先週末、映画『シービスケット』を見ました。この映画は1930年代、大恐慌下のアメリカで
あった実話をもとにして作られたもので、第76回アカデミー賞では、作品賞を初め7部門に
ノミネートされました。その他、報知映画賞海外作品賞を受賞。日本アカデミー賞優秀
外国作品賞も受賞している感動の映画です。
大恐慌時代。息子を事故で亡くし、それを機に夫婦仲まで悪くなって離婚…という悲しい
過去を持ったオーナー(馬主)ハワードと、裕福だった家庭が大恐慌によって家を失い、
生活苦から幼少にして両親に売られてしまったジョッキー(騎手)レッドと、馬の命を、
足の怪我ぐらいで簡単に奪う事に嫌気がさした調教師スミス…3人の奇跡と感動の物語です。
映画のタイトルにもなっているシービスケットは体高150センチの小柄な馬です。性格は
穏やかで1日の大半を睡眠に費やし、小さい割りに食べる量は他の馬の2倍をたいらげて
いました。その性格の穏やかさゆえに競走馬にはなれず、競走馬のトレーニング相手として、
環境の悪い中で育てられていきました。
やがて不満と怒りがたまってか、シービスケットは、手のつけられない荒馬になっていきます。
その様子が騎手であるレッドと重なる部分があって、人と馬のつながりを感じさせる様に
描かれていくのです。
馬主のハワードは調教師スミスの勧めもあり、シービスケットを2,000ドルという安値で
買いました。馬の気持ちを理解できる調教師スミスと騎手のレッドは、荒馬のシービスケットを
うまく馴らし、馬場を使った練習では、コースレコードをたたき出せるまでに能力を開花させ、
レースでも連戦連勝を続けていきました。
世間は小柄なシービスケットが活躍する姿に声援を送り、シービスケットは時代のヒーロー
となり、やがて蹄鉄のサイン会をするなど、西部では一躍大人気者となっていきます。まぁ、
ここまででも映画としては充分満足できる作品になっているのですが、まだまだ山場は
続いていきます。
全部ご紹介してしまうと面白くないので、ここからは簡単に触れますと、その後、マスコミも
巻き込んでの東部の最強馬との対決。対決直前の波乱。レッドのトラブル、レース後の
シービスケットの怪我。レッドは騎手を、シービスケットは走ることが不可能とされ、
レースから離れて、心で結ばれた穏やかな生活を送っていくのですが…。
人と馬との絆によって起こされていく奇跡…それは、奇跡ではなくて、努力から得られた
物であって、奇跡が待つだけのものではない事を、不屈の精神で起こせる事を教えられた
そんな気がした素晴らしく、また、感動した映画でした。機会があれば是非一度ご覧下さい。