この3連休は買い物も控えて、映画『種まく旅人』シリーズを一気に3作見てしまいました。
第1作『種まく旅人~みのりの茶~』(2012年/塩屋俊監督)
第2作『種まく旅人~くにうみの郷~』(2015年/篠原哲雄監督)
第3作『種まく旅人~夢のつぎ木』(2016年/佐々部清監督)
いずれも農業や漁業など、日本の地方で第一次産業に携わる人々の暮らしを、その土地の
風土とともに描いていく物語です。一つ一つご紹介していると、とんでもなく長いブログに
なってしまうので、3回に分けて書こうかとも思ったのですが、細かく書いてしまうより、
興味を持たれた方には、是非ご覧頂きたいと思ったもので、お気に入りのキーワードだけ
ご紹介させて頂きます。
第1作の【みのりの茶】。舞台はなだらかな緑の丘陵が広がる大分県臼杵市。有機栽培で茶畑
と格闘する…デザイナーをリストラされた田中麗奈演じるヒロインが、周りの人に支えられて
成長していく物語。天候に苦しめられているとき…祖父から伝えられる一言…「晴れるのも
ありがたい、雨が降るのもありがたい」。無駄な日なんてない…。人生においても同じで、
毎日が肥やしになっているんだと…
第2作の【くにうみの郷】。舞台は、国生みの郷、淡路島。主役はケンカをして疎遠になって
いる玉ねぎを作る兄と、家を出て海苔を作っている弟が《かいぼり》という作業を通して、
打ち解けていく物語。《かいぼり》は、溜め池の堆積物を定期的に掃除することで溜め池を
維持し、掃除よって吐き出された森の栄養分を豊富に含んだ堆積物は、海に流されて海を潤し、
そしてまた、海の水は浄化されて森を潤すという山と海…自然が一体となって恵がもたらされ
ている事を教えてくれました。
第3作は【夢のつぎ木】。舞台は果樹栽培が盛んな岡山県赤磐市。亡くなった兄の遺志を継い
で、市役所の仕事と桃作りに奮闘するヒロインの物語。映画の中で再三登場する問答が、心に
残りました。
『ここは何処ですか?』
『赤磐です』
『困ったときは、皆が助けてくれる町』
1人で苦しまないで、みんなで支えあっていこうという心温まる問答で、3作の中で共通する
1人では成し得ない作業・・・
第3作で流れる《にこいち》さんの『夢の続き』という歌も良かったのですが、監督も物語の
舞台も違うというのに、第1作『種まく旅人~みのりの茶~』でお茶農家と市役所職員を演じ
た田中麗奈さんと吉沢悠さんが、同じ役の成長した姿で特別出演しているのも面白い演出で
した。
私たちの口に入る食べ物ですが、3部作とも、美味しいものを作る人たちの思い、苦労、支え
る周囲の人たち、欠かせない自然の恵み…そこは沢山の感謝で溢れており、そうした沢山の
思いが美味しいものを産み出しているんだと改めて感じさせてくれました。
お金を払えばどんなものでも食べられる…そんな時代ですが、それを作ってくれる人たちの
事、命を吹き込む自然の恵、忘れずに感謝の気持ちで食べていきたいですね。