2月1日放送のカンブリア宮殿『世界を驚かせた日本製の鋳物ホーロー鍋バーミキュラ~倒産寸前の町工場 大逆転の秘密~』の回、ご覧になられましたか?愛知ドビーという社名はご存じなくとも、バーミキュラを知らない人はいないのではと思われるほど大ヒットしている鋳物ホーロー鍋を作った会社が今回の主役。他の番組には何度か登場していましたが、ようやくカンブリア宮殿に登場してきたといった感じです。
愛知ドビーは、創業当時“ドビー機”と呼ばれる機織り用機械のメーカーだったことが社名の由来となっているそうです。ハリーとは関係なさそうですね。繊維産業の衰退とともに、1990年代には船舶部品などの下請け工場に転換。2000年に入ると、海外の下請け工場に仕事を奪われ、次第に業績は悪化。父の苦境を見た、長男・次男は父や工場の人たちを助けたいと実家に戻り、兄弟二人三脚での立て直しが始まったそうです。
下請け工場の限界に突き当たっていたある日、次男が立ち寄った本屋で、フランス製の鋳物ホーロー鍋を紹介する本を見つけ、同じ鋳物ならば自分たちにも作れるのではないか、と思いつきます。そして、二人は、「世界一の鍋を作る」という目標を掲げ、開発に乗り出しますが、開発は失敗の連続。気がつけば3年がたち、失敗作は1万個にも及んでいたそうです。
挫けそうになりながらも、試行錯誤を続けていたある日、「これならば」と思える鍋が完成し、無水調理でカレーを作ってみると、驚きのおいしさになっていました。3年…1万個…本当に、よく投げ出さなかったものです。2人の不屈の精神が、無水調理ができる世界初の鋳物ホーロー鍋を完成させたのです。
鋳物ホーロー鍋といえば、フランス製が人気の市場でしたが、7年前に発売すると、「調味料を使わなくても野菜が驚くほどおいしくなる」と評判となり、一時15か月待ちになるほどの大ヒット商品に。さらに、IH調理器を組み合わせた炊飯器「バーミキュラ ライスポット」を2016年に発売すると、こちらも一時入手困難となるヒット商品となりました。
番組を見始めて間もなく、「こんな鍋欲しいよなぁ」と私がつぶやくと、家内は、「そんなもの要らないわよ」と一言。ところが番組を見終わる頃には、「やっぱり、この鍋欲しいわ」って。ビタクラフトを持っている家内でしたが…それだけ魅力のある鍋という事なんでしょうね。
当初はなかったように思いますが、お客様サポートセンターの様な所で、鍋を買ってくれたお客に対して、使い方の相談だけでなく、レシピの相談まで受け付けるようになっていました。番組では離乳食が作れないかという相談に対応していましたが、徹底的に客の声を聞き、開発にも役立てているのです。2016年に発売されて人気が爆発した炊飯器「ライスポット」も、「バーミキュラでお米を炊くとおいしいけれど、火加減が難しい」という客の声から産まれたヒット商品だったようです。
いつもの村上龍の編集後記では、こんな事が書かれていました。
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多くの中小企業は後継者不在という危機に瀕している。「愛知ドビー」は兄弟が協力し後を継ぐという理想型で再建された。だが、その道のりは、厳しい、ではなく、「ほぼ不可能に近い」だった。異業種出身の二人は、あきらめなかったのではない。あきらめることができなかったのだ。バーミキュラは、革命的な鋳物ホーロー鍋で、料理人が変わったのではないかと錯覚する。さらにレシピの種類が、鍋が持つ可能性にまだ追いついていない。兄弟は、社名を変えなかった。「愛知ドビー」創業以来の、技術力への誇りが刻まれている。
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私も社名に関してはバーミキュラにでもしてしまえばとも思いましたが、それも変えずに拘る姿も、また素敵に思えたものです。お小遣いでも貯めて、秋の家内の誕生日にでも、プレゼントしてあげましょうかねぇ…。