ティータイム

トップセールスマンが【世阿弥】を軸にしていたとは・・・

2018-10-18 NEW!

 

10月1日放送のInnovative Tomorrow シーズン5、第1回のジャパネットたかた創業者でもある髙田明さんの回、ご覧になられましたか?毎週月曜日24:00~24:30にBS日テレで放送されている目立たない番組ではありますが、豪華ゲストが登場して、毎回楽しみな番組の一つとなっています。

 

髙田明さんについては、今年の5月29日の【出来ると信じたら8割のことは可能】というタイトルの回でも書かせて頂きましたので、またかと思われるかも知れませんが、今回は、高田さんが再三口にしていた『世阿弥』を中心に触れたいと思います。

 

・・・伝え方が書いてあると話し出すと…
【序破急】➡導入し展開し結論を導く
【1調2機3声】➡調子を整え、タイミングを図り、息をとめて声を出す
・・・と、テレビショッピングで役立っていた『間』が売り上げに結びつくと話していきます。

 

『伝える力を高めるヒント』がある・・・と口にすると、またまた・・・
【我見】と【離見】➡「自分の一方的な視点」と「相手の立場に心を置いた視点」
人を感じる心(離見)で接する事の大切さについても話されていました。世阿弥??

 

いつもの【思考のコア…自分への問い】に対しては・・・
『今という瞬間を一生懸命生きているのか?』と話し、「失敗には二種類ある・・・
「やらないことで得られる失敗」と「一生懸命やらなかったことで得られてしまう失敗」
この2つをしないように心がけているんだとか

 

・・・で、こうした番組で【世阿弥】を引用されるのは初めてのことだったので調べてみました。

 

世阿弥が残した著作の中でも、特に有名なものが「風姿花伝」というものらしいのですが、演劇や芸術についての考えが述べられたもの・・・とは言え、どうやら『世阿弥』の言葉の深さはそれだけではないようです。

 

劇団のオーナー兼プロデューサーでもあった世阿弥は、劇団の存続の為に「どうしたら良いのか?」を考え抜き、役者の修行方法から始まり、いかにライバル劇団に勝ち、観客の興味を惹くにはどうすべきかなど、後継者に託す具体的なアドバイスを記していったのです。いわば、芸術のための芸術論というよりは、生存競争の厳しい芸能社会を勝ち抜くための戦術書ともいえるもの。

 

世阿弥は、観客との関係、人気との関係、組織との関係など、すべては「関係的」であり、変化してやまないものと考え、その中でどのように己の芸を全うするか、ということを中心に説いています。ビジネスパーソン…特に、営業には役に立つ物のようですね。読みやすく解説された本も多く出版されているようですから、まずは「風姿花伝」…読んでみたいですね。そうそう、ついでなので世阿弥の珠玉のことばの中から、代表的なものをひとつ。

 

【初心忘るべからず】

 

・・・これも世阿弥だったんですねぇ・・・
 

 

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【六花亭】の美味しいお菓子の裏側に、深く豊かな愛情を見た

2018-10-11 NEW!

 

10月4日放送のカンブリア宮殿『熱狂ファンを生み続ける "六花亭"震災に負けない!驚きサバイバル術の全貌』の回、ご覧になられましたか?

 

百貨店等で、大人気のイベントと言えば・・・「北海道物産展」。私も、そんな広告を見てしまうと、何が欲しいという訳でもなく、ワクワクして見て回りたくなってしまいます。今回の主役は、そんな物産展の中でも、特に人気を集めているという…土産菓子で全国に熱狂的なファンを抱える「六花亭」さん。

 

1日に20万個を作る「マルセイバターサンド」や、イチゴを丸ごとチョコで包み込んだ「ストロベリーチョコ」など数多くのヒット商品を持つ、人気のお菓子メーカーで、“機械だけに頼らず、味や食感の特徴を出す「ここ」という部分は、職人の手作業で菓子を作っているのです。しかも六花亭には「北海道以外には店を作らない」「売り上げや規模の拡大を目指さない」という、独自すぎるポリシーもありました。

 

代表の小田さんが六花亭に入社したのは1972年。当時、若者を中心に北海道旅行が流行し、小田さんの父が開発した日本初のホワイトチョコが全国的にヒットしていました。1977年には屋号を「六花亭」に変更し、札幌に進出。屋号変更の記念として発売したのが「マルセイバターサンド」で、売り上げ100億円を目指し、商圏を拡大させていったのだそうです。

 

そんな六花亭に東京進出の誘いが入りましたが、小田さんは、東京には進出しないことを決断しました。【デキモノと食べ物屋は大きくなれば潰れる】という父親の言葉があたまに浮かび、【目が行き届かなくなるから】と、「売り上げや規模」を追求するのではなく「従業員の質を維持する」ことで、企業を永続させるという、独自の経営を突き進めていくのです。

 

毎日発行される社内新聞『六輪』…社員の生の声が聞こえ、相手が見えてくる。その中には改善提案等も含まれ、従業員自身にも、他の社員の頑張りが見えるとモチベーションが上がる。働き方改革も、とっくの昔に実現。残業はゼロ。有給休暇は、29年連続で百パーセントが消化されています。従業員6人以上が参加する旅行であれば、社員旅行制度が適用されて、経費の7割りを会社が負担(年間20万円まで)。ある社員は『一生懸命働いて、一生懸命遊んで、遊んできたから、また頑張ろう』と思えると笑顔で話されていました。

 

