今年5月20日に開催された世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王座決定戦で、ロンドン五輪
金メダリストの村田諒太選手が、同級1位のアッサン・エンダム(フランス)からダウンを
奪っておきながらも、まさかの1-2の判定でプロ初黒星を喫しましたが、その後、WBA・メン
ドサ会長が判定は誤りと表明。エンダムの勝ちとしたジャッジ2人を資格停止処分として、
再戦が決まったのは記憶にも新しい所。
そして、先日10月22日試合。それほどボクシングが好きな私ではありませんが、前回の判定に
納得のいかない私も、今回は見逃せないと見入っていました。平均視聴率20.5%、瞬間最高
26.7%の高視聴率を記録したようですから、ご覧になられた方も多かったのではないでしょう
か。
序盤から接近戦を展開した村田選手とエンダム。激しい打ち合いの中、村田選手は強烈な右を
エンダムにヒットさせ、着実にダメージを与えていきました。6回には右ストレートがエン
ダムの顔面にクリーンヒット。7回も村田が優勢に試合を進めると、8回開始直前にエンダム
陣営がタオルを投げたのです。
新王者に輝いた村田選手は、決まった瞬間にリング上で男泣き…観ているこちらも熱いものが
こみ上げたものです。95年の竹原慎二以来、日本人2人目のミドル級王者となった村田選手は、
念願のベルトを手にすると「今回の試合のTシャツ買ってくれた方もいるかと思うんですけど、
メイクディスアワーズです。みんなで作った勝利です。泣いてません。デビューした年の12月、
両国で試合したときに全然良くない試合で、僕なんて全然チャンピオンになれないと見捨てら
れるかと思ったら、こうやってみなさん来てくれて、感謝しています」と話していました。
某番組で試合までの村田選手に密着していましたが、読書好きで哲学を好むインテリボクサー。
絶対に完全勝利をしなければならないという大きなプレッシャーを跳ね除けての快勝、本当に
感動しました。村田選手、王座獲得おめでとうございます!! お疲れ様でした。
先日、あまりにも悲しすぎる映画『7つの贈り物』を観ました。ウィル・スミス主演の映画
で、謎に包まれたまま映画が進行し、時間の経過とともに主人公の苦悩や、しようとしてい
る事が分かっていきます。よせばいいのに、この映画を観るのは2回目でした。
最初のうちは、主人公の行動があまりにも謎めいており、友人とのやり取りも、いったい
何を依頼しているのか? なぜ彼は困っている人に贈り物をしようとしているのか?
映画はその答えのヒントを小出しにしながら、ラストへ向かっていきます。まったく予想の
つかない結末と、その後の感動。ミステリー要素も強く、つい最後まで観てしまう映画なの
です。
ウィル・スミス演じる主人公は、運転中に携帯電話に気を取られて大規模な事故を起こして
しまいます。現代ならではの携帯に囚われた主人公…十分あり得るケースです。そして、
その事故で、見知らぬ6人の命と、婚約者の命を一瞬にして失ってしまうのです。
悪夢に襲われ苦悩する主人公は、事故の翌年、仕事をやめ、病気で身体の弱い弟に肺を提供
します。そして、その6か月後、自分の肝臓をチャイルド・サービスで働くホリーに。やがて、
自分の使命を果たすかのように、彼はドナーを受けるに値する良い人を探し始め、腎臓や
骨髄を提供し、夫の暴力に苦しんでいる人には、自分が住んでいた家を提供してホテル生活に
突入していきます…。ここまでで5人への奉仕…。
残りの2人と、その方法がとても衝撃的なのですが、それは是非映画を観て知って頂きたいと
思います。全てを成し終えた後、助けられた人同士が出会うのですが、そのシーンは涙なく
しては見られない、何とも深い感情がこみ上げてくるものでした。
飲酒運転や携帯を見ながらの運転で、事故を起こしておきながらも、同じことを繰り返す…
そんな、酷い人も居る世の中、ここまで苦悩しなくてもとは思いますが、あってはならない
展開と心に刻み、ルールを守って生きる事の必要性を強く感じる事が出来ました。
それにしてもウィル・スミス…良い役者さんです。この役者さんの出ている映画は、あまり
ハズレがありません…。
10月10日放送のガイアの夜明け、シリーズ「激闘 シェア争い!」第2弾【"中古品"の覇者
新たな戦い!】ご覧になられましたか?デフレ時代の勝ち組として好調を堅持してきたリ
