カナダの日本人野球チームが偏見と差別を乗り越えていく物語ですが、実際にこんな事があったのかと思うと、なかなか面白く見る事が出来ました。
『バンクーバーの朝日』は、2014年制作の日本映画。フジテレビジョン開局55周年記念作品で、戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」を描いた作品。石井裕也が監督し、主演は妻夫木聡。その他、KAT-TUNの亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮など、実際に野球経験のある俳優を起用して撮影が行われました。
1900年代初頭、日本は不景気であり、多くの日本人が新天地を夢見てカナダへ渡っていきました。しかし現実は、過酷な肉体労働や貧困、云われのない差別…という厳しさ。そんな中、日本人街に野球チーム「バンクーバー朝日」が生まれます。体格で上回る白人チーム相手に負け続け、万年リーグ最下位でしたが、彼らのプレイは日本人街の希望の光となっていきました。
ある年、キャプテンに就いたレジー笠原は、敵の三塁手が大柄で動きが鈍そうなことからセーフティバントを思い立つ、さらに盗塁を組合せて念願の得点を取ることに成功しました。これをきっかけに、バントと盗塁を多用するプレースタイルを思いつくと、その大胆な戦法は「頭脳野球」「サムライ野球」と呼ばれ、同時にフェアプレーの精神でひたむきに戦い抜く彼らの姿は、日系移民たちに勇気や希望をもたらし白人社会からも賞賛と人気を勝ち取っていき、シーズン最終戦に優勝を賭けた大一番を戦うまでになっていきます。
朝日の活躍は、日系移民とカナダ人との垣根を下げるのに寄与したかと思ったが、泥沼化した日中戦争の打開を図るため、1941年12月、日本軍が真珠湾攻撃を行い太平洋戦争が勃発すると、一転して日系移民は敵性国民として強制収容されることになってしまいます。彼らが収容所から出たのは終戦後5年後、さらに朝日と言う野球チームの名誉が回復されるには60年の歳月が掛かることとなってしまうのです。
今、海外では大谷選手や鈴木選手、ダルビッシュ選手と大活躍する選手も多くなっていますが、こんな時代と比較しながら、昔の苦しい中を生き抜いた姿を知る事も、なかなか良いものでした。間もなくゴールデンウィーク。時間にゆとりがあれば、是非見て頂きたい映画となっています。
※姉妹サイト「BLACKBOX」は、こちらです。