頑張った人を讃える報奨制度。今月の顔…受賞者の為に開かれる宴は、社長を含める役員自らも接待し、更に最後には20万円の特別ボーナスも…。月間賞の中から選ばれた最優秀者には、カナダ旅行と100万円。「マッチングギフト」という制度では、会社と社員が寄付を積み立て、返さなくてもよい月六万円までの奨学金までありました。ごろすけ保育園という自社の保育園を設け、エルダー制度という65歳以上になっても働ける制度まで用意されています。やる気を引き出す制度や働く環境を整え、従業員の質を上げていく…それが企業の永続性に繋がると考えているそうです。

 

小田さんは、「850や1300人くらいなら顔も名前も覚えられる」と話し、「大家族なんだから、一人も脱落しないように全員の力を引き出すのがトップの仕事」と話されていました。十数名しかいないのに社員の名前を間違える社長もいる世の中、「これぞ社長!!」と拍手喝さいを贈りたいところです。

 

『あなたの今日の仕事は たった一人でよい。この店に買いにきてよかった 満足してくださるお客様を 作ることです。六花亭があるおかげで お客様一人一人が 人生は楽しいと 喜んでくださることです』そんな言葉が社内に貼りだされている【六花亭】さん。『売上ではなくて客数が大切、信頼の証が大事』と話す小田さんは、工場の壁に刻まれたプレートへとカメラを案内していきます。そこには、これまで会社に勤めてくれて来た『従業員の名前が刻まれたプレート』が壁一面に埋め込まれていたのです。熱いものがこみ上げてくるではないですか。

 

従業員の質を維持することで、企業を永続させようとする小田さんは、まだまだ、重視されているものがありました。それは、時間を取り入れた経営。例えば、北海道の中札内村には六花亭が直接運営する美術館。この美術館…大正2年から銭湯として利用されていた建物を移築したものだとか。ツタに覆われた築75年の建物は、誰もが利用できる図書館へ。小田さんは、こうした歴史的に価値のある建物を地域に残すことで、その景観を地域の財産として後世に残そうと考えていたのです。

 

「マーケットに限界がある産業だからこそ、成長を追うのではなく、いかに企業として深耕していくか」を考えなければいけないと語る小田さんは、今年9月の巨大地震、大規模停電があった当日も…震災の影響で工場がストップし、商品の各店舗への供給もままならない状態だったにもかかわらず、当日から営業することで、地元の人達に安心感を与えようとされていました。地元の人達に愛され、街と共に生き残っていく会社でありたい。そんな思いは、六花の森という自然公園、なんと東京ドーム2個分の施設まで作ってしまうほど。地元の人が誇りに思える会社になれるよう、小田社長流の社会貢献だったのです。

 

『企業の永続性に繋がるかどうか、あってもなくても良いことはやらない」『永続性』とは、『追いつかれないこと』。ライバルや同業者に、時間をかけないとできないことを蓄えておけば、その蓄えが追いつかれない…猶予期間…余裕を生み出すと話す小田さん。お菓子だけではなく、社内制度や地域の環境整備だとか、全体が1つとなって企業を作り上げていたのです。『売上や規模の拡大は追わない。売上目標も販売目標もない。東京への進出もせず…それなのに売上は200億』・・・納得できる事実。当然得られる結果と思えたのでした。

 

いつもの村上龍の編集後記には、こう書かれていました。
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「六花亭」のお菓子は非常に有名だが、物産展以外では都内のデパ地下で買えない。マルセイバターサンドは発売から40年以上、流行には追随しないという考え方だが、商品は洗練されている。売り上げは追わないらしいが、長期的には業績は上がっている。小田さんご自身も、取り上げるべき話題が多く、印象深く、型にはまらない人だった。だが、スタジオで最後に「孤独感がありますか」と聞いたとき「あります」という答えが返ってきて、素顔を見た気がした。経営者は孤独に耐えて決定を下す。それ以外に、経営は、存在しない。
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これまでも素晴らしい会社を見聞きしてきましたが、あらゆる面で理想の会社…驚きの会社でした。長くなってしまいましたが、番組を見ていく中で、作られていく【六花亭】の美味しいお菓子の裏側に、深く豊かな愛情を感じたのでありました。
 

 

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AIが変えていく未来と人間・・・④つづく…PFN

2018-10-4 NEW!

 

さてさて、シリーズも最終回を迎えましたが…と言いたいところですが、AIの話はこれからも中心になっていくものなので、シリーズ最終回とは敢えて言わずに、「つづく」とさせて頂きますね。

 

…で、そんなAIにおいて…デバイスが生み出す膨大なデータを、ネットワークのエッジで分散協調的に処理する「エッジヘビーコンピューティング」を提唱し、様々な分野でイノベーションの実現をめざしているPFN(プリファード・ネットワークス)のHPを訪ねてみると、こんな事が書かれています。

 

●交通システム
自動運転およびコネクテッドカーに関する技術の研究開発。2014年10月からトヨタ自動車と共同研究を行う。
●製造業
ロボティクスや工作機械への応用。物体認識・制御・異常検知・最適化技術の研究開発。2015年6月からファナックと、2017年12月からは日立製作所と共同研究を行う。
●バイオヘルスケア
医用画像の解析、血液によるガンの早期診断技術の研究開発。2017年12月から国立がん研究センター等と共同研究を行う。

 