ユース業界の売り上げが、軒並み前年割れしており、そんな中で、挑戦を続ける企業が取り
上げられていました。
まずは、急成長している企業…フリーマーケット・アプリを運営する「メルカリ」。御存知の
方も多い事でしょう。サービス開始からわずか4年で、年間流通額は1,000億円超。現在、登録
数は国内だけで5,000万を超え、脅威の躍進を遂げています。
そんなメルカリが7月、サービス開始以来最大となるアップデートを行っています。今までは、
出品する商品の紹介は写真と文章だけでした。それを、出品者がライブで動画を配信しながら、
商品を紹介できるようにするというもの。誰もが手軽に自分の“通販チャンネル”を持てるよう
になるというシステムなのです。中古品を売るだけでなく、地方の生産者が新たな販路とし
て活用し始めていました。
更にメルカリは、たたみ掛けるようにその1ヶ月後、今度はブランド品の売買に特化した
「メルカリ メゾンズ」というアプリをリリース。このアプリ、ブランド品の鑑定を、過去の
メルカリの販売実績データから鑑定士を介さずに自動で行ってしまうという画期的なもの。
ブランド品の買取業者にとっては、行きにくい質屋などに行かなくても鑑定結果が分かって、
その場で売りに出せてしまうのですから、相当の脅威となること間違いなし。
品物を発送する時もヤマトに行って事前に送られてくるQRコードを読ませるだけで、伝票へ
の記入ができてしまうのですから、ライブ販売と言い、鑑定機能と言い…利用者の気持ちを、
よく把握していると感心しました。
一方、全国に800店舗以上を展開する大手「ブックオフコーポレーション」。こちらは、売り
場面積約900坪、商品約48万点という巨大店舗を展開するなど、リアル店舗ならではの新たな
戦略に打って出ています。また、中古品の買い取りにも積極的に動いており、昨年11月には、
東京・目黒区の自由が丘駅前店に“総合買取窓口”を設置。今までは本やDVDが中心だった
「ブックオフ」が、洋服・家電・ブランド品・ジュエリーなど、幅広く買い取りを行ってい
ます。
今やリピート客が後を絶たず、買取額が100万円に達する日もあるのだそうです。その人気
の秘密は、店長を務める佐々木雄大さんの接客。一人一人と向き合い丁寧に質問に応じる
ため、商談は1時間に及ぶことも…。これが客との信頼関係を生み、リピーター獲得に繋がっ
ているとのこと。今後、この“総合買取窓口”をさらに展開していきたいと考えている「ブック
オフ」だそうですが、最大の課題は、窓口を任せられる人材の育成。多店舗展開している事を
強みにして、ネットワーク活用の売買もできるようにしたら…そんな事も考えてしまいました。
メルカリに関しては、お金の販売が行われてしまうというニュースにあったように、大きく
なる事での管理の問題や、鑑定の確かさに対する不安はぬぐえず…。ブックオフに関しては、
トレジャーファクトリーや質屋としての形式は、むしろ後続となってしまうという現実があっ
て…どちらも厳しい所もあるでしょう。それでも、生き残るために、様々なアイデアを出し、
努力していく姿勢は大切な事。今後の展開に注目したいと思います。
10月8日放送の【NHKスペシャル 藤井聡太】『天才棋士 15歳の苦闘 独占密着 藤井聡太』
ご覧になられましたか?当ブログでは、先日も【天才 羽生棋士が変えた将棋界…心の強さを
引き出す迷宮】と題して同じ天才棋士について書いたばかりですが、「400年にひとりの
天才」と呼ばれている藤井聡太四段のスペシャルもなかなか面白く見させて頂きました。
デビュー戦の相手は加藤一二三九段。バラエティに顔を出すようになって、加藤九段の凄さが
分かりにくくなってしまいましたが、将棋を指すと違うんですよ。勿論、藤井君(君では失礼か
もしれませんが、ご了承頂いて…)は対局の前日、眠れるか不安になるほど緊張していました。
プロ棋士は数十手先まで読むのが普通ですが、藤井君は他の棋士が考えもしない指し手まで考え、
読んでいます。対戦中、驚きの表情で加藤九段が藤井君に目をやるシーンは印象的でした。
史上最年少棋士の快進撃はここから始まりました。
奇跡とも言える連勝劇を披露し将棋ファンのみならず日本中が釘付けになり熱狂する中、その
重圧に押しつぶされそうになっていた藤井君。この一年、プロ棋士と中学生の二足のわらじを
