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描き手と書き手と編集者が産み出した奇跡の漫画「北斗の拳」

2018-11-30 NEW!
カテゴリ:つぶやき

 
11月20日放送のアナザーストーリーズ「“北斗の拳”誕生~舞台裏のもう一つの“格闘”~」の回、ご覧になられましたか?

 

漫画「北斗の拳」は、少年ジャンプに連載された格闘漫画で、アニメ化もされ、その人気は社会現象にもなりました。私はアニメで見ていた側ですが、人生が変わるほど心を揺さぶられたという人も少なくないと言われるほど、迫力あるタッチとユニークな雄叫び、そして名セリフの数々が、そこにはありました。多くの読者を惹きつけた陰には、伝説的な編集者・堀江信彦の力も…。いつもの様に、3つの視点から名作漫画誕生の舞台裏に迫るアナザーストーリーでした。

 

21歳の無名な漫画家の隠れた才能を見抜いたのは、編集者の堀江信彦でした。子供の頃から絵が得意だけど物語を作るのが苦手だった原は、イラストかマンガで生計を立てようと漫画家を志し、堀江のもとを訪ねたのです。原は、堀江から漫画家のアシスタントの仕事を紹介され、腕を磨き、読み切り漫画を発表して賞をもらうまでになっていきます。

 

やがて原は、ブルースリーと松田優作への強い憧れから、中国拳法のマンガを描きたいと希望しますが、堀江からは当時ブームになり始めていたモトクロスのマンガを描くように薦められ「銀のドンキホーテ」で初めての連載にチャレンジしました。ところが、人気が出ず、僅か10回で連載打ち切り。連載打ち切りを決断したのは堀江でした。通常なら、連載打ち切りは漫画家生命を絶たれるようなもの…。

 

原は、今度こそは、自分が一番描きたい中国拳法のマンガで起死回生を図りたいと願い、読み切りマンガで「北斗の拳」を発表します。そして、見事、人気投票で1位を取っていくのです。読み切りでは高校生だった主人公でしたが、半年後にはお馴染みの設定で「北斗の拳」の新連載がスタートしていくのです。

 

鬼の編集者・堀江は、原にマンガを描くことに集中させるために、描く側とストーリーを考える側で分業させる事を思いつき、原作を武論尊(ブロンソン)に依頼していきます。武論尊という名前もユニークですが、面白い人物で、航空自衛隊で7年務めたあと、そこで知り合った漫画家・本宮ひろしの所に転がり込んで殆ど仕事もせず、場を笑わせては和ませる事をメインとして生活していました。そんな、漫画を描くことが苦手だった武論尊に対して、堀江はマンガ「北斗の拳」の原作者の仕事を勧めたのです。

 

武論尊は、映画「マッドマックス」の主人公のようなイメージで拳法の達人を格闘させるストーリーを作り上げていきます。そんな武論尊が、原の仕上げたマンガを見て、自分のイメージを超越した絵の迫力に圧倒されたと言います。武論尊は、「負けてはいられない!」とストーリーや新たなキャラクター作り、決め台詞に力が入っていきます。

 

編集者として、堀江は原と武論尊の良いところを引き出していきました。この堀江さんなくして名作「北斗の拳」は生まれなかったと言っても過言ではないのですが…正直、いじめではないかと思われるくらいの接し方だったような気もして、視聴しながら「酷いな、こいつ」と思わず口にしてしまったほど。

 

それでも堀江の連載期間中は、二人を会わせず、全て間に入って調整という流れが、互い互いの仕事をリスペクトしながら更に良い物を産み出していくという展開に繋がっていたのです。原の考えた妙な「雄叫び」、武論尊の考えた「名セリフ」いくつかご紹介しておきましょうか・・・

 

まずは「雄叫び」・・・
「あべし!」「うわらば」「ひでぶ」「あたたたたーーっ!!」「ひょげえべべべ」「なにをばら」・・・
本当に変な雄叫びばかりですが、他の作者にも「シェー」とか変わったものがあったから、色々考えるのも楽しみだったような・・・。

 

そして、武論尊の考えた「名セリフ」・・・
「お前は もう死んでいる!」「わが生涯に一片の悔いなし!!」「何人の命を助けることができるのか。それが、俺の生きていたという証だ!!」「いつか必ず明るい明日がくるって...
そう信じて生きてきたじゃないの。最後の最後まであきらめちゃだめ!!」

 

そんな、魅力満載だった「北斗の拳」で人生が変わった人たちが、番組の最後で紹介されていました。思えば当時、私の周りのあちこちで、何かある度に、この名セリフが口にされていましたっけ・・・。「わが生涯に一片の悔いなし!!」・・・そんな生き方、憧れますねぇ・・・。

 

 

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