また、Visionと題して、こんなメッセージも書かれていました。
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今、テクノロジの世界では大きな変化が起こっています。一つは、IoTの普及と進化。様々なデバイスがネットワークにつながることによって、新しい価値が生まれつつあります。そして、もう一つは、人工知能の進化。深層学習をはじめとする機械学習の技術は、急速に研究が進み、様々な分野で実用化がいよいよ進みつつあります。私たちは、その2つの流れを融合し、新しいイノベーションを起こすことを目指しています。…中略…PFNは、機械学習・深層学習を研究開発しているだけの会社ではありません。分散コンピューティング、優れたデータ処理アーキテクチャ、ハードリアルタイムを実現するネットワーキング技術、自動車・ロボットをはじめとするデバイスへの深い理解など、様々な専門性を組み合わせることによって技術開発を行っています。…中略…PFNの研究者・技術者は、高い専門性を持っているだけでなく、他の分野への理解の重要性、多様性の重要性を熟知しています。製品開発と研究開発は、同じ組織の中で密接に並行して行われています。そして、スタートアップの機動力を生かし重要な分野へフォーカスし、パートナーと密接に連携しあい、一体となって技術開発を行っています。このようなことが実現できるのは、PFNという強力なチームがあってこそです。そして、我々のビジョンを実現した先には、自動車産業・製造業・ライフサイエンスという、社会にとって非常に大きな分野の、とてつもない大きな進歩が待ち受けています。
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ユニコーン企業として国内最大となったというPFNですが、そもそもユニコーン企業とは何か? Wikipediaには、こう書かれています。評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業。「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジー企業」といった4つの条件を兼ね備えた企業のこと。・・・なるほど。

 

★株式会社PFNは、大規模な並列コンピュータ「分散学習パッケージChainerMN-1」を活用し、深層学習(ディープラーニング)の学習速度において世界最速を実現2017年11月
★ロボットの国際学会ICRA 2018で、 Preferred Networksの論文がHuman-Robot Interaction(HRI)部門の Best Paper Awardを受賞2018年5月
★世界454チームが参加した物体検出コンペティション Google AI Open Images – Object Detection Trackで準優勝2018年9月

 

・・・2014年3月の設立以降、トヨタ自動車、ファナック、NTT、米シスコシステムズ、国立がん研究センターなど国内外の幅広い産業領域の企業・組織と提携、協業、共同研究開発を行うだけでなく、2017年4月には米インテルと、PFNの深層学習フレームワーク「Chainer」の開発での協業を発表。汎用CPU上でディープラーニングを可能にし、画像認識や機械制御といったAIによる機能を様々なIoT機器でも実装できるように…。

 

同5月には、米マイクロソフトとディープラーニング分野での戦略的協業を発表。マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」とPFNの深層学習テクノロジーの連携を推進し、ソリューション提供を目指すなど、世界を視野に入れ、事業を加速させている。PFNの特徴は、世界的企業とも“対等なパートナー関係”にこだわること。自動運転で共同研究を行うトヨタ自動車、産業用ロボット同士の協調に向けた協業を行うファナックでも同様。

 

様々な分野のAIの活躍の場の陰に隠れ、絡む提携企業の株価は軒並み上昇と…調べれば調べるほど、PFNの凄さを思い知らされてしまいます。だからこそ、そんな会社の中心人物の思考のコア…自身への問いかけ…①の回でも書いた・・・

 

【前例のないコラボレーションは、どこにあるのか?】

 

こうしたトップランナーらしい言葉として、確かに受け止められるのでありました。
 

 

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AIが変えていく未来と人間・・・②

2018-10-2 NEW!

 

「AIが変えていく未来と人間・・・②」って??・・・と①もないのに②から?と思われた方、今回は姉妹サイトと連続物で書かせて頂いておりますので、「①巨人が群がるAI集団、株式会社プリファード・ネットワークス」の回は、そちらでお読みください。また、昨年の7月にも「まるで映画の様に、人工知能が世の中を治める時代が…」というタイトルでAIについては書かせて頂いておりますので、興味がおありの方は、そちらもどうぞ。

 

さて、今回はNHKドキュメンタリー『 コズミック フロント☆NEXT「宇宙開発を変えるか?人工知能・AI」』から…

 

今、宇宙開発のありかたを人工知能・AIが変えようとしているというお話。人間の知能を再現することをめざし、恐るべきスピードで進化を遂げつつある人工知能。番組では、未知の惑星を見つけたり、コンピューター・シミュレーションによる画像と、実際の銀河の進化のプロセスを結びつけたりと、大発見に貢献する人工知能の現場を紹介していました。

 

そう言えば1月18日に放送された同番組では、私の大好きな作家も取り上げられていました。

 

150年前、19世紀フランスの作家ジュール・ヴェルヌが「月世界旅行」を産み出します。後に宇宙開発を牽引する科学者の多くが少年時代にこの物語を読み宇宙をめざしました。しかもその内容は100年後に行われる実際の月計画と驚くほど似ていたんだとか。なぜ彼はそんな物語を描けたのか。今につながる宇宙開発のきっかけを作った偉大な作家の謎に包まれた創作の秘密・・・

 

最後にベルグが懸念を示した小説の原稿が最近見つかり出版されました。それは今までのベルグの考え方とは真逆でした。パリは公害が進み計算機により人間は支配されるという暗い内容・・・計算機…今でいうAIが人間を支配するというのは、近年映画の中でも多く取り上げられるようになってきていますが、まだ実感としては薄いAI ・・・

 

まず今回の番組の中で知らされたのは、「人工知能が未知の惑星を発見」というお話。その一つはケプラー90の惑星で、見つけた方法は人と同じとは言え、人間が見落としていた物を、画像を通してAIが見つけるというもの。やり方はシンプルです。犬を認識する流れで言うと、まずは、ひたすら犬の画像の情報だけを与える。そうすることで、犬の特徴を掴ませ、正確に当てるようにさせる・・・それだけです。

 