履き、週二回の対局のたびに大阪や東京に1人で向かう忙しい日々を送っていました。好きな
科目は数学と体育。同級生からほめられてはにかむ笑顔。学校では将棋の話を一切しないとか。
22連勝を迎えた大局では、終盤にミスを犯してしまい、珍しくも苛立ちを見せていました。
連勝へのプレッシャーはないと語っていても、世間からの期待は14歳の少年の想像を遥かに
越えるもの…。
29連勝を達成したその日には、連勝を阻止すべく、一人の若手棋士が大局の場に偵察へと来て
いました。攻めの達人と呼ばれる佐々木勇気六段で、意外な位置に王を動かす作戦を取り、
藤井君のミスを誘うものとなって、連勝は29で止まってしまいました。佐々木六段は大局後の
コメントで「私たちの世代の意地というのも見せたいなと思っていましたので壁になれたのは
良かったなと思います」と述べています。
7月以降はトップ棋士から完膚なきまでに叩かれる対局が続いていました。藤井君はもがき
苦しんでいました。負けが続く中、藤井君は自身に何が足りなかったか考え、AIを搭載した
将棋とのやりとりや、勉強会に参加して、何かを掴もうと四苦八苦します。藤井四段の師匠
である杉本昌隆七段は「勝負にかける言葉として慰めは必要ない。毎回、良い将棋が指せて
勝っていけたらこんな簡単な世界はない。難しいからこそ何十年もかけてやる価値のある世界
ですから悩むのは良いこと」と話していました。
真価が問われる大局で生放送となるNHK杯。相手は名人などのタイトルをとってきたあの森内
俊之九段。大局が始まると藤井君は8八歩と呼ばれる手を打ち、一度は払われるも再度同じ場所
に8八歩を打ち込みます。当初は藤井君がミスをしたと誰もが思い込んでいましたが、戦局が
進むにつれ、王を追い詰める形となりました。その後大局において勝利を納め、手応えを感じた
藤井君は自分の力を出しきれたかなと話していました。厳しい勝負の世界、戦いはまだ始まっ
たばかりですが、ただ者ではない頼もしい青年の姿がそこにはありました。
子供の頃、将棋教室では、大会の直前になるといつも見せられていたブルー・スリーの『燃え
よドラゴン』。絶対絶命でも諦めずに闘い続けた主人公…。将棋は頭脳の格闘技だと話す先生。
苦しい時、必死で打開策を見いだそうとするとき、ブルー・スリーが映画の中で言います。
【指先に全神経を集めろ…さもないと栄光は得られない】
なんとも、こんなところでブルー・スリーにご対面するとは思ってもみませんでした (^-^;)
NHKスペシャル『亜由未が教えてくれたこと~障害者の妹を撮る~』ご覧になられた方は
居られるでしょうか。
2016年7月26日、相模原市の障害者施設で入所者ら46人が刺され、19人が亡くなった事件が
ありました。犯人の言葉「障害者は不幸を作ることしかできない」という悲しい偏見に驚か
されたのも…記憶に新しい所です。
とても残念な話でしたが、今回は犠牲者と同じ重度の障害を持つ亜由未さんが主役。カメラで
追っていくのが、NHK青森でディレクターをしている実のお兄さんでした。お兄さんは『自分の
家族は不幸じゃない』と伝えたかったそうですが、小さい頃から介助や世話は親任せ。障害者の
家族は幸せだと胸を張って言えるのか…両親に相談し、介助をしながら亜由未さんを1か月に
わたり撮影することになったのです。
亜由未さんは、両親やヘルパーさんには幸せそうに笑顔を見せるのに、お兄さんには不機嫌
な顔で、なかなか警戒心を解いてくれませんでした。介助の大変さばかり感じ焦る毎日が続き
ました。そんなある日、両親から「結果的に笑顔だったのと、笑顔を求めるのは違う。障害
者は幸せじゃないと生きる価値がないと言っている植松被告と同じ考えになってしまう」と
戒められてしまいます。
亜由未さんは先天性の心臓病で、生後4日目に手術を受けました。脳の血管が破れ、障害が
残ったのです。脳性まひで首と右手以外はほとんど動かせません。鼻から胃に通したチューブ
で栄養と水分を取っています。1日2回の散歩が日課で、亜由未さんは、近所の人たちから
何度も声を掛けられる笑顔の素敵な人でした。
18年前にお母さんは大きな病気を患い、大腸を全摘出しています。寝ている間も体位交換は
欠かせないので、お母さんは週5日、1時間おきに朝まで介助を行っています。本当に大変な
事です…。
