今日11月13日は・・・13日の金曜日・・・というか、日本漆工芸協会が1985年に制定した
漆の日。平安時代のこの日に、文徳天皇の第一皇子・惟喬親王が京都・嵐山の法輪寺に
参籠し、その満願の日のこの日に漆の製法を菩薩から伝授したとされる伝説から記念日
とされました。この日は、以前から漆関係者の祭日で、 親方が職人に酒や菓子などを
配り労をねぎらう日でもあったそうです。
以前にも鉛筆ネタで御紹介させていただいた『所さん!大変ですよ』でも、9月17日に
放送された中身で触れられた漆。この番組は、新聞の片隅に載っている小さいけれど
見過ごせない不思議な“事件”を深堀りし、その意外な真相に迫るバラエティー番組
です。
うるしの回は、世界遺産“日光東照宮”の社殿劣化の原因に迫っていました。
大切な社殿が、予想を超えるスピードで劣化し関係者を慌てさせている日光東照宮
というお話。原因だと考えられているのは中国産漆。調べてみると、同様の劣化事件が
各地の寺社で相次いでいることが分かって、国が打ち出した“文化財の修理は原則
国産漆使用”という通達。
世界から見た日本は、漆の国です。ご存じの通り、japanとは漆のことです。残念ながら
日本産漆は、年々減少し、平成25年には日本国内で使われる漆の中でたった2%、
わずか1トン弱まで減っています。このままでは、日本からjapanが消える危険性も…。
日光東照宮の表門では修復してから60年以上が経過しても鮮やかな色を保っていて、
こちらは日本産100%の漆を使ったとのこと。一方で劣化が進む建物では中国産の
漆を使い、塗った当初の出来栄えは日本産以上とされていましたが劣化は進んでいます。
中国産と日本産の漆、両方とも全く同じ種類の漆の木から取れるそうですが、主成分で
あるウルシオールは日本産の方が若干多いとのこと。このウルシオールという漆を固める
成分の差で、中国産の漆を使った建物の方が劣化が進むと考えられるというのです。
日本産漆の生産量が少なく、平成25年度では最盛期の25分の1に落ち込んでいるという話。
漆の木の増産が必要というわけです。日光東照宮では修復工事で国産漆を約10t使用
していて、数年前から購入してきた国産漆を使っても全てをカバーすることができません。
劣化が早いと言われる中国産の漆は、実は東南アジアの国々で取れる漆以上に良質。
そのため、国産漆が減少している中で中国産の漆を使うことは次善策と考えられてきました。
岩手・浄法寺町では国産漆の7割を生産していて、20人の職人が作業にあたっていますが、
国が目指す年間2トンを生産するには20人の増員がが必要とされ、更に年収は200~300
万円とあって跡継ぎも殆どないのが現状となっています。
国は国産漆の増産を目指していますが、今現在でも職人は不足し更に低収入ともあって
後継者不足に喘いでいます。外国人に人気の観光スポットランキングでTOP5のうち4ヵ所で
漆が使われているそうで、放っておけない課題と言えるでしょうが…
漆の日…改めて貴重なものであることを再確認したいと思います。