同じことを宇宙に当てはめたというのです。惑星がある情報を学習させる。次に他の物と混ざった情報を与えて訓練し、正確に選べるようにしていく。そして、人では判断できなかった物を見分けることが出来るようになった。・・・ということだそうです。人工知能がまだ分析していないデータは20万もあるのだとか。宇宙人のいる惑星を見つけるのも時間の問題かもしれませんね。

 

また「人工知能が地球を守る」・・・そんなお話も聞くことができました。記憶に新しいところで、2013年2月のロシアに落ちた隕石。100km以上にわたって、建物の壁や窓ガラスが壊れ、1,500人以上の人がケガをしました。

 

そもそも、地球事変GIGA MYSTERY (3)「大量絶滅」でも取り上げられていましたが、超巨大隕石の衝突によって、生命体の99%が死に追いやられ、地球全体を揺るがす大事変に至った過去を持つ地球。『アルマゲドン』という映画では、主人公のブルース・ウィリスが、巨大な小惑星から地球を救うために核爆弾を使っていましたが、そんな話を思い出させる瞬間でもありました。

 

そんなロシア隕石落下事件をきっかけに、人工知能を使った地球防衛プロジェクトが2016年に発足したそうです。現在発見されてる小惑星は水星から木星の間あるメインベルトだけでも73万個以上と言われ、地球に接近しうる小惑星が約2万もあるそうです。

 

数も多く、形も複雑、未発見の小惑星から地球を守るためには、正確な形や大きさを把握し、中心を特定して、その軌道をつかみ、地球までの到達時間を正確に知る必要があるそうです、ところが、現段階では、その99%以上が、形すら把握できていないとのこと・・・。だから落ちてからビックリしている訳なんですね…。

 

そこで登場してくるのが今回の主役AI。レーダーを使って得られる実在データの他、小惑星のサンプルデータが不足していたので、シュミレーションで数百万個の3Dモデルとそのレーダー画像を作り、実存していない小惑星の形までAIにディープラーニングさせました。人間だけで行うより大幅な時間短縮に貢献してくれるはずです。

 

2008年10月6日には、レモン山天文台の望遠鏡で小惑星2008 TC3を発見されていますが、この小惑星は、発見から約20時間後にスーダン上空で地球の大気に突入しています。堕ちた場所と隕石があまり大きくなかったため、惨事にはなりませんでしたが、人が手間をかけてやってきた従来の方法では対策できない事が分かっているだけに、一日も早く、システムが確立される事を期待したいですね。

 

番組ではこの他、宇宙で"人間では入る事ができない所"で活躍してくれるというAI ロボット ドイツの『ジャスティン』や潤滑油の働きをするコミュニケーションAIロボット『サイモン』も紹介されていました。過酷な仕事から人間を守り、危険な環境から命を守ろうとするAI …頼りになりそうですが…AI…歓迎できない話もあるようで…。

 

(つづく…次回は、NHKスペシャル『人工知能 天使か悪魔か2018 未来がわかる その時あなたは…』というタイトルで姉妹サイトの方で書かせて頂きます。ちなみに、これはパスワードが一時的にかかりますので、すぐ読みたい方は①の最後に書かれている問題を解いてご覧ください。)
 

 

 

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自己責任・自己完結のスーパーボランティアの【行動力】とは  

2018-9-27 NEW!

 
9月23日放送の「情熱大陸」ご覧になられましたか? 8月に山口県で行方不明となった2歳の男の子を発見し、一躍時の人となった、“神”と呼ばれるスーパーボランティアの尾畠さん(78歳)が登場されていました。

 

カメラが追ったのは西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県呉市天応地区。被災地の復旧を手伝うボランティアの中に、一際目立つ、赤いつなぎに、「絆」と書かれたヘルメットの尾畠さん。取材を求められると「何でも撮って良い」ことと「活動中は邪魔をしない」という事を約束に、少しも嫌な顔をせずに番組の取材を受諾。

 

天応地区には、氾濫し流れ込んだ土砂が今なお残ったままの家屋も多いのですが、率先して床下へもぐり込み、ヘドロとなった土砂を泥まみれになって次々とかき出していきます。みんなが休憩している間も、作業効率を上げるために瓦礫の山から適当な板を探し、泥濘の土の上に敷き詰めていきます。ボランティアも段取りが7割と語る尾畠さん…流石です。

 

また、被災者に寄り添うようにして声をかけ要望を聞き出し、仲間たちに伝えます。時には、経験が浅く動きが硬いボランティアを得意の冗談で和ませ現場の空気を変えていきます。さらに毎朝9時に始まる一般のボランティア活動の前にも独自の活動を続けていました。

 

早朝6時、たったひとりで向かったのは泥と流された瓦礫で埋め尽くされた川…。始めたのは沢山の瓦礫や汚物も混ざった川の泥をスコップで掘り返し、探し物。行方不明の人が見つかるように、衣類などを見つけると川の水で洗って、近くに、目立つ様に配置。遺品でも見つけられればと…最後まで諦めない姿勢を行動で見せていました。その『行動力』は凄まじいものです。

 

ボランティア仲間の1人はそんな尾畠さんを「神」の様だといいます。大分県の地元では人気店だった魚屋を65歳で閉店され、世の中に恩返しをしたいと今はボランティアに専念。活動資金は年金収入の月55,000円だけ。お礼は一切受け取らず、節約を心がけ車中泊をしながら全国の被災地を回っています。2011年の東日本大震災の際は、南三陸でなんと500日にもわたって活動されたんだとか。

 

