遅くなりましたが、大隅良典先生、ノーベル医学生理学賞受賞おめでとうございます!
日本人の受賞はこれで3年連続。「人のやらないことをやる」が信条という先生は、
細胞が自分のタンパク質を分解してリサイクルするオートファジー(自食作用)と
呼ばれる現象の仕組みを解明。何らかの理由でこの自食作用に異常が起きると、がんや
パーキンソン病、2型糖尿病など、さまざまな病気の原因となることが分かってきて
おり、今後これらの治療につながると期待されているのです。
会見で大隅先生は、今回の受賞につながった研究を始めたいきさつについて、「人が
やらないことをやろうという思いから、研究を始めました。強調したいのは、この
研究を始めたときに必ず『がん』の研究につながるとか、『寿命』の研究につながると
確信して始めたわけではありません。そういうふうに、基礎研究が転換していくんだ
ということを強調しておきたいです」と述べ、自然科学の分野での基礎研究の重要性を
強調されていました。
また、「サイエンスは、どこに向かっているのかが分からないところが楽しいのです。
『これをやったらよい成果につながります』と言うのは、サイエンスにとってはとても
難しいことです。すべての人が成功するわけではありませんが、チャレンジすることが
科学の精神であり、その基礎科学を見守ってくれる社会になってくれることを期待
したいです」と述べられました。
若い世代へのメッセージを求められた先生は「今、なかなか子どもたちが自分の興味を
表現することが難しい時代になっている」と述べたうえで、「『あれっ』と思うことが
たくさん世の中にあるので、子どもたちには、そうしたことへの気付きを大切にして
欲しいです。分かっている気分になっているが、何も分かっていないことが、生命現象
にはたくさんあります。子どもたちには『なんとかなるさ』というくらいの気持ちで、
チャレンジしてくれる人が増えることを強く望んでいます。それと同時に、そうした
子どもたちを支える社会であって欲しいです」と述べられました。
大隅先生は弊社が年度大会を毎年担当させて頂いてる日本生化学会の名誉会員をされて
おり、2008年の第81回大会(BMB2008)では会頭を務められておられました。社会の
『見守り』『支える』ことの必要性を強く訴えられるお姿には本当に感動させられました。
改めて、大隅先生、ご家族のみなさま、関係者の方々に心よりお祝い申し上げます。