ってきたリズはロドルフォに非難されるが、自身が仕込んできた秘策を明かすことでその場を収める。一方で、優勢に転じるリズ達に危機感を持った銃ロビーはリズへの個人攻撃を画策していた。
そんな中、エズメが銃を持った男に襲われる事件が発生する。幸い大事には至らなかったが、彼女の命を救ったのは居合わせた一般市民による銃撃だった。リズはエズメを心配して会いに行くが、テレビ対談の件から不信感が燻っていた彼女はリズの下を離れてしまう。
事件を受けて世論は銃規制強化に反対する方向へ傾き、リズへの個人攻撃も始まった。リズが行った違法行為の証拠をジェーンが見つけたことをきっかけに聴聞会が開かれ、利用していたエスコートサービスの男性フォードまでもが証人として現れる。
別の日、聴聞会の結論が出される場において、意見を述べる機会を得たリズは勝つために手段を選ばなかった自身の非を認めるとともに、アメリカの政治が腐敗していることを批判する。続けて、ロビー活動における持論を語り始める。
・・・・・
米国の政界を舞台に、銃所持規制法案を巡って熾烈な駆け引きが展開しますが、そこでチャステインが演じるヒロインのロビイストは、敵対勢力から徹底的に追い詰められてしまい……。そんなヒロインが終盤、決死の反撃に挑むのがなんとも痛快な一本です。さまざまな伏線が終盤の大逆転劇に向かっていくうち、なだれ込みながらもつながっていくのが手に汗握り、見終わった後には走り抜いたような満足感に満たされます。
機会があれば是非ご覧ください。
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映画『ある男』は、平野啓一郎さんによる日本の長編小説で、『文學界』2018年6月号に掲載されたのち、2018年9月30日に刊行されました。第70回読売文学賞受賞。2022年に石川慶が監督を務め、実写映画化されました。第46回日本アカデミー賞で最優秀作品賞に選出された、とても深い味わいのある作品となっています。
「ある男」の妻となる里枝は、前の夫と離婚後、子供を連れて故郷に帰り、そこで出会った「ある男」谷口大祐と再婚。新たに生まれた子供と4人で暮らしていましたが、大祐は事故で他界してしまいます。ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が、遺影に写っているのは大祐ではないと告げたことから、夫が全くの別人だったことが判明します。かつて里枝を担当した弁護士・城戸章良は大祐の正体を追う中で、驚くべき真実に近づいていきます。
里枝の夫である大佑は、本人ではない・・・。温泉旅館の次男である大佑という男は、結婚していた男とは全くの別人であることを知る里枝。では、自分が愛したこの男は一体誰なのか?そのルーツを探っていくと見えてくるのは、戸籍交換をするブローカーの存在。大佑を名乗っていた男は、死刑囚の息子の小林誠という人物でした。死刑囚の息子という出自からどうしても逃げ出したかったのです。父親にそっくりな自分の顔を見るたびにどうしようもない苦しい衝動に駆られ、父親の顔を被った自分の姿を見ることがたまらなく嫌でした。
どんなに近しい相手でも、その人から「あなたはこういう人」と決めつけられてしまうと、それはその人にとってはすごく息苦しいこと・・・。どう生きていても父親の影がちらついていきます。暴力的な面を見せれば「死刑囚の父親」だからとレッテルを貼られます。小林姓から母親の旧姓に変えたところでどこかでバレてしまう・・・。呪縛のような名前から逃れるために、戸籍交換をしたのです。
人里離れた場所で生きていこうとしたところで、里枝と出会います。里枝は幼い子どもを亡くし、元夫と離婚・・・実家に帰ると父親が亡くなるという壮絶な境遇にありました。2人は程なくして愛し合い、結婚します。里枝のもう1人の子供と、2人の間にできた娘と4人で仲良く暮らしていました。過去を話さない男でしたが、その時間が幸せだったことは、里枝と息子の悠人とのやりとりでわかりますが、そこで暮らした4年間はとても平穏なものでした。
「こうやってわかってみるとですけど、本当のことを知る必要はなかったのかもしれません」・・・これは、真実を知った里枝が、城戸に言った言葉です。男と出会い、愛し合って、家族と仲良く過ごした時間は事実だったし、家族を愛していたし、そして愛されていたのですから。
