6月3日土曜日夕方5時半から、BS TBSで放送された『夢の鍵 驚異の米ゲル 』ご覧になられま
したか?ちなみに、この『夢の鍵』という番組は、TBSテレビのドキュメンタリー『夢の扉』
の志を引き継いだ番組で、BS-TBSで始まった番組のようです。
今回の主役は米から生まれた新食材。その食材の名前は『米ゲル』と言いますが、開発されて
から、いよいよ、唯一の量産工場が稼働しはじめました。この新食材、水加減1つで変幻自在
に食感を変えられるのです。米ゲルはゴムのような弾力を出すことも、トロリとした滑らかさを
出すこともできるので、あらゆる形で利用できる可能性を秘めています。
嬉しいのは、小麦アレルギーに苦しみ、グルテンフリーを望む人にとって非常に有効だという
事。小麦粉の代替食材としてパンやケーキを作ることを可能にし、カロリーも抑えられるので
ダイエットにも有効。まさに人類の食を変える夢の食材で、乳化し易い性質から、 体に良く
ない添加物の代わりまでも果たすことができるのです。
安心な食の世界が求められる昨今、結着剤、増粘材、安定剤、ゲル化剤などの添加物を使わず
に、安心な『米』が原材料名として書かれるようになるのですから、添加物を気にする私は、
多くの企業の協力も得て、1日も早く、色んな場で活かされていくことを強く望みます。
この米ゲル、高アミロース25%含有のお米が適していると言うことで、実は高価なブランド米
よりも、安い飼料米や加工米の方が向いているというのですから有難いお話。コメの消費が
伸び悩む日本にとって、この新食材の需要が伸びれば、一石何鳥もの効果を得ることができる
のです。
開発したのは、杉山純一さん。国の研究機関『(独)農研機構・食品総合研究所』で米ゲルの
研究を続け、ブヨブヨとなった見苦しい形をしたお米ゲルを作ってしまいます。この最初の
ゲルは、失敗作と思われて、そのまま放置。ところがこのゲル、数日たっても、ブヨブヨの
状態を維持していた事から、保水性がとても高い事が分かったのです。…失敗から、宝の山の
誕生です!現在は米ゲル工場の技術顧問を務めているそうです。
番組では小麦を一切使わず、米ゲルを使ってスイーツが開発できないかと洋菓子界の重鎮に
相談を持ちかけているシーンが取り上げられていました。成功すれば小麦アレルギーの人に
とっても安心して食べられるデザートになるのですが、その結果は、料理人も驚くほどに
大成功!!
同じパンを米粉と米ゲルとで比較しても7割の人がふわふわモチモチで美味しいと米ゲルの方を
選択してしまう米ゲル。米ゲルは、保水性が高いため、米粉よりもさらにモチモチ感がアップ
しているのです。
こんな三拍子どころか何拍子も揃った素晴らしい夢の食材ですから、「FOOMA JAPAN2013
(国際食品工業展2013)」では、この技術が、アカデミックプラザ賞のグランプリ(最優秀
賞)を受賞。2016年9月24日に開催された第3回アグリテックグランプリでは、ライステク
ノロジーかわち株式会社の【新規食品素材“米ゲル”の量産化および高付加価値食品の開発と
普及】がグローカリンク賞を受賞しています。
そんなスーパーでマルチナな食材を開発された杉山純一さんから、最後に一言
『失敗の中に宝の山あり』
「ただでは転ばない」大事ですよね。捨ててしまうのは簡単ですが、これからは、今一度
考えてみたい…そんな気にさせられたお話でした。