11月20日放送の世界!ニッポン行きたい人応援団『アマゾンに暮らす日系移民63年ぶりご招
待』の回、ご覧になられましたか?今回は、ブラジルはアマゾンの中にある街トメアスから、
日系一世をご招待して、大切な人との再会を…という新しいお招きのパターンでした。1954年
6歳のとき福島県から家族と一緒に1か月の航海を経て移住し、63年もの間ニッポンに帰って
いないという草野恒雄さんが今回の主役でした。
恒雄さんの4人の子どものうち、長男の照雄さんと次女のリアさんはニッポンに住んでいて、
照雄さんとは8年、リアさんとは19年会えていないといいます。そんな恒雄さんの夢は「生ま
れ故郷のニッポンを見ること、そして娘や孫に会う」ことでした。
恒雄さんは長男に、ずっと十分な教育を受けさせてあげられなかったことを悔やんでいまし
たが、長男の照雄さんとの再会では「高校まで出してもらったのにそんなこと言う必要なんか
ない」と告げられ、感動の抱擁。ここからは娘のリアさんにしても、その孫たちにしても感動
の連続で、なんと良い心の持ち方をして生きてきた人たちだろうと感心するばかりでした。
大勢でフグ料理を食べたり、座敷で家族みんなが寝たりするときの映像では、本当に恒雄さん
だけでなく、みんなが嬉しそうでした。当たり前のように家族がそばにいる私たちとは違って
離れていても、より深い絆で結ばれている事が、よく伝わってきました。いつものような伝統
の素晴らしさを教えられるのではなく、【家族のありがたさ】そのものを教えられた気がします。
ニッポンに来た目的には、もう一つありました。恒雄さんが7歳という幼いうちに、母は、
病気によって30歳という若さで亡くなっています。手元に1枚も母の写真が残っておらず、
これまで記憶の中にかすかに残る面影を胸に暮らしてきたのです。そこで母親の写真を1枚で
も持ち帰りたいと願っていたのです。
恒雄さんは、故郷・福島県いわき市へ向かい、従兄弟がいることを知ります。従兄弟の英世
さんに出会うと「探せば写真があるかもしれない」と、かつて英世さんの母が暮らし、現在は
廃屋状態となっている実家へ向かいました。取り壊されていたら、探す事すら叶わなかった
でしょう。
家中をくまなく探すこと2時間、祖母が大切にしていたという衣裳タンスの中から大量の白黒
写真が出てきて、その中に63年前ブラジルに旅立つ時に撮影した、乗船して見送られる家族
写真を見つけました。そう記憶の中でしか会うことのできなかった母の姿がそこにあったの
です。奇跡のようなお話です。
やがてお別れの時が来て、恒雄さんは、孫たちにまた来ると誓って別れました。「再び来ら
れるように努力する」と語ってくれた恒雄さん…簡単ではないでしょうが、また来られるこ
とを願いたいです。今回は、離れ離れになった家族の再会という重いテーマでしたが、こん
な形のお招きも、外国人の目を通して再発見するパターンとは違って、また、良いものです。
沢山の温かい気持ち…家族のありがたさを再確認できた回…有り難うございました。