8月24日放送のカンブリア宮殿『台頭する新興家電メーカー①~便利なユニーク家電:ツイ
ンバード』の回、ご覧になられましたか?家電王国ニッポンに陰りが見える中で、異彩を放つ
新興家電メーカーが続々と日本に現れているという話で、これまでの大手家電メーカーとは
一線を画す、その実態をシリーズで追うというものです。その1回目が、新潟県燕三条から
生まれたツインバード。ツインバードは、ガイアの夜明けにも何度か紹介されていて、ご存知
の方も多いのではないでしょうか。
客の「あったらいいな」の声にとことん向き合い、ニッチでユニークな製品を作ることで
成長を遂げているツインバード。ありそうでなかった、便利で安いアイデア家電。「くつ
乾燥機」や「お茶挽き器」。くつを乾燥させたり、茶葉を細かく砕くためだけの製品です。
実は、毎年約3,000人を動員するファンイベントが開催され、マンツーマンでお客と製品に
ついて話し合い、家電の不満や希望が聞き取られています。勝手に作りたいものを作るの
ではなく、お客の声から作るという姿勢を貫いているのです。
コールセンターでも、問い合わせや苦情を聞き取っていますが、毎月2回行われる会議では、
コールセンターに届けられる声が、直接、開発に伝えられています。1日300件も来るお客の
声の中から製品化するものを企画開発しているのですから、ニッチな製品であっても、売れ
ないはずがありません。
ツインバードは1951年、新潟県三条市でメッキ加工の下請け「野水電化被膜工業所」として
創業。当初は冠婚葬祭用のトレーやグラスなどを製造する下請け工場だったそうです。そんな
下請け稼業からの脱却を目指し家電メーカーへ事業転換を図ったのは2代目。以来、家電王国
ニッポンの中で、アイデア家電と低価格を武器に独自の成長を続けています。
そんなツインバードが、昨年新たな商品を発売。それが1台8万円の高価な扇風機。特徴は
360度回転する首。ピカピカのステンレス製のボディは鏡面仕上げと呼ばれる磨きの技術で
鏡のように輝いています。この加工は、燕三条のある工場が請け負っているのですが、この
工場、あのアップル社のiPodを手がけたことで有名だそうです。
さらに、この扇風機は土台だけでなく首を支える支柱やモーターなど、1台に燕三条の20社
以上の技術が結集していました。ツインバードはこうした高い技術力を持つ企業が集積し、
ものづくりの基盤がある燕三条の強みを活かした製品づくりに取り組んでいるのです。素敵で
最強の集団ではありませんか。
いつもの村上龍さんの編集後記では、こんな事が書かれていました。要約してしまいますが…
『メッキ工場としてスタートしたツインバードが、なぜ家電を作ることができたのか…さま
ざまな工場群を擁する「燕三条」があって、はじめて可能になった…だから、他は、真似が
できない。伝統という縦軸と、相互に信頼する協力企業という横軸、それらが交差するポイ
ントを持つのは、おそらく「ツインバード」だけだろう。』
“協力がもたらす独自性”
まさに、その通りだと思いました。素敵な話、素敵な町、燕三条…まだ行ったことがあり
ませんが、行ってみたくなりましたよ。
先日、テレビ東京のドラマスペシャル『最上の命医2017』を見ました。『最上の命医』は、
『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された橋口たかしさんによる日本の漫画作品らしく、
最初は連続ドラマとして放送されていたようです。
一旦連続ドラマとして終わってからは、昨年『最上の命医2016』としてドラマスペシャルで
放送。今回私が見たのは、その続編というか2017版といったところでしょうか。人気のシリー
ズのようですが、私のように、それ以前を見ていない人でも楽しめるように一話完結になっ
ていたので、大満足の2時間あまりでした。
主役は斎藤工演じる小児外科医の西條命。ドラマはいきなり呼吸困難に陥った中学生の登場
