先日、NHK BSプレミアムの『英雄たちの選択・琉球スペシャル』第1弾・第2弾を続けて見ました。昨日は、同じ沖縄に関するネタで、姉妹サイトの方で書かせて頂いたばかりです。そちらでは、大きな反響を呼んでいる『生きる』の全文をご紹介させて頂いきましたが、沖縄に関しては随分前に、このサイトでも『沖縄返還協定』と題してhttps://www.aeplan.co.jp/blog/detail/168で書かせて頂いたこともあります。
ところで皆さんはこの『英雄たちの選択』という番組をご存知でしょうか? この番組は、歴史大好きで有名な歴史学者の磯田道史さんが司会を務めていますが、歴史上の出来事や人物の心理などを客観的に、様々な視点から考察して意見を述べて頂けるので、とても深く、勉強になります。
日本の運命を決める岐路に立たされた歴史上の英雄たちが、様々な選択肢の中からたった1つの「選択」を行っていきますが、なぜ英雄がそれを選んだのか?また、その「選択」が、後世にどの様な影響を残したのか?点ではなく線、面へと繋がっていきます。この番組は、磯田さんのほか、歴史学・軍事学・心理学・経済学など様々な分野の専門家たちとともに、英雄たちの「脳内」に深く分け入り、選択の崖っぷちに立たされた英雄たちが体験したであろう葛藤を、専門家の考証に基づいて厳密に復元し、複数の選択肢を挙げた上で、アプローチしていく番組となっています。
さて、話は元に戻って
【琉球スペシャル 第1弾 「独立を守れ! 島津侵攻 尚寧王の決断」】
もともと琉球王国は中国や東南アジア各国との貿易で栄えていた国。日本とも交流はありましたが上下関係ではありませんでした。ところが豊臣秀吉が天下を取ると、琉球王国にも支配下に入るよう島津氏を通じて迫り、朝鮮出兵に協力させられてしまいます。思えば、この頃から現在に至るまで…沖縄の苦しみはずっと続いているのかもしれませんね…。
秀吉の死後も、徳川家康は中国・明との国交回復に琉球を利用しようとしますが、琉球は日本の支配下に組み込まれることを嫌い、返事もしませんでした。島津氏からは武力侵攻も辞さないと脅迫されるなかで…当時の尚寧王が下した決断は?そう、これが今回の決断でした。戦国日本をしのぐ先進的なグスクという城塞があった琉球が、戦いに挑んでいれば勝てたかもしれない…と言う説もあるものの、犠牲者を最低限に抑え、民の命を守った尚寧王の選択は、やはり正しかったような気がします。
【琉球スペシャル第2弾 「辺境の声を聞け!探検家・笹森儀助の挑戦」】
琉球王国から日本の支配下に置かれ、琉球藩となっていた沖縄ですが、明治12年、藩は廃止され、沖縄県が誕生していきます。しかし、人々は、重い税と風土病に苦しんでいました。探検家・笹森儀助は、沖縄の島々をめぐり、その窮状を世に訴えてくれます。
笹森は、青森県弘前の士族の家に生まれ、日本中を旅し、北海道の千島探検の記録を出版して、天皇に奏上されるほどの評価も受けました。これを契機に、時の内務大臣から、砂糖欲しさに沖縄の調査を依頼され、沖縄探検に出発します。現地で、笹森が眼にしたものは、厳しい自然だけでなく、人頭税という重い税に苦しむ人々の姿でした。
この人頭税、米で納めさせられる税ですかず、稲作に向かない地域の人でも、貧富の差も考慮されず課せられる税で、払えない人は強制移住させられ、奴隷のような扱いとなる前時代の制度でした。明治に入っているのに、日本でありながら、沖縄だけが人頭税を要求され、マラリアにも苦しめられていたのです。
貧富を問わず要求された人頭税…笹森は、このまま砂糖に関する報告をすべきか、沖縄の現状を訴えるべきか悩みます。そう、これがその回の英雄の選択でした。結果、笹森は、自分の危険を省みず、1冊の本を出版し、憎むべき人頭税を廃止に導いていきます。そればかりか、現地の責任者に抜擢され沖縄に命を捧げ、貢献していくのです。
琉球スペシャルを見て、一番思った事。それは「ステージ2」の膵臓がんだったことが伝えられた翁長知事の、それでも辺野古沿岸部の埋め立て反対に向けて戦い続ける姿と、それを力づくで抑え込んで工事を進めようとする政府の事。そこには沖縄・琉球が今も同じ環境に置かれ続けているのではないかと思わせられる悲しい物語が…。国の都合が国民の都合を押し潰していくのは、なんとも納得できない話なのでありました…。姉妹サイトでご紹介させて頂いた「生きる」と共に、本当に大切なものが何なのか、見つめ直して欲しい気がします…。
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