城戸は、里枝からの依頼で調査を続けるうちに、自分の出自とも否が応にもむき合うことになります。在日3世という立場で、日本に帰化し、日本人の妻を持つ。日本人の生活に溶け込んでいるものの、出自がついてまわるのは、城戸も同じでした。殺人鬼の息子という、戸籍を変えてでも逃れたいと願うほどの出自ではないにしろ、義父のように在日に対する偏見のある人に出会ったり、外国人へのヘイトスピーチがテレビで報道されたりするたびに自分を意識せざるを得なかったのです。
色々な物事や過去に囲まれてその人自身の本質が見えにくくなる中、本当に大切なものは、そこにある「その人そのもの」を見てあげる事。一方的な思い込みから誹謗中傷が、そこかしこから溢れ出し、暴走し、心無い刃となって罪もない人まで傷つけていきがちな世の中・・・。もっと皆が思いやりのある世の中になっていって欲しいものです・・・。
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『ジョー・ブラックをよろしく』は、1998年に公開されたアメリカ映画で主演は主演はブラッド・ピットと私の大好きな俳優さんでアンソニー・ホプキンス。
ネタバレになりますがストーリーはこんな感じ・・・
大企業の社長である通称ビルは、ニューヨークの誰もが知る大富豪の老紳士。ところが、65歳の誕生日を間近に控えたビルは、「イエス」と呼びかけてくる幻聴に悩まされていた。ビルはスーザンが恋人ドリューに燃えるような愛情を抱いていないことに気がついていた。愛情を持たぬまま結婚することに不満を持つビルは、自分と妻との恋愛のような稲妻みたいな恋があること、そのような恋がなければ人生に意味などないとスーザンに伝える。そのままヘリがニューヨークに着くと、先ほどスーザンに伝えた言葉が幻聴として聞こえて不思議に思う。
ビルの教えを聞いたスーザンは、職場の病院に向かう前に、近くのコーヒーショップに立ち寄る。すると電話越しに相手を励ます声が聞こえ、その青年の会話を微笑ましく聞く。青年は田舎らから引っ越してきたばかりで、電話の相手は失恋したばかりの妹だった。恋愛は永遠じゃないという励ましの言葉にスーザンは共感し、そこから二人はすぐに打ち解け合う。別れを先延ばしにするために、青年はもう一杯コーヒーをスーザンに勧め彼女は了承する。スーザンは青年の名前も知らないままだったが、二人は互いに意識するようになる。しかし二人は次に会う約束をできずに別れてしまい、青年はその先の交差点で車に跳ね飛ばされてしまう。
その夜、誕生パーティーの打ち合わせのために、ビルは家族と食卓を囲んでいた。悩み事でうわの空のビルは、再び幻聴を聞き、玄関先に来ていると告げられる。玄関へと向かうと、ビルの前に青年の肉体に憑依した死神がいた。たびたび聞こえていた幻聴は死神の声であった。死神が乗り移った青年は、ビルに死期がきたと告げる。しかし死神は人間界に興味を持ちはじめていたため、ビルの死期を先延ばしする代わりに人間界の案内を要求する。その契約を了承したビルは、会食に集まった人々に青年(死神)をジョー・ブラックと紹介する。
突然現れたジョーを、アリソンと夫クインスは彼を好意的に受け入れる。遅れて現れたスーザンは、恋し始めていた青年が目の前にいることに驚くも、朝方とは一変してよそよそしい様子に落胆する。またビルの右腕であるドリューは、恋人のスーザンとただならぬ関係にありビルと親しいジョーに対して不信感を抱く。ビルはジョーとスーザンが知り合いであることを察し、死神が青年の体に憑依していることを知って驚く。
人間界が初めてのジョーは、屋敷の中を歩き回り、キッチンに置いてあったピーナッツバターやクッキーを気に入る。さらに歩き続けていると、迷い込んだ最上階のプールでスーザンと二人きりで出会う。よそよそしい態度は訪れたばかりの街に慣れていなかったためと釈明したジョーは、友達になってほしいとお願いする。この提案を受け入れたスーザンは、すでに心を開きはじめていた。しかし、スーザンのことを心配したビルは、ジョーに家族に関わらないことを約束させる。
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とてもよく出来たストーリーで、その後の展開も面白く、感動のエンディングを迎えていくお薦めの映画です。何といってもアンソニー・ホプキンスの良さも余すところなく出ていて大満足の3時間でした。
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カナダの日本人野球チームが偏見と差別を乗り越えていく物語ですが、実際にこんな事があったのかと思うと、なかなか面白く見る事が出来ました。