束の間の休息日は、バイクで30分走り、無料の大好きな露天風呂で疲れを落とすそうです。同じ様に入浴していた人たちは、皆がこう話されていました。

 

「この人は、テレビに映るずっと前から、変わらずボランティアをしてきたんだ」

 

・・・と、まるで自分たちの自慢の種であるかのように…。

 

そんな尾畠さんのもとには来客が絶えず、中には人生相談をしに訪れる人も。番組中には、そんな尾畠さんに講演依頼が入り、丁寧に断られていましたが、あの2歳児を発見し、報道されてからは、そうした依頼も殺到しているんだとか…。講演依頼もそうですが、こうしてテレビに出ることは、本人にとっては活動の妨げになるだけの様な気もします。

 

番組の中では、広島風お好み焼きの差し入れに涙して感動している尾畠さんの様子が映されていましたが、テレビに映る事で、過剰な差し入れなどがされることも、きっと迷惑になっていく様な気がします。ボランティア期間中、車中泊となる尾畠さんに車の中で休めないのではという質問が投げかけられると、避難生活をしている人に比べれば、ずっと良いと即答されていた尾畠さん。差し入れも、時にはマイナスになるのではと思ったりもします。

 

小学校5年生の時に母を亡くし、農家に奉公に出て,中学校は3年で4カ月しか通えず、別府市や山口県下関市、兵庫県神戸市の魚店で修業を積み、東京都大田区で鳶と土木の会社で資金を貯めた後1968年に大分に戻って魚屋「魚春」を開業されたんだとか。そんな苦労人の尾畠さんのお店は、当然、地元の人気店だったそうですが65歳の時に惜しまれながら閉店し、これまで沢山の人にお世話になってきたから、今度は、自分が世の中の人の役に立ちたいとボランティア活動に専念していきます。

 

引退は身体が動かなくなった時に考えるとか…。そんな尾畠さんは、10月には79歳になられるそうです。番組の中では、命を全うした死後の世界で、10歳で先立たれた母親に会えたなら、背骨が折れるほど強く抱きしめて欲しいと涙ながらに語っておられました。尾畠さんの生活を妨げるような接触は避けてもらいたいとつくづく思い、自分も何かできる事をしなければ…そんな気になってしまうのです。

 

改めてこんな生き方ができる人、人への思いの熱い人に対し、尊敬と感謝の意を表したいと思います。

 

 

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ケネディが尊敬していたという介護・福祉の礎を築いた名君

2018-9-25 NEW!

 

9月12日放送の『偉人たちの健康診断』「上杉鷹山 ひざの痛みよ!さようなら」の回、ご覧になられましたか?

 

この『偉人たちの健康診断』という番組、「健康のヒントは歴史にあり!」とうたって、歴史上の人物の日常生活や病歴、さらには健康へのこだわりから、現代の私たちが元気で長生きするためのヒントを探るという一風変わった番組なのですが、なかなか切り口が面白く、楽しみにしている番組の一つです。

 

今回は、破産寸前の米沢藩を立て直した名君・上杉鷹山というお方。正直、上杉というと上杉謙信の方しか頭に浮かんで来なくて、誰?とも思ったのですが、あのケネディ米大統領が尊敬する政治家としてその名をたたえた米沢藩主だというからビックリ。

 

破産寸前の米沢藩の財政を回復させるため「大倹約令」を発し、藩のため領民のため人生をささげた名君だそうです。鷹山の生涯から高齢化社会を健康に生きるためのヒントを探るということで、話題に上がってきたのが、不健康な生活で毛細血管が消えてしまう「ゴースト血管」のリスクや「ひざの痛み」の対処法について。さらに「弱者を切り捨てない」鷹山の画期的な福祉政策についても紹介して頂きました。

 

ウコギという漢方でよく使われるという山菜が、ゴースト血管を改善するパワーを持った食材だったというお話。また、変形性ひざ関節症に悩んでいたそうですが、よく歩いて筋肉を鍛えていたことで、痛みを軽減していた事等が話されいてましたが、番外編として、鷹山が30歳の時、米沢藩の法律として定めた制度についても触れていました。

 

それは 家族に病人や介護が必要な者が出た場合、看病のための休暇を認める制度。さらには、苦しい財政をやりくりして、社会的弱者を抱える家族に米を支給し、高齢者に対して心から大事にいたわる事を明文化し、90歳以上の者には生涯、米を支給すると定めたのです。

 

あの当時だからこそ、物凄いことで、だからこそ、米沢の発展の礎を築いた名君として知られ、あのケネディさんの知るところとなったのでしょうねぇ…。人々の健康は何物にも代えがたい。そんな当たり前の事を再認識させてくれた方でした。
 

 

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倒産寸前から『魔法のタオル』で復活した感動物語!!

2018-9-20 NEW!

 

8月30日放送のカンブリア宮殿『"魔法のタオル"で大逆転!倒産寸前から復活した感動物語』の回、ご覧になられましたか?女性の間で噂になっている「エアーかおる」という人気のタオル。2007年6月の発売以来、累計販売枚数、約600万枚を超える大ヒット商品とのこと。一般的なタオルより、吸水性、速乾性は1.5倍、洗濯してもボリューム感がなくならず、毛羽落ちも少ないという優れもの。実演販売でその違いを目の当たりにした人は、買わずにはいられなくなってしまう?