亜由未さんの家は4年前から「あゆちゃんち」という看板を掲げていました。亜由未さんが
地域の人と交流できるように、自宅で月に数回、英語教室や太極拳などのイベントを開催し
ているのです。障害者への偏見が生まれるのは、地域に障害者の居場所が少ないからだと
お母さんは考えていました。障害者が『生きていても仕方ない』などと言われるのは、障害者
自身ではなく社会のせいだとお母さんは話します。
ほとんど言葉を発することができない亜由未さんを、理解しようともがくお兄さんの姿を
通じて、障害者を育てる家族の本音、大変なのと不幸は違うということ、そして共に生きる
幸せとは何かを考えさせてくれました。
【結果的に笑顔だったのと、笑顔を求めるのは違う。障害者は幸せじゃないと
生きる価値がないと言っている植松被告と同じ考えになってしまう】
どんなに大変でも、どんなに辛くても、生きていて欲しいという家族の思い。自由に動きた
くても動けない…それでも、その命を全うしようとするひたむきな姿。どんなに不自由であっ
ても、幸せになる権利は誰にだってあるはずです。生きているからには、少しでも、そんな
体験をさせてあげたいと思うのが家族なのではないでしょうか。
私にも障害を持った甥っ子がいます。左足が折れて右足が変形し、自分では動く事すらでき
なくなっしまった動物の家族もいます。サポートする家族の苦労は、痛いほど分かります。
できることなら、本人や家族の負担が、少しでも軽減できるように、社会のサポート体制や
環境が整っていって欲しいものです。優れた医療器具や技術の進歩を、国も率先して支援し
て欲しい…そんな事を、心から願うばかりです。
10月5日放送のカンブリア宮殿『行列のできる地方銘菓スペシャル①地元愛と親子の絆が生ん
だ感動の菓子メーカー』の回、ご覧になられましたか?全国各地の百貨店で開かれる物産展で
必ず大行列を生み出すという菓子メーカー・ホリが今回の主役でした。
客を熱狂させるのは、魚介の旨みが染み込んだ「北海道開拓おかき」や濃厚なシュークリーム
など、地元北海道の素材の味を存分に生かした幅広いジャンルの“他にないお菓子”の数々。
北海道に9店舗構えるだけのホリが、年商100億円にまで成長を続けてきた、その裏には、
徹底的に北海道産の原料にこだわり抜く戦略がありました。
牛乳や米はもちろん、リンゴだって可能な限り北海道産。「おかき」に使うのは、えりも町の
昆布に、増毛町の甘エビ、枝幸町のホタテなど、道内を探し歩いて発掘した、おかきの食感や
風味を最高に引き立てる素材ばかり。その上、製品には原料を提供してくれた地域名など、
目立つ様にして売っているのです。人口1万7,000人の田舎町・砂川市から北海道の魅力を
全国に発信し続けるホリ。地域の生産者と一体となって作り上げる地元愛には感服するばか
りでした。
現社長のビジネスの原点は、炭鉱に囲まれた砂川市で父が始めたお菓子づくり。苦労して炭鉱
夫に手作り菓子を売っていた父は、「息子たちに辛い思いをさせたくない」と、現社長を薬科
大学に行かせ、大手薬品メーカーに就職させました。しかし、時代の流れの中で、地元の炭坑が
相次ぎ閉鎖し、父が経営難に陥るや、現社長は会社を辞め、兄と共に廃業寸前だった家業を継ぐ
決意をしたのです。
親子で力を合わせ、北海道中をトラックで回り、懸命にお菓子を売り歩いていた堀一家が目を
付けたのは、夕張で売れ始めていたおいしいメロン。兄は農家へ仕入れ交渉に通い、父が試作、
現社長が生産設備設計。親子3人で必死に商品開発を続け、メロンの果肉をそのまま生かした
「夕張メロンピュアゼリー」を完成させたのです。いまや北海道のお中元ギフト13年連続1位を
獲得するほどの大ヒット商品となった裏には、「絶対に兄弟喧嘩をするな」という父の教えが
あったと言います。
ホリは菓子で稼いだ資金を、ビジネスで支えてくれた地元・北海道に様々な形で還元してき
ました。それが、夕張市で減少するメロン農家の支援。そして、本社のある砂川市では、発売
したお菓子がヒットするたびに砂川市内に工場を建設し、地元の雇用も創出してきました。
特筆すべきことは、高齢者でも長く働けるようにと、重労働のロボット化も進めていたこと。
ロボット化は、通常人件費を下げるために行われるものと思って来ましたが、高齢者の負担を
軽減する為とは、本当に素敵な話です。現在では社員の13%が60歳以上。80歳になる従業員も