『バンクーバーの朝日』は、2014年制作の日本映画。フジテレビジョン開局55周年記念作品で、戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」を描いた作品。石井裕也が監督し、主演は妻夫木聡。その他、KAT-TUNの亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮など、実際に野球経験のある俳優を起用して撮影が行われました。
1900年代初頭、日本は不景気であり、多くの日本人が新天地を夢見てカナダへ渡っていきました。しかし現実は、過酷な肉体労働や貧困、云われのない差別…という厳しさ。そんな中、日本人街に野球チーム「バンクーバー朝日」が生まれます。体格で上回る白人チーム相手に負け続け、万年リーグ最下位でしたが、彼らのプレイは日本人街の希望の光となっていきました。
ある年、キャプテンに就いたレジー笠原は、敵の三塁手が大柄で動きが鈍そうなことからセーフティバントを思い立つ、さらに盗塁を組合せて念願の得点を取ることに成功しました。これをきっかけに、バントと盗塁を多用するプレースタイルを思いつくと、その大胆な戦法は「頭脳野球」「サムライ野球」と呼ばれ、同時にフェアプレーの精神でひたむきに戦い抜く彼らの姿は、日系移民たちに勇気や希望をもたらし白人社会からも賞賛と人気を勝ち取っていき、シーズン最終戦に優勝を賭けた大一番を戦うまでになっていきます。
朝日の活躍は、日系移民とカナダ人との垣根を下げるのに寄与したかと思ったが、泥沼化した日中戦争の打開を図るため、1941年12月、日本軍が真珠湾攻撃を行い太平洋戦争が勃発すると、一転して日系移民は敵性国民として強制収容されることになってしまいます。彼らが収容所から出たのは終戦後5年後、さらに朝日と言う野球チームの名誉が回復されるには60年の歳月が掛かることとなってしまうのです。
今、海外では大谷選手や鈴木選手、ダルビッシュ選手と大活躍する選手も多くなっていますが、こんな時代と比較しながら、昔の苦しい中を生き抜いた姿を知る事も、なかなか良いものでした。間もなくゴールデンウィーク。時間にゆとりがあれば、是非見て頂きたい映画となっています。
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『北里大学獣医学部 犬部!』は、片野ゆかのノンフィクション書籍。2010年4月にポプラ社から刊行され、2012年4月6日に文庫化されました。「命の売り買いを簡単にしないでほしい!」「犠牲者は弱い生き物たち」そんな思いが込められた、青森県十和田市の北里大学獣医学部にある、犬や猫のため活動するサークルをする学生たちの物語です。
2011年に、二つの雑誌で漫画化されたようです。『ツヅキくんと犬部のこと』(漫画:衿沢世衣子)が『エレガンスイブ』(秋田書店)にて2011年5月号より隔月で連載。『犬部!-ボクらのしっぽ戦記-』(漫画:高倉陽樹、シナリオ協力:はまなかあき)が、『週刊少年サンデー』(小学館)にて2011年26号より2013年32号まで不定期でシリーズ連載、最終回は『クラブサンデー』(同)に掲載されたようです。なお、一つの原作が二つの媒体で連載されることは、「例外中の例外」という話です。『ツヅキくんと犬部のこと』の単行本発売に合わせ、作者の衿沢が描きおろしたイラストをデザインしたTシャツも販売されたようです。
2014年にNHK ドキュメント20mim.にて犬部!(現・北里しっぽの会)に所属する学生の奮闘を描いたドキュメンタリー番組『さよなら、ココ』が放送され、映画『犬部!』は、2021年7月22日に公開。監督は篠原哲雄、主演は林遣都。
公式サイト https://inubu-movie.jp/books.html
犬部とは、北里大学獣医学部(青森県十和田市)に実在したサークルで、行き場をなくした犬や猫を保護して、必要に応じて世話・しつけを行い、新しい飼い主を探す活動をした学生ボランティア団体です。2004年、太田快作氏を中心に、北里大学の有志によって結成された。現在は「北里しっぽの会」と名称を変え活動中とのこと。
コロナ、物価高、ロシアによるウクライナ侵犯、巨大地震、異常気象と嫌な事ばかりが目に付く昨今。心がホッコリする温かい映画を見てみませんか?