から始まり、主役の手際の良さを軽く紹介していきます。この辺、映画ダーティー・ハリー
なみですね。続けて、メインとなるアメリカで師弟関係にあった草刈正雄演じる小児外科の
権威手塚が登場。さすがの草刈さんでした。
離島での医療設備が整っていない中での難易度の高い手術をやってのけたり、脳外科医が
諦める腫瘍を小児科医の主役が手術してみせたりと、さながらブラック・ジャック。丁度、
胸の中央に真っ二つに横断する手術痕があるあたりからも思わず連想してしまいました。
また、最初のうち手塚が手術を拒むあたりなどは、それこそ『振り返れば奴がいる』や
『レディ・ダビンチ』を思い浮かべてしまいますが、全く別物として充分に楽しめる良く
できたドラマでした。
私は医学の事は全く分かっていませんが、NHKの総合診療医ドクターG等もお気に入りの
番組で、原因不明だったり難病だったりに、如何に真摯に医者が取り組み解決していくかっ
て…少なくなっていると感じる現実と比較してしまって、つい見入ったりするのです。
真摯に病気と対決していく医者に憧れてしまうんですよね。
見終わって思ったのは『最上の命医2016』も見てみたくなったという事…。なんと今年の
12月には2017とセットでDVD化されるらしいのですが…うーむ、悩むところです…。
先日の世界!ニッポン行きたい人応援団、リトアニアで出会った、”どんぶり”を愛してやま
ない女子高生サメさんの回、ご覧になられましたか?インターネットで調べて自力で親子
丼を作ってしまうほどで、地元の日本語弁論大会では、最年少で入賞するほど日本語も上手。
そんなサメさんだけに、来日して早速「本物の親子丼を食べてみたい」ということでミシュ
ランガイド2015にも掲載されている東京は外神田の「鳥つね」さんへ。そこで食べたのは、
一日20食限定の特上親子丼。サメさん、憧れの親子丼を、あっという間に完食して「幸せ」
と満足げな表情。
この「鳥つね」さん、味の決め手となる割り下は、3大地鶏の一つ”比内地鶏”からイノシン
酸などの旨味成分が豊富に出るため濃口醤油と水と砂糖のみ。リトアニアでも揃えられる
食材でも出汁が取れるように家庭で作れる絶品親子丼の作り方まで教えてもらえました。
出来上がった親子丼の具をごはんに盛り付ける事も体験し、ご主人からは愛用の親子鍋が
プレゼントされていました。サメさんは、皆さんの似顔絵と親子丼を描いた手紙を贈られて
いましたが、とても絵が上手で、サメさんの優しさが伝わってきました。
翌朝向かったのは築地で代々マグロの仲卸を営む、魚屋さんと食堂が一緒になった「野口
鮮魚店」。ここは長い行列ができる超人気店ですが、サメさんも気合十分で、開店4時間前
の朝7時半から並んで一番乗り。なんと22種類ものマグロの部位がどんぶりに詰められて
いるという一日3食限定の「築地鮪屋帝王丼」を食べたのです。
築地市場に連れていって貰えると、マグロ1匹から、たったの2本しか取れない希少部位で
ある「脳天」という部位を食べさせて貰っていました。「マグロは海より深い」とサメさんは
言っていましたが、日本人だって食べた事のある人は殆どいないのですからねぇ。
それにしても「昔はマグロは捨てられていた」とか「マグロの大トロは漬けには向かない」
とか知識の豊富なサメさんに店主がタジタジになっていたのは、笑えてしまうほど温かいシー
ンでした。
最後に向かったのは埼玉県新座市にある昭和54年創業の「なみき食堂」。創業当時から牛丼
を看板メニューに据えています。サメさん、歴史ある牛丼を食べてみると「牛肉はとろける
ぐらい柔らかくて豆腐に染み込んだ割り下が濃厚ですごく美味しい」と感激。
ここでもサメさんがリトアニアに帰ってからも美味しい牛丼が作れるようにと38年間継ぎ
足ししている牛丼専用の割り下の作り方を教えて貰っていました。普通は教えないはずの
レシピもサメさんの情熱にはかないません。
その夜、並木さんのお宅へお邪魔させて頂くと、一度でいいから着てみたいと言っていた