元気に働き続けているそうです。
また、祝60周年記念の時には、当初パーティーを企画していそうですが、『社員が喜ぶものを』
という意見をもとに、お金入りの通帳を配布したとか。パートさんも含めて、勤続年数で金額
差をつけて渡されたとかで、地元愛、家族愛もさることながら、人間愛にも溢れている…そん
な印象を受けました。社長の金言…【従業員が誇りを持てる会社をつくる】…納得です。
いつもの村上龍の編集後記では、こんな風に書かれていました。
『「お菓子は人を笑顔にする」創業以来の、ホリの企業理念だ。だが、お菓子は、作り手にも
幸福をもたらすのだと、堀さんと話してそう思った。「もう経営継続は無理だ、店を畳むが、
帰ってくるな」という父親の一報に接し、薬剤師として一家をなしていた堀兄弟は故郷に戻り、
家族一丸となって事業を再興させる。まるで心温まる映画を見るようだ。おいしいお菓子の
数々は、そうやって生まれた。家族の愛情が、お菓子開発への強いモチベーションとなり、
努力や工夫は尽きることなく、そして、多くの人の笑顔につながっていく。』
経営者としての魅力もそうですが、人として、本当に魅力ある素敵な方でした。
小さな記録
今 私は 人生の終わりを目前にして その終末を思う
今・・・一歩進むのも 地を這うようで 立っているのも 辛い
横になってすら・・・眠れない・・・
時はつながっている・・・まるで流れるように・・・
この悲しみも苦しみも
心を引き裂くような痛みさえも 自分の中にしまっていこう
まわりの全ては、通り過ぎていく
まるで私は・・・形のない空気のよう
せめて残り少ない日々だから
自分を捨て 人の役に立ちたい 残る力を振り絞って・・・
そんな残り少ない日々を ここに標していこう
大きな大きな人中の 小さな小さな人生の終わりを
今 ここに 標していこう
全ての幸せを見届けて
静かに・・・そして やすらかに
・・・・・・人生の終わりを迎えたい・・・
詩集『道しるべ』より
この3連休は買い物も控えて、映画『種まく旅人』シリーズを一気に3作見てしまいました。
第1作『種まく旅人~みのりの茶~』(2012年/塩屋俊監督)
第2作『種まく旅人~くにうみの郷~』(2015年/篠原哲雄監督)
第3作『種まく旅人~夢のつぎ木』(2016年/佐々部清監督)
いずれも農業や漁業など、日本の地方で第一次産業に携わる人々の暮らしを、その土地の
風土とともに描いていく物語です。一つ一つご紹介していると、とんでもなく長いブログに
なってしまうので、3回に分けて書こうかとも思ったのですが、細かく書いてしまうより、
興味を持たれた方には、是非ご覧頂きたいと思ったもので、お気に入りのキーワードだけ
ご紹介させて頂きます。
第1作の【みのりの茶】。舞台はなだらかな緑の丘陵が広がる大分県臼杵市。有機栽培で茶畑
と格闘する…デザイナーをリストラされた田中麗奈演じるヒロインが、周りの人に支えられて
成長していく物語。天候に苦しめられているとき…祖父から伝えられる一言…「晴れるのも
ありがたい、雨が降るのもありがたい」。無駄な日なんてない…。人生においても同じで、
毎日が肥やしになっているんだと…
第2作の【くにうみの郷】。舞台は、国生みの郷、淡路島。主役はケンカをして疎遠になって
いる玉ねぎを作る兄と、家を出て海苔を作っている弟が《かいぼり》という作業を通して、
打ち解けていく物語。《かいぼり》は、溜め池の堆積物を定期的に掃除することで溜め池を
維持し、掃除よって吐き出された森の栄養分を豊富に含んだ堆積物は、海に流されて海を潤し、
そしてまた、海の水は浄化されて森を潤すという山と海…自然が一体となって恵がもたらされ
ている事を教えてくれました。
第3作は【夢のつぎ木】。舞台は果樹栽培が盛んな岡山県赤磐市。亡くなった兄の遺志を継い
で、市役所の仕事と桃作りに奮闘するヒロインの物語。映画の中で再三登場する問答が、心に
残りました。
『ここは何処ですか?』
『赤磐です』
『困ったときは、皆が助けてくれる町』
1人で苦しまないで、みんなで支えあっていこうという心温まる問答で、3作の中で共通する
1人では成し得ない作業・・・
第3作で流れる《にこいち》さんの『夢の続き』という歌も良かったのですが、監督も物語の
舞台も違うというのに、第1作『種まく旅人~みのりの茶~』でお茶農家と市役所職員を演じ