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『罪の声』は、塩田武士さんの2016年発表サスペンス小説(講談社刊)。グリコ・森永事件をモチーフとしており、2016年度週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞を受賞しています。2020年に土井裕泰監督、小栗旬さんや星野源さんのダブル主演で映画化され数多くの賞を獲得し、話題になりましたよね。映画公式サイトは、こちら。
https://tsuminokoe.jp/index.html
執筆の経緯もお伝えしておくべきと思いますので、書かせて頂きますが、塩田さんは大学時代にグリコ・森永事件の関係書籍を読み、脅迫電話に子どもの声が使われた事実を知り、自らと同年代でもあるその子どもの人生に関心を抱いたそうです。将来的にはこれを題材とした小説を執筆したいと考えていましたが、塩田さんは新聞社に就職、記者となりました。
その後、塩田は2010年に小説家としてデビューし、担当編集者に相談をもちかけたものの、筆力の低さを理由に断られてしまったため、さらに5年を待って執筆を開始。執筆に際して、1984年から1985年にかけての新聞にはすべて目を通しているそうです。作中の犯人はフィクションですが(実際のグリコ・森永事件でも、犯人検挙には至らず未解決事件となっています)、各事件の発生日時、犯人による脅迫状・挑戦状、事件報道は「極力史実通りに再現しました」としています。気になる「あらすじ」はこんな感じ・・・
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京都市内で紳士服のテーラーを営む曽根俊也(星野源)は2015年夏のある日、父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには大量の英文のほか、「ギンガ」と「萬堂」の文字が書かれていた。さらにテープを再生すると、何かを語る子供の声が聞こえてきた。
それは31年前、大手製菓メーカーのギンガと萬堂をはじめ食品会社数社が脅迫・恐喝され、既に時効となったものの、現在も未解決のままの“ギンガ萬堂事件”(ギン萬事件)の脅迫犯の音声と全く同じものだった。これが幼い頃の自分の声だと確信した俊也は、父の代から親交のある堀田信二に事情を打ち明ける。堀田はノートを預かり、数日後に俊也を誘って、30年にわたって消息不明の俊也の伯父を知る人物と面会し、伯父の来歴や消息などについて話を聞いた。その人物はギン萬事件と伯父の関わりをうかがわせるようなことを口にした。
一方、ちょうど同じころ、大日新聞大阪本社で文化部記者を務める阿久津英士(小栗旬)は、年末掲載予定のギンガ萬堂事件の企画記事に応援要員として駆り出された。イギリスに出張を命じられ、1983年のハイネケン社長誘拐事件について元誘拐交渉人に取材したり、当時イギリスでハイネケン事件を調べていたという中国人を探したものの、空振りに終わる。帰国した阿久津は、事件前にギンガの株価を扱った証券雑誌の記事を見て、仕手筋のやり口を証券関係者から聞いたりするが、事件に直接結びつく話には至らなかった。
堀田と俊也は、得た情報をもとに犯人グループが会合を開いたという料理屋に話を聞きに行く。伯父がいたという証言は得られなかったが、板長は堀田が特徴を伝えた別の男はいたと答える。堀田はそのあとで、生島というその男が元滋賀県警察の人物で、伯父とも交友があったと俊也に打ち明けた。
成果の出ない阿久津は、「くら魔天狗」と名乗っていた犯人グループの無線交信を傍受録音した人物が愛知県にいたという事件当時の取材記録から、再度その情報を洗うことにした。空振りかと思われた取材は、意外な形で成果をもたらした。そこから浮かび上がった人物が常連だったという料理屋に阿久津が取材に入ろうとするころ、堀田と俊也は生島の家族の消息を知る人物を追っていた。やがて、俊也と阿久津はお互いの存在を知る・・・
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なかなか良く出来た構成で、最後まで夢中になって物語の中に入り込んでいけました。まだご覧になられていない方は、是非、ご覧頂ければと思います。一番思って欲しいのは、何も分からない子供を大人が利用したこと…。その重さに心を及ばせて頂けたならと思います。
