6月4日放送のプロフェッショナル 仕事の流儀『ただこどもたちのために~絵本作家かこさとし』の回、ご覧になられましたか?
「からすのパンやさん」や「だるまちゃんとてんぐちゃん」等600を超える作品を世に送り、数々の名作を産み出した絵本作家の「かこさとし」さん。残念ながら、今年の5月2日、92歳で亡くなられましたが、その直前の3月から1か月間、亡くなる21日前までの密着取材が放送で取り上げられたのです。
死期が迫っていることは、ご自身もご家族も悟っておられ、「生きた証しを遺せるなら…」と、「かこ」さんが取材に応じてくれたそうです。作業場に車椅子で娘に連れられ、暫く座っていると激痛に見舞われて…辛そうにしながらも撮影に応じられるお姿…しっかり目に焼き付きました…。
19歳で終戦を迎え、多くの旧友が特攻隊員として亡くなられる中、生き残ってしまった自分に負い目を感じていたと話す「かこ」さん。自分を含めた大人たちが、戦争に反対する事もせず、愚かな間違いを犯してしまったにもかかわらず、反省できていない事に怒りすら覚えたそうです。
「こどもには、大人の言う通りになるのではなくて、自分で判断できるようになってもらいたい」と、子供たちの応援団として生きてきた「かこ」さん。90才を超えてなお意欲的に絵本を制作する「かこ」さんは、最後の最後まで、衰えゆく体に鞭打ち、痛む体や息苦しそうにしながらも、子供たちのために創作に向かっておられました。
未来ある子供たちのために、命を削るように作業部屋に向かい、腰の痛みを訴えながらの壮絶な日々…。目が悪くなって、腎臓を患って、負担を軽減するために、絵を他の人に任せる決断までしていきますが、いざ原画が出来上がってくると、「水は丸でないと…」「分子…という言葉は難しい」「こどもに易しくて優しい本に」と…結局絵を描いている人との打ち合わせで、制作はボツにしてしまいす…。
東京大学工学部応用化学科に学び、東京工業大学から工学博士の資格まで得ている「かこ」さんですが、難しい本ではなく、子供目線まで下りて描かれる思いやりに満ちた方。世代を超えて愛される絵本作家の、知られざる最後の記録…死の直前まで、絵本作家として生き、『こどもさんは、あなどれない』『こどもさんの、反応を出せるような物を書けなければダメだ』とプロの信念を訴えていました。
描かれる易しくて優しい絵本の裏には、子供を思い、絵本製作に命を懸けたプロフェッショナルの姿があったのです。壮絶な最後の記録…よくぞNHKの取材を受けてくださいました。お疲れ様でした。また、有り難うございました。
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