 

愛用者に聞くと「一回使うと離れられない。普通のタオルは使えない」と口を揃えて言うのです。一番の売れ筋は、従来のバスタオルの幅を半分のサイズにした「エニータイム」という魔法のタオル。半分だから価格は半分、半分でも吸水性が高いので、全身や髪を充分に拭け、洗濯もしやすく、バスタオルなのにハンガーで干すのにも丁度良く、サイズも小さくなるから邪魔にならないと主婦の間で話題となったとのこと。そんな人気のタオルを作りあげたのが、今回の主役、岐阜県安八町にある社員18人の中小企業の「浅野撚糸」。

 

浅野撚糸がある岐阜県南部は“繊維どころ”として栄えてきた街だそうです。1969年創業という浅野撚糸も、撚糸の製造を手掛け、下請け企業として多くの取引先をもち、地元でも名の知れた企業として成長してきました。現社長の浅野さんは福島大教育学部を卒業後、小・中学校の体育教師となり順風満帆な人生を送っていました。そんな浅野さんが2代目社長に就任するきっかけは、母親が病に倒れた1995年の事でした。

 

就任当時は経営も順調でしたが、2000年代に入ると安価な中国製糸が流通し、撚糸業界は衰退の一途を辿ります。浅野撚糸もその煽りを受け7億円あった売上げは2億円まで落ち込み倒産の危機に陥ってしまい、先代の父は「廃業しよう」と浅野さんに声をかけたそうです。しかし、協力工場を守りたいという思いから、2代目となる浅野さんは「どうせ廃業するなら限界まで挑戦したい」と決意したんだそうです。

 

そんな矢先、取引先から、使い道に困っていたある糸を紹介されます。それはお湯に溶ける「水溶性糸」。浅野さんはこの糸を使い新たな撚糸の開発に挑み始め、2年後、世界初の撚糸【スーパーゼロ】という撚糸が誕生していくのです。浅野さんはこれを、地銀から紹介された三重県の老舗タオルメーカー「おぼろタオル」に持ち込みますが、その会社もピーク時から比べ売上が3分の1に激減していた“廃業寸前”の中小企業。おぼろタオルの加藤社長は「もう後が無い状況だった、新たなタオルの開発にかけようと思った」と浅野さんの依頼を承諾。ここから廃業寸前同士の企業がタッグを組み、今までにないタオルの開発が始まったのだそうです。なんか、「下町ロケット」とか「陸王」のようなドラマになりそうなお話ですよね。

 

この浅野さん、タオルに限らず、幅広い商品に使える撚糸の開発に余念がありません。番組では「和紙」で出来た糸に水溶性糸とゴムを撚り合わせたものも紹介されていました。最大の特徴は、軽くて伸縮性があること。その撚糸を持って向かったのはジーンズ生地を作るトップメーカー「カイハラ」。浅野さんが目指すのはこれまでにない「軽くて伸び縮みする」新たなジーンズだったのです。

 

浅野撚糸さんのホームページを覗きに行くと、「デオなでしこ」というタオルも見つけました。この商品、ユーカリの木を原料としたエコ素材を使用し、素材に臭いのモトとなるアンモニアガス(尿臭)や酢酸ガス(汗のすっぱい臭い)、イソ吉草酸ガス(足の臭い)を科学反応で無臭化する物質を練りこむことで、スピード消臭を可能にしたものなんだとか。通販番組を見ていた訳ではありませんが、またまた欲しくなるではありませんか。下請けから脱却した浅野撚糸の快進撃…まだまだ続きそうですね。

 

番組の中で村上さんから中小企業へのアドバイスを求められると、【変化に対応できるものが生きられる進化論、夢論】と答えられていました。また、村上さんは、いつもの編集後記の中で、こんな事を話されていました。【技術には限界がないのかもしれないとも思った。これが限界だとあきらめたら、あらゆることが、そこで終わる。】と。当たり前のことかもしれませんが、日本の底力は、そんな所にある気もします。がんばれ!ニッポン!!
 

 

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“汚水”が”命を救う水”や”魔法の水”に変化してしまうなんて…

2018-9-11 NEW!

 

9月4日放送のガイアの夜明け『始まる! 水"革命"』の回、ご覧になられましたか?

 

気が付けば日の出が遅くなって、朝はそれなりに涼しくなってきましたが、最高気温が35度以上となる「猛暑日」が40日続いた、今年の日本。地球温暖化のせいで、あちらこちらで豪雨も観測され、河川の決壊などの災害で、深刻な「水不足」に直面する地域もあり、私も車を運転しいる時にゲリラ豪雨に遭遇して、とても怖い想いを経験しました。

 

実は世界各地でもこの夏、"猛暑"を記録し、イギリスや南アフリカなどでは干ばつでダムや貯水池が枯渇して水の使用が制限され、イラクでは生活用水を確保するため大量の水を使う農作物の栽培を50%以下に削減。インドでは水不足の影響で、死者が出る事態にまでなったんだとか...。 私たちが生きるために欠かせない、水。限られた資源をどうすれば少しでも有効に使っていけるのか・・・。

 

そんな中で、紹介されていたのが「WOTA」というベンチャー企業。東大の大学院などで水とインフラの研究をしていた北川力さんを中心に、立ち上げられた会社です。水が簡単に手に入らない被災地で、わずかなタンクの水でシャワーが浴びられるという有り難い機器を作っておられました。

 

なんと、このシャワー、排水を綺麗にして循環させるため、少しの水でもシャワーを浴び続けることができるというのです。おまけに、濾過後の水は匂いも一切なく、水道水の基準を上回るほどの水質を誇るというのですから、水道局も真っ青ですよね。キャンプ場でも、どこでも安心して使える水。こんな“ハイテク機器”の秘密は6種類のフィルターと、AIなんだとか…。またまたAIですねぇ。

 