浴衣がプレゼントされ大喜び。その姿に、一緒に来日していたお母さんも感激されていま
した。お世話になったなみき食堂の皆さんにも、似顔絵と牛丼を描いた感謝の手紙を贈り
ました。
ご主人の並木さんからは「これからもずっと料理を頑張ってほしい」と、包丁を頂いていま
した。知識も絵も素晴らしかったのですが、日本人よりも?気配りのある言葉、話し方も
丁寧で、愛らしい女の子でした。
【一杯に詰められた丼は、西洋にはない素晴らしい料理】という名言も、当分忘れられそう
もありません。この"どんぶり"に関しては、まだまだたくさん種類がありますから、また、
是非、日本に来て、他の美味しいどんぶりも食べて行って欲しいですね。
働き方改革 日本転換の時第5弾として8月29日に放送されたガイアの夜明け『さらば、
モーレツ社員!』ご覧になられましたか?サラリーマンなら誰もが目指したはずの"出世
街道"。ところが今は…上司への道をためらう社員もいるという今回のお話。
「ちょっとでも部下を叱れば『パワハラ』と言われる」「部下の育成に自信がない」…。
人材不足が加速する日本の企業で、どうすれば「上司」は育つのか?すぐ辞めてしまう
若手社員に対して、どう対策を取るのか?そんな具体例が挙げられていました。
まず初めは「イクボス・ブートキャンプ」という変わった研修のお話。『イクボス』とは、
「育児を理解する上司」或いは「部下を育成できる上司」を意味しているのだとか。管理
職の社員が、仕事を終えてから、子どもを持つ社員の家庭を訪ねて家事・育児を体験する、
という“実地訓練”。
職場に女性スタッフが多いこともあって、ワーキングマザーの割合が高いリクルートマー
ケティングパートナーズ。働くママたちは、仕事と育児を両立させることの大変さを、
会社や職場の人たちに理解してほしいと願っているのですが、「ワーキングマザーに対して
歩み寄ろうとは思うが、当事者の気持ちなんて絶対にわからない」という研修参加の須山
さん。
3人の子供を抱えながら働く女性社員の自宅で研修することになって、晩御飯を作ったり
子供の要望に応えたりしていく中で、その苦労を体験し、『調子はどう?』等という
気遣いの必要性を感じ、「働きやすい環境を作っていこう」とまで変化していました。
一方、以前から、高い離職率に悩み続けてきたという万協製薬。理由の一つは、上司と
部下のコミュニケーテョン不足だとか。先輩から「お酒の席」に誘われても断り、会社
とも距離を置きたいと考える…。さらに「ゆとり世代」の若手社員たちは、人間関係を
築くのが苦手で、同じ職場の上司に悩みや相談は出来ません。仕事上の悩みがあっても
自分だけで抱え込み、退職まで考えるケースがあるというのです。
そんな打開策として万協製薬が打ち出したのが、「プチコミファミリー制度」と呼ばれる
独自のシステム。会社の中に「ファミリー」を作り、若手を含めた社員同士が何でも相談
できる職場を作り出そうというお話。新入社員も含めて、所属や世代が異なるバラバラの
社員で一つのチームを作ります。さらに、その中で入社年度等に応じて「長男」や「末っ
子」などの役割まで決めるそうです。
ある新人と家族関係を結ぶための最初の飲み会が行われた後、新人さんは「疲れました…」
と本音を漏らしていました。それが、会社が旅費を出してくれるファミリー旅行などの
イベントを通して次第に溶け込み、ファミリーには自分から話しかけられるようになって
いくというお話。20%近くあった離職率も、こうした取り組みを導入した事で5%以下に
まで減ってきたんだとか…。
周りから入りたいと思われる会社にしていかなければ…それが今回の答えだったような
気がしますが…。イクボス研修に関しては、私の家内が「良い研修だ」と、珍しく騒いで
いて、良いとは思いましたが…。後者のファミリー制度に関しては、仕事を終えてまで
会社の人間と強制的に関わらなければならないような展開って、今の若者は喜ぶのか?
