今日は、大工さんの日です。日本建築大工技能士会が1999(平成11)年に制定した記念日
です。11月が「技能尊重月間」であること、「十一」を組み合わせると「士」となり
「建築士」に相応しいこと、22日は大工の神様とされる聖徳太子の命日(622年2月22日)
であること、「11二二」を組み合わせると、11はニ本の柱をあらわし、ニは土台と梁
あるいは桁を表して軸組合の構造体となり、11月22日が大工との関係が密接であること
・・・からと、随分色々な理由をあげたものですね。
規矩準縄(きくじゅんじょう)という言葉があるそうですが、これは中国の孟子の言葉で、
物事や行動の基準、手本を正しくすることを意味するそうです。この言葉、大工ととても
深い繋がりがあるようです。
大工の伝統技術に規矩術(きくじゅつ)というものがあります。規矩術とは大工の数学の
ようなもので、この規矩準縄という言葉からきているとのこと。「規」とは「円を描く」、
「矩」とは「方向、直角」、「準」とは「水平」、「縄」とは「垂直、鉛直」ということを意味し、
家造りの最も基本となるキーワードです。更に、大工道具のことも指しているそうで、
『規=定規』『矩=差し金』『準=水盛り』『縄=墨縄』となります。
聖徳太子が大工の神様であるという話が先ほどの制定理由の中に出てきましたが、
その昔、聖徳太子が差し金を中国から持ち込み、大工に広めました。差し金とは
大工の大切な道具で、水平垂直をみたりするものです。古いことわざで、差し金
無くては雪隠も建たぬというものがありますが、これは差し金がなければトイレすら
建てれないという意味だそうです。更に、聖徳太子は太子講といって、大工を集めて
建築の講義のようなものをしていたそうです。これだけ材料があれば、大工の神様と
呼ばれるのも分かる気がします。
こうして規矩術が広まり、日本の高度な建築技術が出来上がっていったのですね。
ちなみに、奈良にある日本最古の木造建築、法隆寺もご存知の通り、その聖徳太子が
建立したもので、日本が誇れる建築技術ですよね。それにしても、聖徳太子が
『大工の神様』と言われていたとは、意外なニュースでした。