た田中麗奈さんと吉沢悠さんが、同じ役の成長した姿で特別出演しているのも面白い演出で
した。
私たちの口に入る食べ物ですが、3部作とも、美味しいものを作る人たちの思い、苦労、支え
る周囲の人たち、欠かせない自然の恵み…そこは沢山の感謝で溢れており、そうした沢山の
思いが美味しいものを産み出しているんだと改めて感じさせてくれました。
お金を払えばどんなものでも食べられる…そんな時代ですが、それを作ってくれる人たちの
事、命を吹き込む自然の恵、忘れずに感謝の気持ちで食べていきたいですね。
ノーベル平和賞が、核廃絶を訴え続け、核禁止条約に貢献したとされるICANに決まりました。
被爆者の声が受賞の原点ということで、核禁止条約に続いて被爆国の日本にとっては、長年の
訴えが、ようやく実ってきている事の証でもありました。
ところが、日本政府は6日、「核兵器廃絶国際キャンペーンICAN」のノーベル平和賞受賞
決定を受け、コメントを出しませんでした。同団体が採択に寄与した核兵器禁止条約の採択に
対して、被爆国でありながら不参加という恥ずかしい立場を選択した政府の姿勢が如実に
表れています。
前日、5日の日系英国人作家カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞決定の際は、安倍首相
が即座に「日本にもたくさんのファンがいる。ともに受賞をお祝いしたい」とのコメントを
発表していたそうですが…。
今年のノーベル平和賞受賞が決定した国際的なNGOの連合体ICANで国際運営委員を務める
川崎さんが6日、アイスランドに向かう経由地の米ニュージャージー州の空港で記者団の
取材に応じています。
川崎さんは「核兵器廃絶のために努力してきた全ての人々への賞だ。被爆者の活動が認めら
れた」と喜びを語られるとともに、「被爆者の皆さんも受賞したと考えるべきだと思うし、
それを誇りに感じてもらいたい」と訴えました。また、7月に国連で採択された核兵器禁止
条約については「今回の受賞をきっかけに、多くの国に一刻も早く署名、批准するよう働き
掛けていく」と強調。条約に反対する日本政府にも再考を促す考えを示しています。
川崎さんは、ICANに参加する国際NGO「ピースボート」の共同代表。ピースボートは2008
年から広島・長崎の被爆者と共に船で世界各地を回り、被爆体験を現地の人々に伝える活動に
取り組んできました。活動に参加した被爆者は170人に上り、既に亡くなった人も多いとの
ことです。
そして遅れる事翌々日の8日外務省の外務報道官の談話…
本年のノーベル平和賞が核兵器廃絶国際キャンペーンICANに授与されることが決定しました。
ICANの行ってきた活動は,日本政府のアプローチとは異なりますが,核廃絶というゴールは
共有しています。今回の受賞を契機として,国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がる
ことを喜ばしく思います。ノーベル委員会は受賞発表の中で北朝鮮の核開発に言及しています。
…以下、話を北朝鮮の話にすり替えて…最後には…広島・長崎の被爆者の方々は,核兵器の
ない世界の実現に向け,被爆の実相を世界に伝えてきました。核兵器廃絶に向けた被爆者・
被爆地の長年の努力に対し,この機会に改めて敬意を表したいと思います。…と。
皆さんは、どの様に感じられたでしょうか…
創設者のノーベルは遺言で、平和賞を「国家間の友好関係、軍備の削減・廃止、及び平和会議
の開催・推進のために最大・最善の貢献をした人物・団体」に授与すべしとしていますが、
近年の選考委員会では「平和」の概念を広く解釈しており、受賞対象者は国際平和、軍備縮減、
平和交渉だけでなく、人権擁護、非暴力的手法による民主化や民族独立運動、保健衛生、慈善
事業、環境保全などの分野にも及んでいます。他のノーベル賞と異なり、団体も授与対象となっ
ているのが特徴とのこと。
日本人絡みでの受賞は、非核三原則やアジアの平和への貢献を理由として、1974年受賞の
佐藤栄作元内閣総理大臣以来のこと・・・もっと称賛されるべきではと思いつつ・・・改めて
多くの人の命を奪い去った唯一の被爆国でありながら、そうした命に寄り添えない政府に
がっかりの出来事でした・・・。自民党・・・。安倍の考えに右ならえは、いつまで続くので
しょうかねぇ・・・