という疑問もあったのですが…皆さんは、どう感じられましたか?
先日の日経プラス10で『気象×AIで消費者心理を読む』と題して特集記事が紹介されていま
した。日本気象協会がこれまでの気象データに加えて、販売店で使われているPOSデータ、
更にはTwitter等のSNSデータまで加えてAI機能を導入し、企業の廃棄ロス(在庫の削減)や
機会ロス(商品の売れ行き予測)等、商品の需要予測を行って、小売店の販売の役に立つ取り
組みを始めているというお話でした。
日本気象協会の先進事業課担当者の話によると、全産業の3分の1は気象と関連していると
いう事ですから、ニーズは非常に高いものがあります。POSデータは分析の材料として役立ち
ますが、気象のように予測まではできないというのです。
例として挙げられたのが豆腐でした。夏も暑い日になるとおぼろ豆腐の売れ行きが上がるそう
ですが、豆腐は完成までに18時間かかるらしく、店舗から、暑くなったから追加で頼むと
言われても短時間で製造して届けることができないもので、前日から予測して作るしかあり
ませんでした。
そこで導入されたのが『寄せ豆腐指数』というもの。同じ気温30度でも環境や条件によって
感じ方が違います。前日の方が蒸し暑ければ30度でも涼しく感じる事もあるというのです。
この『寄せ豆腐指数』は、前後の気象データに加えて、Twitterのつぶやきデータ等も解析して
AIを活用して体感気温指数を出していくらしいのです。
気象を扱う予報業務許可事業者(気象・波浪)は、落雷情報・落雷対策の専門企業である
フランクリン・ジャパンをはじめ、ウェザーマップ、日本気象株式会社など約70の団体が
あります。これまでも多くの一般企業が気象情報を扱ってきたわけですが、何故、今更
こんなニュースが取り上げられたのか・・・
今回、日経プラス10で扱われたのは、2009年10月から国の公益法人制度改革に伴って営利
企業となった日本気象協会が、今月21日、気象情報をもとにした商品需要予測情報の提供・
コンサルティングサービス「商品需要予測事業」にて、株式会社インテージと、インテージ
が保有する「全国小売店パネル調査データ」の「第三者開示利用によるデータ活用」に関
して合意した事が大きな理由となっていました。
この合意によって日本気象協会では今後、食品や医療品、日用雑貨など、あらゆる商品を
対象とした需要予測を行うことができるようになります。また、AIを導入していく事によっ
て、従来よりもさらに高精度の需要予測を行うことができるようになるという訳で、気象庁
との絡みも含めて、ライバル企業にとっては、大きな脅威となるに違いありません。
でも、小売店にとっては需要予測って有り難いですよね。売れるのに品切れとか、売れない
のに在庫過多って、悲しすぎます。良い形で生活に活かされていく事を願います。勿論、
消費者となる私たちにとっても、『欲しい時にある』ということは、とても有り難いこと
ですからね!!