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ご無沙汰しております。…っていうか、ブログの更新がなくても安定したアクセスが得られるようになっているので、仕事にかまけて、ついつい怠けてしまっております事ご了承ください。
この間、年末年始が入って休み中は初詣以外、出かけることなくドラマや映画、お笑い番組とテレビ三昧の日々を送っており、そんなwowow映画三昧の中から3作(実話を元に作られた作品とアニメーション映画になります)を今回はご紹介させて頂きたいと思います。
まず最初は・・・
【こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち】
全身の筋力が徐々に衰えていく進行性筋ジストロフィーという難病を抱え、北海道札幌市に在住していた男性を取材したノンフィクション作品です。1人では体を動かせないうえ、痰の吸引を24時間必要とする主人公が選んだ自立生活と、それを24時間体制で支えるボランティアたちの交流が描かれています。
書籍のタイトルは、夜中にいきなり「バナナが食べたい」と言い出した主人公に対して、ボランティアの一人が心に浮かべた感想から取られたもの。主人公の自由奔放な性格の象徴として紹介されるエピソードであると同時に、障害者と介助者との対等な関係がいかに構築されるべきかという、ノーマライゼーションの本質を問うタイトルとなっているとのこと。
第35回大宅壮一ノンフィクション賞、第25回講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞していますが、なかなか楽しく見させて頂き、また思い込みだった接し方を、改めて考えさせられる映画でした。
公式サイト
https://bananakayo.jp/
2つ目は、
アニメ映画【心が叫びたがってるんだ】
主人公の少女は小学生の頃、憧れていた山の上のお城(ラブホテル)から、父親と見知らぬ女性(浮気相手)が車で出てくるところを目撃。少女は二人が「お城から出てくる王子様とお姫様」だと思い込み、それを母親に話してしまい、両親の離婚を招いてしまう。家を去る父親から「全部お前のせいじゃないか」と言われ、ショックを受けた少女は夕景の坂道(階段)でうずくまって泣いていると、何故か玉子の妖精が現われ、「お喋りが招く苦難を避けるため」という理由で、少女の「お喋り」を「封印」してしまいます。
物語は声を失った少女が、クラスメイトから「歌なら呪いも関係ないかもしれない」と話されたことで気持ちを伝える糸口を見出し、やがてクラスメイトの「(自分が)傷ついていいから、おまえの本当の言葉、もっと聞きたいんだ」と話しかけられることで、傷つきながらも良い方向に向かっていけます。なかなか感動の作品でした。
公式サイトはこちら・・・
https://www.kokosake.jp/
何故か、実写映画も制作されたようです・・・それが、こちら
https://kokosake-movie.jp/
さてさて、最後の3作目は…
【僕と妻の1778の物語】
これもまた実話を元にした作品です。SF作家の主人公は大好きなSFの執筆に空想を膨らませ、妻と仲睦まじく過ごしていました。ある日、節子は腹痛に襲われ妊娠かと思われましたが、朔太郎は実際は大腸がんに侵され余命1年であることを告げられてしまいます。妻の力になろうとするが空回りしてしまう朔太郎。しかし朔太郎は「笑うと免疫力が上がることがある」という医師の言葉から、毎日1編ずつ妻のために短編小説を書くことを決意していきます。
病院でも取りつかれたように小説を書く主人公に、次第に周りの人が引き込まれていく不思議な映画でした。勿論、とても感動しました。
映画は、全国315スクリーンで公開されましたが、初日2日間で興収1億5,969万5,200円、動員は12万1,783人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第1位となったものです。都内で行われた特別上映会には皇后陛下が御臨席され、注目を集めたそうです。
公式サイトはないので、こちらで・・・
https://movies.yahoo.co.jp/movie/336896/
新年が始まって、早くも1月後半に差し掛かっていますが、2月はうるう年で一日多く、新しい天皇誕生日もある事ですから、お時間のある時に是非ご覧ください。
こんな適当な展開ですが、今年も宜しくお願いします。
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