9月28日放送のカンブリア宮殿『ジャパンミラクルで大躍進!外資系食品企業のイノベーショ
ン戦略』ネスレ日本の回、ご覧になられましたか?コーヒーの「ネスカフェ」、日本で最も
売れているチョコレート菓子「キットカット」など、強力なブランド商品を展開するネスレは、
100年以上の歴史を持ち、スイスに本社を置く外資系の老舗グローバル企業です。そんな食の
巨大企業、ネスレの中で、一際業績を伸ばしているのが、日本の現地法人「ネスレ日本」です。
そして、そのトップこそ、日本人初の生え抜き社長となった今回の主役高岡浩三さん。
高岡さんは、11歳の時、父親をガンで亡くされたそうです。祖父も父親も若くして亡くなった
事の影響か、若くして大きな仕事ができる外資系企業を選んだそうです。神戸大学を卒業後、
ネスレ日本に入社し、主にマーケティングを担当。すると41歳の時、大きな試練が訪れ、売り
上げが不振だったキットカットの再生を、5%の成長ではなくて、5年で5倍にしろとスイス
本社から託されてしまいます。
社長就任後、社員の発想力を高めようと、イノベーションアワードを実施。社員のやる気を
上げ、顧客が気づいていない問題点を見つけ、解決していく】という独自のイノベーション
戦略で好業績を続け、マイナス成長をプラスに転じさせます。なんと、与えられた5倍の目標
も4年で達成し、スイスの本社からは「ジャパンミラクル」と称賛されたのです。
そんな社長の金言は、【イノベージョンは 個人の発想からしか生まれない】・・・創業者で
薬剤師のアンリ・ネスレは、母乳で育つことのできない新生児のためにベビーフードを開発
されたそうです。母乳やそれまで一般的だった代替品も受け付けなかった早産児にも効果が
あったことで、瞬く間にヨーロッパで広く販売されるようになったそうです。
そんな前身からか、ソニーと共同でコーヒーメーカーとタブレットで連動できる音声認識シス
テムまで開発しています。この音声認識システムを使うと、タブレットに呼びかけるだけで
簡単にお好みのコーヒーを淹れてくれるのです。このシステムの凄い所は、超高齢化社会を
見据えており、独居老人が難しい操作をすることがなく、対話形式で安否確認もできるので、
地方の自治体も熱い視線をよせており、思わず千葉から離れた仙台で一人暮らす祖父にとも…。
村上龍の編集後記では、こんな事が書かれていました。
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ネスレ、ネスレ日本、両社とも歴史的な企業だが、常に「先端的」だ。印象的だったのは、
イノベーションという言葉のとらえ方だ。ウォークマン、カップ麺など、画期的な製品・
商品開発がイノベーションだと、どこかでずっと思いこんでいた。商品・製品が消費者の
手に入るまで、すべての過程にイノベーションは存在すると、高岡さんに教わった。「創造
的な思考を、ミもフタもなく長時間続けること」まさに真理だ。「アイデアが出ない」とい
う言い訳が無効になる。アイデアが出ないわけではない、充分に考えていないだけなのだ。
一言『イノベーションの新しい定義』
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今回は【イノベーション】という言葉が再三出てきたので、改めてWikipediaで調べてみると、
このように書いてありました。・・・イノベーションとは、物事の「新結合」「新機軸」
「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には
新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義
のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い
変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を
取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
良い「アイデアが出ない」と嘆きたい時に思い出したいですね…
「創造的な思考を、ミもフタもなく長時間続けること」
まさに真理だ。「アイデアが出ない」という言い訳が無効になる。
アイデアが出ないわけではない、充分に考えていないだけなのだ。