8月3日放送のカンブリア宮殿『庶民と中小企業の強い味方!下町信用金庫の街ごと活性化
術』の回、ご覧になられましたか?赤羽がある東京北区や荒川区を中心に展開し、金融の
枠を超えたユニークな取り組みを次々と打ち出し、絶大な信頼を勝ち取っている城北信用
金庫。
東京都北区にある赤羽は、昭和風情漂う飲み屋や洒落たレストランなど、新旧雑多な魅力で
人を引きつける今、話題の街だそうで、「住みたい町ランク4位」に急上昇とのこと。初耳
でした…。城北信金は中小企業が密集する東京北区・荒川区にある企業の約9割と取引
しているというから驚きです。さらに、年金支給日の嬉しいプレゼントや、振り込め詐欺
対策、家までの集金サービスなど、高齢者への優しいサービスも充実して、地元住民からも
愛されています。
城北信金が力を入れるのは、従来の金融サービスの枠を超えた“非金融サービス”。城北信
金は、ホームページ上に「ナコード」という企業と消費者を結ぶ紹介サイトを開設。企業
の商品やサービスの魅力を伝えるホームページを城北信金のトップページからアクセス
できるシステムを作り、好評だとか。
そのホームページの制作は、城北信金の職員が無料で行い、掲載料まで無料。「ナコード」
に商品を掲載することで、中小企業の業績が上がれば、将来的に金融サービスにも繋がる
と見込んでいるのです。さらに、城北信金では、金融機関としては全国初となるクラウド
ファンディングも立ち上げています。小規模で成功すれば、更に大きくするときに銀行が
支援できるというのです。
隅々までお金が流れるように広い視野で考えている城北信金…ただただ『お金を借りてく
れ』と、私が思っていた大手銀行とは全く違う印象でした。お金は行動を起こすため、
或いは、行動を支えるための手段であって、お金を借りることが目的ではないのに、はき
違えている銀行マン…多いですよね…。
城北信金はまた、人材の活用にも力を注いでいました。その一つがアスリート選手を職員
に正規社員として雇用したこと。フェンシングやカヌー、テコンドーなどのアスリート、
計7名が城北信金の職員として働いています。赤羽にはオリンピック強化選手のトレー
ニングセンターがあるそうで、地域との接点が強いのです。
選手たちは、練習や仕事の合間に地元の学校で出前スポーツ教室を開いています。子供
たちに夢を与えることで、地域の活性化につなげるというのです。『アスリートは、世の
中にプラスの影響を及ぼせる』…そう話す理事長の大前さん。農業女子をサポートしている
シーンもあって、本当に様々なバックアップをしている素敵な信用金庫でした。
8月10日放送のカンブリア宮殿『プロ料理人も食品メーカーも大絶賛!変化を恐れず挑戦
する老舗・醤油メーカーのサバイバル術』の回、ご覧になられましたか?
多くの飲食店で使用され、料理人からの絶大な信頼を勝ち取ってきたヤマサ醤油。そんな
業界2位のヤマサでさえ、本業の醤油の売れ行きは厳しく、いまや醤油そのものの売上
比率は、全体の3分の1程度にまで落ち込んでいるそうです。それでも順調に売り上げを
伸ばし続けているというのだから凄い事です。その味は、料理人から「玄人好みの味」と
絶賛され、東京の寿司店の7割弱、首都圏の和食店の半数以上が使い続けるほど、信頼
されています。
厳しい状況の中でも成長を続けられたヤマサの根幹にあるのが「変化を恐れないチャレンジ
精神」。一流と呼ばれる料理店から愛される老舗のヤマサですが、絶えず新しいことに
挑戦してきた企業だそうなのです。
例えば、日本で初めてソースを作ったのが「ヤマサ」なら、麺つゆの容器を初めてペット
ボトル化にしたのも「ヤマサ」。実は、歴代のヤマサの経営者は、鉄鉱山の経営や漁具の
販売、金融業に進出するなど、醤油醸造以外の事業にも果敢に挑み続けてきました。実際、
どれも成功したとは言えない結果でしたが、歴代の経営者は、失敗しても、また新たな
商売に挑み続けてきたのです。そのチャレンジ精神こそ、ヤマサのDNA。
12代目の濱口さんも「洋風ソース」や「アロエドリンク」などの醤油以外の新事業を立ち
上げては、失敗を繰り返してきました。しかし、諦めずに何度もチャレンジし、1997年に
「昆布つゆ」をヒットさせ…その後も「昆布ぽん酢」など、市場に無かった商品を生み出し、
ロングセラーを育ててきました。
中でも、特に業界を驚かせたものが、「鮮度の一滴 特選しょうゆ」。濱口さんは、酸化