水の汚れを感知すると、AIを搭載した装置が瞬時に最適なフィルターを選択して水を濾過し、あまりにも汚い"濾過の効果が見られないような水"は、濾過せずに捨てるという選択までAIが判断してくれるというのです。水資源を求めて争いまで起こる世の中…今は、機器の小型化も進められており、ゆくゆくは世界の水のインフラを変えるかもしれない夢の様な機器。こうした物は、国のバックアップも行って、どんどん普及させて行って欲しいものです。

 

そして、もう一つ紹介されていたのが『洗濯マグちゃん』。なんとも軽い感じの名前ですが、これがまた凄いのです。汗や汚れが染み込んだ沢山の洗濯物が、なんと洗剤を使わずに綺麗になるという一品。こちらは、洗剤を製造販売している企業が真っ青になってしまうというしろもの。さらにこの商品を使い続けることで、洗濯槽や排水ホースについた汚れまで落としてしまう、というのですから、申し訳ないけれど洗剤には完全勝利かな…。川や海も綺麗に保てそうで、環境にも良い感じですよね。

 

そんな夢の様な商品を開発・製造・販売しているのは、茨城県・古河市の町工場「宮本製作所」。自動車向けのボルトやナット、ネジなどの製造を手掛けているそうですが、下請けの苦境から脱却するために、この『洗濯マグちゃん』開発されたんだとか。最初は、「全然違う分野じゃん!!」とも思ったのですが、町工場から、こうした物が開発されるというのも物凄いことです。

 

そうして産み出された『洗濯マぐちゃん』…これまでに100万個を販売する人気商品となっているようで、片手で掴んでポケットに入れて運べるような小さな物だから、重い洗剤を買う手間も省けるという利点まであるようです。

 

驚きは、まだまだあります。なんと、洗たく後の排水で“農業革命”を起こすというのです。洗濯排水で作られた野菜は、ミネラルも充分という驚きの結果が。環境に優しく、汚れも匂いも、配水管まで綺麗にしてくれ、更に使用後の水は野菜の栄養価まで高めてしまい、更に更に重い洗剤要らずで、『洗濯マグちゃん』を使用後に乾かすことで300回も使えてしまうという魔法の一品。環境にも優しいこの魔法の一品・・・欲しいですよねぇ…。

 

今回のガイアの夜明けは、テレビショッピング並みの効果を感じましたよ。そんなの私だけですかねぇ・・・???
 

 

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神対応の漆職人…金継ぎが見せる“侘び寂び”

2018-9-5 NEW!

 
世界!ニッポン行きたい人応援団『「金継ぎ(きんつぎ)」を愛するイタリア女性が本場で猛勉強』の回、ご覧になられましたか?
イタリアからやってきた美術品のプロの修復師というキャーラさんが今回のご招待客。

 

いま世界30ヵ国以上に愛好者が急増中という“金継ぎ”の大ファンということでしたが、実は私は”金継ぎ”なるもの…初耳でした。金継ぎとは、壊れた陶磁器を漆で修復し金で繕う、物を大切にするニッポンならではの技の名称。キャーラさんは、そんな破損したものは元通りに直す欧州の修復と違って、あえて傷を隠さず新たな美を創造するという究極の修復技法に魅せられたのだとか。

 

いつもの招待客の様に、独学ながら、海外では手に入りにくい漆を取り寄せ、プラスチックボックスを室(むろ)にした金継ぎを実践。「ニッポンで金継ぎの先生から基礎を学んだり、漆職人に会って室について教わったりしたい!」ということでのご招待となりました。
キャーラさんが、まず向かったのは京都にある「漆芸舎 平安堂」。漆を使った伝統的な漆芸修復に40年以上携わる漆芸修復師・清川廣樹さんは、何ヶ月待ちというお客様もいる凄い方です。

 

金継ぎには、割れ、ひび、欠けなどいくつかの修復タイプがあり、素材や質感に合わせて金の色調や風合いを調整して施していきます。「元へ戻すだけでなく、新しい命を吹き込む。壊れたところを隠さないで模様に変える」という清川さんの修復を超えた美意識は、自然に朽ちた物も美しいと感じるニッポンの“侘び寂び”の精神に通じるものでした。

 

今回の見どころは、北大路魯山人の器・割山椒(わりざんしょ)の修復工程を、分かりやすいように段階別に用意してくれて見せていただけるところ。清川さん、神対応です。

 

割れた破片を糊漆(米粉を使った糊と生漆を混ぜたもの)で接着し、硬化させるため一週間ほど室へ入れますが、最初の10時間に最適な室温と湿度を保つことで、漆の強度や光沢が決まる大切な工程。清川さんは、電球と濡れタオルで温湿を調整し、余計な湿度は室の杉板が吸収してくれるといいます。キャーラさんが使っているプラスチック室は湿度が高くなりすぎるため、漆の接着力が弱まる要因になるとも指摘してくれます。

 

この後、錆漆(砥の粉を水で溶いたものと生漆を混ぜたもの)や、備前焼のざらついた表面に合わせるための砂子漆(漆黒の漆と粒が均一な砂を混ぜたもの)、金粉が映える赤い弁柄漆など、それぞれヘラや筆で継ぎ目に塗っては室で乾燥する工程を繰り返し、弁柄漆の表面だけが硬化したタイミングに金粉を沈めれば、最高の黄金色を出せると実演してくれます。

 

30分後、新品だと金を吸い込んでしまうため使い込んだ絹の真綿で金粉をつけてはこする工程を2~3度繰り返して光沢を出し、器より主張しないよう4~5工程かけて半透明の漆を重ね、器に合う深みのある金色へ。ちなみに漆は時間とともに透明感が増すので、最も美しい状態になるのは、なんと50年後なんだとか…。未来の変化を想像して手掛けるのが漆の楽しみ方でもあると語られる清川さん…凄い人でした。

