『運命の白い河』
運命の白い河をもとめて
私たちは旅に出た
自らの運命を自由に扱うために
海の底から ずっと歩いてきた
背が伸び 毛が生え 服を替え
時は面白いほど 軽快に流れていった
長い旅の後に 私たちは見つけた
白く輝く 運命の河を
赤を混ぜれば すぐ赤く染まる
黄を混ぜれば すぐ黄に染まる
白い河は 敏感に変化する
私たちの思い通りに変えられる
だが どうしたことだろう
誰一人として その河に触れられない
誰もが 自らの運命を変えてしまうことを恐れた
それは絵の具と同じで
二種類の混合なら良いが 多くを混ぜれば
手がつけられないほど 汚れてしまう
誰も その河に触れられず
一人去り また 一人去っていった
そして・・・
今 私一人が この河岸にいる
触れることのできない白河を見つめて・・・
詩集『道しるべ』より