10月6日放送のカンブリア宮殿 の 【伝統は革新だ】 第3弾『千疋屋総本店』のお話から
千疋屋総本店の創業は1834年なんと天保五年です…いつだ…それ? 現在の埼玉県越谷市で
槍の道場を経営していた初代創業者の大島弁蔵が、地元の果物や野菜を舟で運び江戸で
商いを始めたのがきっかけとか。
当初は安売りの店だったそうですが、二代目の文蔵が高級路線へ転換し、現在の経営の
基礎を作っていきました。明治時代には海外産果物をいち早く販売。大正時代には
メロンやビワの品質改良を行うなど、時代に合わせた変革を続けてきました。メロン
1個約1万4,000円、ブドウ1房1万円、バナナ1本が324円…。勿論、万が一美味しく
ないフルーツがあった場合には、交換も受け付けると言った徹底ぶり。驚くほど高値の
ついた果物がまるで宝石のように綺麗に並べられ、次々と売れていったのです。
千疋屋総本店は東京を中心に展開していますが、千疋屋の果物が高い理由は、その栽培
方法にあります。例えば看板商品のマスクメロンは1本の茎から1つしか実を付けない
「一茎一果」という栽培方法で育てられています。通常の栽培方法よりもコストが
かかりますが、こうすることで実が甘く形の良いメロンになるとのこと。さらに
千疋屋では特定の農家と直接契約をせず、全国から大田市場に集まった果物の中から
最高級のものだけを独自の基準で厳選して買い取っていくのです。
現社長の大島博さんの代になると、バブルが崩壊し、高級フルーツの売上は頭打ちになって
いきます。そこで現社長が考えたのが千疋屋のブランド力を活かした高級果物をふんだん
に使ったスイーツを主力とする戦略。人気メニュー フルーツパフェ開発の人がテレビに
映った際には、『あれっ?』と見覚えがあったのですが…がっちりマンデーで見かけた
のか…忘れてしまいましたが…確かに見覚えのある人でした…。
創業から182年という今の老舗の売上を支えるのは、綺麗に並べられた果物ではなく、
高級フルーツをより多くの人に食べてもらう為のスイーツという独自の販売戦略。
現在、商品比率では加工品が8割を占めるまでになっており、なんとフルーツを置か
ない加工品だけの店舗も普通に展開されています。
また、千疋屋では新たなフルーツ開拓も行っています。南国の果物であるマンゴーが
真冬の北海道で収穫されると聞きつければ、十勝帯広の農家を訪れます。この北海道産
マンゴーは、東京農大の宮田先生と農家が組むという産学連携の取り組みで、化石燃料を
使わずに、冬場に降り注ぐ大量の雪で夏に冬を演出し、湧き出る温泉を使って冬に夏を
演出することで、本来収穫できない時期に収穫していくという特殊な栽培方法で作られ
ています。<白銀の太陽>と名付けられたこのマンゴーを千疋屋で扱うことで、産地の
活性化に貢献しようというのです。
編集後記で村上さんは、こう話されています。
『強力なブランド力を築き上げているのに、メロンなど高級果物への依存を止めた。
現在、商品比率では加工品が8割を占めている。そしてその開発、素材などに伝統の
ブランド力を活かし、ごく自然で、かつ大胆な、変革に成功した。自らが持つ資源の
本質を確認し、新しい形で活かす、まさに「伝統と変革」の王道である。』と…。
そして、いつもの…社長の金言
『生き延びるためには 30年で変えろ』
「30年もすると改革をしないと生き延びていけない…。」番組の中で大島博社長が
話されていましたが、この30年は、会社の事業継承との関係も深く、大きな課題となる
企業が多くあります。182年で6代目…1人約30年…甘んじていてはダメなのですよね。