するのが当たり前だった醤油の容器を一変させ、開封しても酸化しない、作り立ての醤油の
味を消費者に届ける画期的な商品を生み出し、変化に乏しかった醤油業界に“鮮度”という
新たな価値観を生み出したのです。
黒ずんでいない醤油は本当に美味しそうでした。トンカツでも醤油でイケてしまう醤油派
の私にはたまらないお話です。こうした濱口さんの挑戦によって、本業の醤油以外の調味料
の売り上げ比率は、いまや6割以上というのだから大したものです。
社長の金言は
【企業は常に“前進”すべき】
・・・心したい金言です。
今月の初めだったでしょうか。ワールドビジネスサテライトで[白熱!ランキング]個性競う
クラフトジン!なるタイトルで『ジン』専門のバーまでできているという話を耳にしました。
都内の高級スーパー「成城石井東京ドームラクーア店」。今年に入って、売り場を拡げて
いる商品…それが『クラフトジン』。売り上げが非常に好調だそうで、気にしながら酒屋
さんなどを見ていると、確かに扱われている『ジン』の種類が増えていました。
『クラフトジン』と言われても、普通に『ジン』でしょ?と思ってしまうのですが、ジン
トニックやマティーニなどのカクテルに使われるあの『ジン』と違って、香りづけに『ボタニ
カル』というものを使っているらしいのです。その土地の個性を生かした素材を使い、オリ
ジナリティあるジンになっているのだそうです。
で『ボタニカル』って何?と思ってしまうのですが、植物性の材料のことだそうで、この
ボタニカルの違いなどによって作り手が『ジン』の個性を競い合っているというのです。
成城石井では扱うジンを以前より約2倍の50種類に増やし、売り上げも2~3割増えている
そうです。
番組では弊社東京本社のある神保町の『COCKTAIL WORKS』が専門のバーとして紹介され
ていました。取り扱う種類は80種類以上。ジン初心者の姿も多く、一味違う『ジントニック』
にもご満悦の様子でした。酒飲みとしては、くすぐられるものがありましたよ…。今年8月1日
には東京駅、日本橋駅近くに、カクテルワークス東京店もオープンしたとか。
そんな状況から大手メーカーの参入もあって、6月にはアサヒビール、7月にはサントリーが
自社開発したクラフトジンを発売しています。今後は、地ビールのように、色々なものが
出てくるかもしれませんね・・・。
ちなみに、大阪にも、クラフトジンを中心に、ジンを様々なカクテルで楽しめるジン専門
バー「BAR JUNIPER SECOND」が、300種類以上のジンが揃う「BAR JUNIPER FIRST」
の姉妹店として、昨年11月10日にオープンしています。国内外のジンファンから熱視線を
集めているらしいのです。
内装はジンを造る蒸留所をイメージした、近未来の工場のようなスチームパンク調。複式
蒸留器を模したオブジェは冷蔵室で、窓から見えるのはジンのボトルの数々。ジンの規格は、
ジュニパーベリーを加えて蒸留していることだそうで、他のスピリッツと較べて規格が厳格で
ない分、造られるタイプや味わいが幅広く、どんなジンを造るか、蒸留所に創意工夫の
余地がたくさんあるのだそうです。
そんなブームの兆しを見せるクラフトジン。WBSが教えてくれたランキングは…
1位 3,554円 ヘンドリックス ジン
2位 5,400円 季の美 京都ドライジン
3位 4,310円 アンガヴァ カナディアン プレミアム ジン
4位 6,470円 モンキー 47
5位 4,310円 ザ・ボタニスト
6位 4,824円 No.3 ロンドン・ドライ・ジン
7位 4,536円 シップスミス ロンドンドライジン
8位 4,310円 ジーヴァイン・フロレゾン
9位 4,310円 ジーヴァイン・ノエゾン
10位 7,452円 グランドコントロール Apple
ちなみに2位の『季の美』…作っているのは京都市内にある日本で初めてのジン専門の蒸溜所
「ナンバーワンドリンクス京都蒸溜所」だそうで、季の美のボタニカルは和の素材。柚子や
山椒など11種類を使用しているらしく、これを性質ごとに6つのグループに分けて、わざ
わざ別に蒸留します。これによって柚子や山椒の香り、生姜のからさが際立つ和の味わいを
実現したとのこと。
専門バーにも行きたいし、この和の『クラフトジン』…飲んでみたいですね!! いや、ベスト
10…全種飲んで、飲み比べてみたいものです!!
