NHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』ご覧になられましたか?
2016年3月、グーグルの開発した囲碁の人工知能が、世界最強と言われる韓国人の棋士に
圧勝し、世界に衝撃が走りました。囲碁は、人類が発明した最も複雑なゲームと言われ、
人工知能が人間を凌駕するのはまだ10年はかかると言われる中での出来事でした。
そして、今年春、今度は、将棋界の最高位・佐藤天彦名人と最強の人工知能が激突する電王
戦2番勝負が行われました。人工知能の前に、これまで屈してきたプロ棋士たち。最後の
牙城だった佐藤名人も完膚なきまでに叩きのめされてしまったのです。
番組では、既に現実社会に進出し、人工知能が人間に代わって判断を下している…そんな
様子が紹介されていました。
名古屋のタクシー会社では、客がいる場所を指示する人工知能を導入、客の数を大きく伸ば
しました。携帯の位置情報やタクシー会社の乗降記録、気象情報等を人工知能に学ばせると、
導入前より客を乗せる率が、20%もアップしたそうです。金融市場も80%が人工知能に任さ
れる様になり、トレーダーは、人工知能の予測を見守るだけ。物凄いスピードで売り買い
され変動するスピードに人間ではついていけないのです。もはや、マネーゲームの勝ち負けは、
どれだけ優秀な人工知能を持っているかが鍵になっているとか…。
また、恐ろしい事に、人工知能が、人間を評価するという事態も起こり始めています。シン
ガポールのバス会社では、事故を起こす危険性の高い運転手を人工知能が見つけ出し、アメ
リカでは、過去の膨大な裁判記録を学んだ人工知能が、被告の再犯リスクを予測し、それを
基に、どれくらい服役させるかを決める判断材料にしているそうです。日本の企業…離職率
の高い医療事務でも、社員が記した文章から「辞めたい」と考えている可能性を人工知能が
判断し、退職の予兆がある人を察知するというシステムを導入しています。
見終わって怖く感じたのは、番組の中でも触れられていたブラックボックスのお話。『なぜ、
人工知能が、その様な答えを導き出したのか』…その理由を知る事が出来ないという事。
ブラックボックスの中を見られない状況で、人工知能の出す答えに、どう対処し、どう使い
こなして行くのか?
映画の世界ではないけれど、人間が「共謀罪」という条件を与え、人工知能があらゆる情報網
から危険を察知し、犯罪が行われる前に極刑にしていく…そんな映画の世界の出来事が起こり
得るかもしれない…。昔、映画の中で人工知能が語っていたこと…『人間は地球を滅ぼす
ウィルスだから、駆除する必要がある』と…。
羽生さんは最後にこんな事を言われていました。正確ではありませんが、その辺はご了承
ください…。
『いくら人工知能が提言しても、それを採用するかどうかは、人間が判断する…。
だからこそ、判断しなければならない人間のレベルアップが急がれ、求められる…。』
人工知能…AIと、人間の共存の仕方・・・ボーッとしているうちに、気付けば殆どはAIに
よって動かされる社会になっているのかもしれませんよ・・・