 

清川さんは、キャーラさんの金継ぎ作品を見て、継ぎ目の溝が見えているから、下地にもうひと手間かけるべきだとアドバイスされたり、修復には器を傷つけないよう木製のヘラを使うことや、しっかりした下地を作ったりする技法を丁寧に説明しておられました。更に、簡易的な室の作り方まで教えて下さいました。

 

「沢山の疑問点まで、すべて教えていただけた」と大量の取材メモを見せて感謝するキャーラさん。清川さんからは、「僕が40年習ったうちの5年分くらいは入ってる。たくさん失敗を繰り返してください、そうすることで上手になります」と励まされておられました。技術は見て学べと言った昔のタイプの職人さんではなく、手にしてきた経験や知識を惜し気もなく伝えようとする清川さん…本当にこれまでの中でもトップクラスの神対応でした。

 

キャーラさんが、かけがえのない体験のお礼に、地元の焼き菓子を贈り感謝を伝えると、清川さんからは愛用の道具セットと明治時代の醤油刺しの金継ぎが渡されました。なんと素敵なプレゼントでしょうか…。

 

番組では、この他、日本有数の漆の産地・茨城県大子町に赴いて、漆掻きを見せていただきました。長くなってしまうので詳しくは触れられませんが、「1シーズンで1本の木から採れる漆の量は牛乳瓶1本分」という採取量、その貴重さには驚かされました。帰国の前には、歓迎会メンバーの木漆工芸作家・辻さんの工房で、特別に漆塗り体験もさせて頂いたキャーラさん。

 

「金継ぎは金の部分が一番重要だと思っていたのですが、色々な人の汗や苦労が入った漆の下地があってこそだと学びました」と、ランランと輝くまなざしで喜びを表現しておられました。毎回思う事ですが、招待される方も、受け入れて対応される方々も、本当に素敵で素晴らしい方ばかりで、番組を見終わると感動で心が癒されます。

 

漆の詫び錆び…魯山人の器より前にでない金継ぎ仕上げ…清川さん凄かった・・・

 

 

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巨大企業が【柔軟かつ挑戦的に】商品開発したら、負ける訳がない

2018-9-3 NEW!

 

8月23日放送のカンブリア宮殿『放送600回記念 快適&便利商品を連発!巨大メーカーをベンチャー魂で変革せよ』の回、ご覧になられましたか?

 

冒頭から映し出されたリクシルのショールーム。週末の家族連れで賑わう巨大ショールームは、キッチン、トイレなどの水回りから、サッシ、玄関まで…住宅設備が何でも揃うという、主婦にはたまらない場所。一緒に見ていた家内も、「あのトイレが欲しい!!」と言い出す始末。

 

部屋の湿気を一瞬で吸い込む湿度調整できる室内タイルや、お風呂のカウンターが取り外せて丸洗いできたり、まな板いらずのキッチンや、掃除のしやすさにこだわったアイデア商品まで…日々を快適で便利にしてくれる最新の住設機器は、どれも魅力的なものばかりでした。

 

リクシルは、イナックスやトステムなど5つの会社による経営統合で誕生した巨大住設メーカーで、率いるのは、かつてベンチャーを起業し、9年で東証1部に上場させた経歴を持つ瀬戸欣哉代表。瀬戸さんは、様々な商品開発の現場に改めて消費者目線を徹底し、リスクを恐れず果敢に挑戦するベンチャー流のモノづくりを叩き込むことで、他にない斬新な商品を生み出すマインドを根付かせてきています。

 

元々住友商事で海外畑を歩んでいた瀬戸は、90年代半ば、アメリカで創業したばかりのアマゾンを知り、今後ネット通販が巨大化すると予見。帰国後、社内ベンチャーで“企業向けアマゾン”とも言える「モノタロウ」を創業し、年商800億円の企業に育て上げました。そして2016年、リクシルで、買収した海外子会社の不正会計が発覚し、200億円の赤字に転落する中、その手腕を買われて、社長へと就任したのです。

 

一番目を引いたのは、自治体と連携し、【日差しをカットするサンシェードを保育施設に無償設置する取り組み】や、以前、ガイアの夜明けでも報じられていた【簡易式トイレを途上国に寄付するプロジェクト】など、得意の製品を使った活動を次々に展開していること。その狙いが、自社に誇りを持つ精神を育てていこうということですが、なかなかできることではありません。

 

いつもの村上龍さんの編集後記では、こう書かれていました。
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巨大艦船の方向転換は、とてもむずかしい。企業も、大きければ大きいほど、変化を起こしづらい。リクシルは、住宅設備のほとんどすべてがそろう巨大メーカーだ。かつて、イナックスとトステムの統合は大きな話題となった。その後も合併・統合は続き、やがて、肥大化した組織の経営効率が求められるようになった。大きなシェアを誇る複数の住設メーカーが、一つの企業として統合された根拠が、率直に言って、わたしにはわからない。だが、小学生以来「反骨の士」である瀬戸さんは、変革を通して、その根拠を示そうとしている。
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それぞれで既に大きな存在感を持つ企業が統合され、その統合によって、新しい素材や技術が共有されることで、これまでになかった商品を産み出していく巨大メーカー。こんな巨大企業に勝てる訳がありませんよねぇ。

 

宝くじが当たったら、ショールーム行ってみたいものです。

    先立つものは、やはり資金ですから・・・
 

 

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