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どんな困難の中でも、幸せを見つけられる

2018-11-28 NEW!
カテゴリ:つぶやき

 

11月20日放送のNHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」ご覧になられた方は居られますか?重度の自閉症である東田直樹さんは、人と会話をすることはできませんが、なぜか、文字盤を使えば豊かな表現力を発揮することができます。勿論、世界的にもまれな存在です。24歳になり、プロの作家となった東田さんは、自閉症のみならず、様々なハンディを抱える人たちがどう幸せを見つけていけばいいのか、エッセイや小説を書いています。今回の番組は、そんな東田さんを2年前に取材した番組「君が僕の息子について教えてくれたこと」の続編となります。

 

前回の番組が、芸術祭ドキュメンタリー部門大賞を受賞した10日後、番組ディレクターである丸山拓也さんはガンと診断されました。丸山さんが、がんと診断された当時は、肺や肝臓にも転移し、5年生存率は5割以下という厳しい状況だったそうですが、大量の抗がん剤と手術を行い、1年間の闘病を経て、何とか職場復帰を果たすことが出来ていました。しかし、今も治療の後遺症や再発の恐怖に苦しんでいるんだとか…。もう体力勝負のテレビのディレクターはやめた方がいいのか、家族と静かに暮らした方がいいのか、色々な不安が頭をよぎったそうです。

 

自身の病気とどう折り合いをつけて生きていけばいいのか、これからどんな人生が待っているのか、大きな不安に囚われたときに、2年前に取材した東田さんの姿をもう一度見つめ直したいと思ったそうです。病院のベッドでも、丸山さんはしばしば東田さんの本を読み励まされたんだとか。自閉症というハンディを自分の強さに変えた東田さんから、ディレクターである丸山さん自身が沢山のことを学べるのではないか、そしてそれは、生きづらさを抱える多くの人にとっても普遍的なメッセージになるのではないかと考え、続編の制作に繋がったのです。

 

遡る事2年前…13歳の時に書いたエッセイが、同じ自閉症の息子を持つ、アイルランド在住の高名な作家デビッド・ミッチェル氏の目にとまり、翻訳され、世界30カ国でベストセラーとなりました。『なぜ、自閉症の人が、パニックを起こしたり頭を机に打ち付けるのか?』その答えが、その本にはあったとデビットさんは話されていました。東田さんは謎に包まれた自閉症の世界を明かし、世界に衝撃を与えたのです。

 

東田さんは、圧倒的な言葉の力を持っている人でした。人と直接、会話することがない分だけ、自分の頭の中で様々な出来事をどう捉えるか、自問自答を繰り返してきました。その過程の中から生まれた言葉は鮮烈です。番組の中では、作家のデビットさんや、ディレクターの丸山さんからの質問に対して、明確に突き刺さる様に答えていきます。丸山さんが、親やお婆さんよりも早く死ぬかもしれない…命を繋げないのではないか…不安になって質問すれば・・・

 

「僕は命というものは大切だからこそ、繋ぐものではなく、完結するものだと考えている。命が繋ぐものであるなら、繋げなくなった人は、どうなるのだろう。バトンを握りしめて泣いているのか、途方にくれているのか。それを思うだけで、僕は悲しい気持ちになる。人生を生き切る。残された人は、その姿を見て、自分の人生を生き続ける」…と、直樹さん自身の孤独な決意が力強く綴られていました。

 

「夢から覚めて、いつもと変わらない朝に感謝することから、僕の一日は始まります。」そう話す東田さんは、以前、夢で健常者の自分の夢を見て、目覚めて悲しくなっていたけれど、今は、夢の中でも自閉症の自分として登場するようになったんだとか。そう言えば、昔、似た言葉を耳にしたことがありました。その人は重い病を患っていた方で、寝ている間に命を失う事も十分考えられる方。その人が言っていた言葉も、「朝、目覚めて、自分の命が途絶えず朝を迎えられたことに涙し、感謝する事から一日が始まる」というものでした。

 

13才の自分に送る言葉を尋ねられると
「”ありのままで良い”と思っていましたが、人生は短い…。辛すぎるときに、”ありのまま”とは言えない…。だから、”君が乗っているブランコもいつかは止まる。それまで一生懸命こぎ続ければ、同じ景色も違って見える”と僕は教えてあげたい」そんな風に答えていました。

 

“価値観”についても色々と教えてくれました。病気を持っている本人と、周りの人の価値観は同じではなく、押し付けてはいけない。認知症のお婆さんの気持ちを勝手に分かろうとしていた自身の思い込みについても、不幸だと決めつけていた自分に気づいていきます。認知症でも”優しさは変わっていない”悩むのは本人以上に周囲の人々なのかも知れないと…。

 

番組の最後では、ガンになった丸山さんが言葉を求めると東田さんは、こう話されました…

 

【人はどんな困難をかかえていても、幸せを見つけ、生きることができる】

 

生きづらさを抱える多くの人にとって、普遍的なメッセージになるのではないかと考えていたディレクターの丸山さん。期待通りの言葉が、そこにはあった気がします。私みたいなオヤジですら、その言葉を聞いた瞬間、ゾクゾクっと鳥肌がたつほど感動してしまうのですから・・・。せっかくなので、以下、東田さんの著書を是非読んでみたいという方へ・・・

 

『自閉というぼくの世界』(エスコアール出版部刊)
『この地球にすんでいる僕の仲間たちへ』(エスコアール出版部刊)
『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール出版部刊)のち角川文庫
『自閉症の僕たちが残してきた言葉たち』(エスコアール出版部刊)
『ヘンテコリン』(エスコアール出版部刊)
『続・自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール出版部刊)のち角川文庫
『あるがままに自閉症です 東田直樹の見つめる世界』(エスコアール出版部刊)
童話『勇気はおいしいはず』(小学館)
詩集『みんなの知らない海の音』(朝日新聞社)
童話『きらんきらん・赤い実』(小学館)
絵本『きかんしゃ カンスケ』(交通新聞社)
絵本『カンスケとあかいはっぱ』(交通新聞社)
絵本『カンスケとカタツムリくん』(交通新聞社)
絵本『カンスケとゆきこちゃん』(交通新聞社)
絵本『カンスケのクリスマス』(交通新聞社)
エッセイ『風になる』(ビッグイシュー日本)
『跳びはねる思考』(イースト・プレス)
詩集『ありがとうは僕の耳にこだまする』(株式会社KADOkAWA)
・・・・・

 

私には、統合失調症の甥っ子がいます。病気は違うけれど、東田さんの本・・・読んでみます。


 

 

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