7月27日放送のカンブリア宮殿『売れない時代にヒットを生む!実演販売プロ集団の全貌』
の回、ご覧になられましたか?古くは、ガマの油、バナナのたたき売りと、巧みな口上と
実演を駆使して商品を売る、プロの「実演販売員」…見ているだけでワクワクしてしまって、
つい買いたくなってしまいますよね。ネットショッピングが拡大する時代に、実はそのアナ
ログな販売力が底力を発揮しているというのが今回のお話。
水だけで汚れが落ちる布巾「パルスイクロス」や特殊コーティングの包丁「スーパーストン
バリア」など、10億円以上売り上げるヒット商品を数々誕生させている販売員集団。そんな
実演販売員たちを組織化し、成功をおさめているのが、コパ・コーポレーションという今回の
主役。
代表の吉村さんは『宣伝屋は信用出来ない』と言われたことに悔しさを覚え、会社を設立
されたそうです。実演販売の知名度を上げ『実演だからこそ伝わる』強みを前面に出して
いったのです。怪しい印象を与えがちだった昔の実演販売でしたが、吉村さんがスタイルを
変え、組織化したことで創業20年にして、年商22億円というから驚きです。
「うちは、実演販売業界のリーディングカンパニー」そう語る、吉村さんが育成した一人が、
レジェンド松下さん。現在は週に7本の通販番組に出演する売れっ子の実演販売員で、得意
の商品では1日1億8千万円を売り上げたこともあるそうです。
かつての実演販売の人材育成は、いわゆる徒弟制度で、教わったものを弟子が引き継ぐ形で、
口上は丸暗記、売る商品まで師匠と同じというのが、一般的だったのですが、代表の吉村
さんは、どんな商品でも対応できるように、実演販売のスキルを理論化し、教科書まで作成。
多くの実演販売員を育ててきました。この吉村理論を学べば、どんな商品でも対応できる
というのです。
実際の売り場で吉村流理論の実演販売をウォッチングして見えてきた秘密のメソッド…
「空卓を打つ」・「陣寄せ」など素人が知らない秘密のテクニックが明かされていきます…
「視覚」「聴覚」「身体感覚」に訴えてコストアピールしていく…。
わしづかみにされたお客の心は買わずにはいられなくなってしまう訳です。テレビショッ
ピングの外野には嫌気がさしますが、目で見て体感できる販売…伝わりますよね。
そんなコパ・コーポレーションの「売る力」を見て、販路を持たず、広告も打てない中小
メーカーが殺到しているそうです。累計425万枚を販売する、コパ最大のヒット商品「パル
スイクロス」。これは、レジェンド松下が売れずに埋もれていた商品を発掘し、現場の目
から改良を加えて、新たな商品としてテレビ通販で実演販売して大ヒットさせたとの事。
今では、そのメーカーも生産が追いつかないほどのうれしい悲鳴をあげていました。
吉村さん曰く『うちは卸売業です。販促活動として実演販売士を派遣していますが、派遣で
稼げるのは7%にすぎない。』あの「パルスイクロス」のように販路がない中小企業の役に
立てるので『良いものであれば喜んで売らせて頂きます』そう話されていました。
『商品をトコトン使い倒して、メーカーと一緒になって売れるものにしていく』…『売る
現場からもの作りが始まる』・・・頼もしい会社ではありませんか!!
村上龍の編集後記ではこんな事が話されていました。
『「売る」という行為には、利益を超えた「快楽」が潜んでいる気がする。価値を伝える
ことに成功したときに、モノは売れる。・・・彼らは、自ら徹底的に試してみて、自信が
ある商品しか売らない。優れた商品と優れたコミュニケーション能力、販売のプロとして、
無敵だ。』・・・【無敵の販売士たち】
商品を売るという基本的な在り方…再確認できた気がします。